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中村研究室のゼミと運営の工夫

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#研究室運営

[研究室ゼミ] 発表では発表者支援ツールやカンペの利用は禁止で時間厳守のため徹底的に練習

発表者支援ツールは便利なものですが、どうしてもそれに頼りがちで聴衆を見なくなってしまいます。紙やスマホ、iPadなどのカンペだとなおさらかなと思います。また、セリフを事前に書いておき、発表者支援ツールを使って練習すると、それを読むことに注力して、喋りにくさや伝わらなさに自分で気づきにくく、また作ったカンペを編集する手間などから、問題を指摘してもなかなか良い方向にアップデートされない印象です。さらに、発表練習での成長がないため、次に繋がりません。 ということで、中村研では学会

[研究室運営] 徹底的にメンバーをシャッフルする

中学、高校と1つの学年に大きな差を感じていた学生さんたちにとって、学年の差というのは大きいものです。また、1つ上ならまだしも、2つ上、3つ上の学年ともなると交流がなく、先輩と後輩との間で断絶が生まれ、遠慮が生じたりといったりということは珍しくありません。 断絶や遠慮が生じると、先輩に対して質問することがはばかられてしまいますし、気軽に研究相談もできませんし、なにか困ったときに頼るということもできません。また、先輩としても、怖がられているのでは?などと、いらぬ心配を抱えること

[研究室ゼミ] 卒論・修論チェックグループで原稿の進捗チェック

卒論や修論といったまぁある程度長い時間をかけて進めるタスクは、どうしても定期的に進捗を出していくことが重要になります。そのため、下記に示すようなチェックシートを用意したりしているのですが、チェックシートがあって自主的に進めることができるのは一部の学生さんだけで、それ以外の学生さん(学生時代の私も含む)にとってはただあるものであり、やらなきゃーと思いつつ、全く進まないというのが個人的な感想です。 ということで、研究室では毎年9月末(秋学期の最初のゼミあたり)になると研究グルー

[研究室運営] 研究室運営を支えるWebサービス(after コロナ禍)

以前、研究室運営を支えるWebサービスについてコロナ前、コロナ禍の様子を書かせてもらったのですが、 対面での研究室運営が戻ってきたため、現在の様子について書かせてもらいます。 コロナ禍では研究室にみんなが集まって活動することができなくなったため、時間同期でオンライン空間に集まって活動するスタイルでしたが、ようやく戻ってきました。やっぱり対面は良いですね。 ということで、以前書いていた内容をアップデートしつつ、新しく導入したサービスについて書いてみます。 改めてですが、

[研究室運営] 質問のハードルを下げるには?

どの先生に伺っても、重要だという認識だけれど、なかなか学生さんたちはやってくれないもので、どうしたものかと思案している方が多い「学生さんがなかなか質問してくれない問題」。学生さんからすると質問しにくい理由にも色々とあるので(先輩に対してこんなこと聞くのははばかれるとか、知らないのは自分だけでは?とか、理解できていないと呆れられるのでは?とか、恥ずかしいなどなど)、なかなか難しいものだなとも思います。 ちなみに、何もしなくても学生さんは質問するよとおっしゃる先生もいらっしゃる

[研究室運営] 学生さんと同じ部屋で仕事をする

先日こんなことを書いたら、かなり多くの方から賛同を頂いていたようでした。雑談は本当に重要ですよね。 研究室での雑談は、研究テーマを考えたり広げたり深めたりひっくり返したりするのにも役に立ちますし、ふと詰まっていたことを思い出して質問するといったこともできますし、とても重要だと思います。また研究で詰まってしまったときなどに、こんなレベルの低いことを相談するわけには...などと思ってしまって一人で抱えて1週間~1ヶ月経過し、抱えれば抱えるほどもっとレベルの高いことを相談しなけれ

[研究室運営] Scrapboxを使った研究室の情報共有のススメ

研究室でしっかりと情報共有がなされているところは思った以上に少なく、先生だけが重要な情報を知っている、秘書さんだけが全容を把握している、あの先輩だけがあの高価な機器の使い方を知っている、しっかりもののあいつだけが頼りみたいなことになりがちです。 で、先生が忙しくなりすぎると情報が降りてこなくて困る、秘書さんが辞めると情報が消失して破たんする、先輩が卒業すると誰もあの高価な機器を使えず廃棄まっしぐら、しっかりものの学生さんに負荷が集中して不満がたまるみたいなことになりがちです

