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中村研究室のゼミと運営の工夫

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記事一覧

[研究室運営] 質問のハードルを下げるには?

どの先生に伺っても、重要だという認識だけれど、なかなか学生さんたちはやってくれないもので、どうしたものかと思案している方が多い「学生さんがなかなか質問してくれない問題」。学生さんからすると質問しにくい理由にも色々とあるので(先輩に対してこんなこと聞くのははばかれるとか、知らないのは自分だけでは?とか、理解できていないと呆れられるのでは?とか、恥ずかしいなどなど)、なかなか難しいものだなとも思います。 ちなみに、何もしなくても学生さんは質問するよとおっしゃる先生もいらっしゃる

[研究室ゼミ] 研究テーマ交換プレゼン

ようやく複数回実施して、良さ整理できてきたので改めて(過去の記事はこちら)。 学生さんの様子を見ていると、自身の研究について、そのアイディアを思いついて取り組み始めたときにはオモシロイと思っていたのに、徐々に「あれ?これなにが面白いんだろう」と思ってしまいがちのように思います。また、研究について何度も語っていると、このテーマについて初めて聞くひとの気持ちがだんだんわからなくなり、導入の重要なところを飛ばして説明するようになってしまって、結果的に納得性の低いものになっていたり

[研究室運営] 学生さんと同じ部屋で仕事をする

先日こんなことを書いたら、かなり多くの方から賛同を頂いていたようでした。雑談は本当に重要ですよね。 研究室での雑談は、研究テーマを考えたり広げたり深めたりひっくり返したりするのにも役に立ちますし、ふと詰まっていたことを思い出して質問するといったこともできますし、とても重要だと思います。また研究で詰まってしまったときなどに、こんなレベルの低いことを相談するわけには...などと思ってしまって一人で抱えて1週間~1ヶ月経過し、抱えれば抱えるほどもっとレベルの高いことを相談しなけれ

[研究室運営] Scrapboxを使った研究室の情報共有のススメ

研究室でしっかりと情報共有がなされているところは思った以上に少なく、先生だけが重要な情報を知っている、秘書さんだけが全容を把握している、あの先輩だけがあの高価な機器の使い方を知っている、しっかりもののあいつだけが頼りみたいなことになりがちです。 で、先生が忙しくなりすぎると情報が降りてこなくて困る、秘書さんが辞めると情報が消失して破たんする、先輩が卒業すると誰もあの高価な機器を使えず廃棄まっしぐら、しっかりものの学生さんに負荷が集中して不満がたまるみたいなことになりがちです

[研究室運営] 研究室を支えるWebサービス(with 新型コロナウィルス)とオンラインでの研究室運営の難しさ

今年の1月に研究室運営を支えるWebサービスについて書いて、色んな人に読んでもらったのですが... あれから随分と世の中が変わってしまいました。新型コロナウィルスにより研究室にみんなが集まって活動することができなくなったため、時間同期でオンライン空間に集まって活動スタイルへと変化し、情報共有の重要性が特に増していると言えます。また、新型コロナウィルスとともにある時代において重要なのが、対面でできていたゼミや研究室内での活動を、如何にしてオンラインで成り立たせるかという話にな

[研究室運営] 卒論・修論はチェックシートで目標設定と客観的な相互チェック

卒業論文や修士論文で書きまとめる研究内容については、約半年かけてアイディアやモチベーションについて徹底的に議論したり、プロトタイプシステムを実装したりプレ実験を実施してあたりをつけたり、合同研究会などで発表して意見をもらったり、実験結果について議論したりすることで固めていくわけですが、論文を書くこと自体は、ひたすら自分で整理し、向き合い取り組んでいく必要があるので、なかなか大変です。 また、卒論や修論は、何をどんな感じでどれだけ書けばよいかがわからないですし、一般に1~2年

Scrapboxと発表者が規定の時間で移動するオンライン・ポスター形式の合同研究会がとてもよかった話

中村研では「ひとりの落ちこぼれも出さずにある程度高いレベルまで上げる」ということが基本的な運営ポリシーであり,色んなことをやっているのですが,その中でも重視しているのが他研究室との積極的な交流会だったりします. 研究室に閉じていると仲間も世界も広がりませんし,画一的な評価基準のなかでいるのはうまくいっている人にとっても,うまくいっていない人にとっても望ましくありませんし,機会損失にもなります.また,一度学会発表して終わりじゃなく,途中の段階で色んな人にコメントをもらうという

