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短歌2024.4(7首)



春 売った実家に知らない人が住みわたしの過去の灯をひとつ消す

長い髪をなにかの兆しかのように他人は思う 春風 桜

もうすぐに静かになって友だちと呼べないひとと進む自転車

白黒の写真にうつる唇のジェンダー規範を振り払う黒

雪とけてベンチ現る公園を去年とちがう顔で眺める

その花を猫から守り美から守りこぼれゆくままゆるす指先

吸うよりも吐くのが得意 背もたれの向こうに見えないけれど海が

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