[研究室運営] 研究室を支えるWebサービス(with 新型コロナウィルス)とオンラインでの研究室運営の難しさ

今年の1月に研究室運営を支えるWebサービスについて書いて、色んな人に読んでもらったのですが... あれから随分と世の中が変わってしまいました。新型コロナウィルスにより研究室にみんなが集まって活動することができなくなったため、時間同期でオンライン空間に集まって活動スタイルへと変化し、情報共有の重要性が特に増していると言えます。また、新型コロナウィルスとともにある時代において重要なのが、対面でできていたゼミや研究室内での活動を、如何にしてオンラインで成り立たせるかという話にな

[研究室運営] 卒論・修論はチェックシートで目標設定と客観的な相互チェック

卒業論文や修士論文で書きまとめる研究内容については、約半年かけてアイディアやモチベーションについて徹底的に議論したり、プロトタイプシステムを実装したりプレ実験を実施してあたりをつけたり、合同研究会などで発表して意見をもらったり、実験結果について議論したりすることで固めていくわけですが、論文を書くこと自体は、ひたすら自分で整理し、向き合い取り組んでいく必要があるので、なかなか大変です。 また、卒論や修論は、何をどんな感じでどれだけ書けばよいかがわからないですし、一般に1~2年

[研究室運営] 卒論・修論に一筆添えてご家族に送付

ゼミの話じゃなくて、これは今では特に教育効果はあんまり考えてなくて、半分自分の趣味になりつつあるのですが、研究室を運営されている方に超おすすめなので紹介します。 目的学生さんのスポンサー様に、学費(明治大学総合数理学部だと学部で約600万円、大学院合わせると750万円くらい)を出して通わせた甲斐があったな。うちの子はこんだけ頑張って成長し、力をつけたんだなと喜んでほしい。あと、修士に進学する学生さんの後方支援をお願いしたい。 実施方法卒論が終わった学生さんには、卒論とこれ

[研究室運営] 研究成果はオープンアクセス化

下記の記事にも関連するんですが、 やっぱり学会発表して終わりはもったいないです。情報処理学会などで会員でないひとは(研究会の原稿の場合は、研究会の会員でない場合は)その論文を2年くらいお金を払わないと読めません。まぁ、そのひとにとって読む価値のある論文ならいいんですが、お金払って読んで大したことなかったじゃショックも大きいと思うのでなかなか読んでもらえないと思います。 あと、恥ずかしながら科研費に落ち続けてる私にとって、企業さまからの共同研究費をいただくのは研究室を回して

[研究室運営] 学会発表したら研究室のウェブサイトに記事を書いて報告

中村研究室では、学生さんに1年間に1回の発表が義務付けられています(3年生は先輩のテーマを継承して発表)。いつも、色々な研究会や学会などで発表させていただいており、本当に感謝しております。 ただ、せっかく学会発表まで一生懸命研究に取り組んで発表しても、発表の場にいる人たちに聞いてもらってフィードバックをもらっておしまいだけじゃもったいないなといつも思っていました。教員とは異なり、学生さんで同じネタを2回別の場所で話す機会は、合同研究会などを除きなかなかありませんし。 目的

[研究室ゼミ] Botによる担当者割当、順番設定やペアリングの効率化

中村研では、ペアプレゼンにおけるペアリング、関連研究探しなどにおけるグループ化、論文紹介における座長(司会)の割り当て、論文紹介における順番ぎめなど、ゼミに応じて色々なメンバーの割り当てがあります。これを毎回「誰がやる?」「前回誰がやったっけ?」などとやっていくのはかなり無駄です。 目的担当者割り当て、順番設定、ペアリング・グループ化の効率化。属人性を廃止し、余計なことは考えたくない。特に、学生さんが主体となってやる場合に、その学生さんに負担をかけたくない。 実施方法Sl

研究室運営を支えるWebサービス

中村聡史研究室における運営のあれこれの試行錯誤については、こちら(学生30人に教員1人の研究室運営について(2017-2019))に書いているのですが、研究室を運営するうえで利用しているWebサービス(研究室運営を支えるWebサービス)には色々な工夫があるので、noteの練習がてらこちらに投稿。 ちなみに研究室運営において重視しているのは学生さんの成長と研究活動であり、そのために知識や成果、各種情報の蓄積と共有、コミュニケーション(指導、各種依頼など)、情報発信が重要となっ