[研究室運営] 卒論・修論に一筆添えてご家族に送付

ゼミの話じゃなくて、これは今では特に教育効果はあんまり考えてなくて、半分自分の趣味になりつつあるのですが、研究室を運営されている方に超おすすめなので紹介します。 目的学生さんのスポンサー様に、学費(明治大学総合数理学部だと学部で約600万円、大学院合わせると750万円くらい)を出して通わせた甲斐があったな。うちの子はこんだけ頑張って成長し、力をつけたんだなと喜んでほしい。あと、修士に進学する学生さんの後方支援をお願いしたい。 実施方法卒論が終わった学生さんには、卒論とこれ

[研究室運営] 研究成果はオープンアクセス化

下記の記事にも関連するんですが、 やっぱり学会発表して終わりはもったいないです。情報処理学会などで会員でないひとは(研究会の原稿の場合は、研究会の会員でない場合は)その論文を2年くらいお金を払わないと読めません。まぁ、そのひとにとって読む価値のある論文ならいいんですが、お金払って読んで大したことなかったじゃショックも大きいと思うのでなかなか読んでもらえないと思います。 あと、恥ずかしながら科研費に落ち続けてる私にとって、企業さまからの共同研究費をいただくのは研究室を回して

[研究室運営] 学会発表したら研究室のウェブサイトに記事を書いて報告

中村研究室では、学生さんに1年間に1回の発表が義務付けられています(3年生は先輩のテーマを継承して発表)。いつも、色々な研究会や学会などで発表させていただいており、本当に感謝しております。 ただ、せっかく学会発表まで一生懸命研究に取り組んで発表しても、発表の場にいる人たちに聞いてもらってフィードバックをもらっておしまいだけじゃもったいないなといつも思っていました。教員とは異なり、学生さんで同じネタを2回別の場所で話す機会は、合同研究会などを除きなかなかありませんし。 目的

[研究室ゼミ] 合同研究会で研究室を超えた交流

問題意識研究室に閉じこもって研究していると、仲間が限られてしまいますので、それ以上の広がらない。もちろん、学会発表することで色々な意見をもらうことができるが、多くの学生さんにとって、ある研究について学会発表すると、それでおしまいということも珍しくない。また、研究着手段階などでは色々な意見をもらうことができない。あと、教員が1人だと偏った意見・思想になりがち。 目的世界を広げてほしい。また、色々な場で発表し、自分の研究にフィードバックを得てもらいたい。特に、研究成果が出ていな

[研究室ゼミ] 研究テーマ交換プレゼン(模索中)

一度やって効果はかなりあったのだけど、実施するのに時間がかかるため、ゼミ内で完結するいい方法が思いつかず二度目がまだ実施できていない「研究テーマ交換プレゼン」ゼミ。誰か良案だしてくれないかなと、過去にやった記録を残しておきます。 問題意識自分の研究テーマについてプレゼンすると、自分の思い入れのある部分、苦労した部分を中心に話しがちで、他人から見て面白い部分が伝えられていないことが多い。また何が面白いのかもわからなくなりがち。 目的その研究に対してフラットな印象しかない他人

[研究室ゼミ] Botによる担当者割当、順番設定やペアリングの効率化

中村研では、ペアプレゼンにおけるペアリング、関連研究探しなどにおけるグループ化、論文紹介における座長(司会)の割り当て、論文紹介における順番ぎめなど、ゼミに応じて色々なメンバーの割り当てがあります。これを毎回「誰がやる?」「前回誰がやったっけ?」などとやっていくのはかなり無駄です。 目的担当者割り当て、順番設定、ペアリング・グループ化の効率化。属人性を廃止し、余計なことは考えたくない。特に、学生さんが主体となってやる場合に、その学生さんに負担をかけたくない。 実施方法Sl

[研究室ゼミ] 5分プレゼン・5分質疑の論文紹介

論文紹介(文献紹介)をやっている研究室は多いと思います。ただ、論文紹介って何のためにやってるんだろ?と思ってしまうひとも多いんじゃないかなとか思ったりします。 新しい文献との出会いの場を作り、紹介と議論を通じて学生さんの教育を促すってところらへんだと思うのですが、今まで所属したところでは正直うまくいってなかったように思います。 問題意識論文紹介、紹介者が論文のことを深く理解して準備してくれたら議論がとても盛り上がりますし、専門が近く、レベルもある一定以上で、少人数(グルー