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「総合スポーツクラブ」をgoogle scholarで調べてみた

表題の通り調べてみました。つい先日、経産省から出た「地域×スポーツクラブ産業研究会の第1次提言について」をnoteに記しましたが、そこから派生して「総合スポーツクラブ」についての論文をgoogle scholarで調べてみることにしました。

もちろん、当該テーマを調べるには他にも様々な方法があります。googleで調べるのはほんの一部になりますが、端緒にはなると思います。一気にあれこれ書くよりもまずは手の届く範囲から記そうと考えています。

先ずは2021年に出されているものを調べました。2021年9月22日時点では日本語のもので381件がヒットしました。そのうち幾つか興味深いものをひも解いてみようと思います。

先ずは神屋にとっても馴染みのあるお名前を見つけたので取り上げます。早稲田スポーツクラブは有名ですが、法政大学もこのような形「特定非営利活動法人総合型地域スポーツクラブ法政クラブ」として活動されているのですね。10ページあります。

法政クラブは、2007 年に法政大学エクステンションカレッジで開講されていた陸上競技教室、アスリート倶楽部を前身とする


スポーツ庁(2018)によると、2018 年度の総合型ク ラ ブ の 総 会 員 数 は、1 か ら 100 人が全体の25.1%、101 人から 300 人が全体の 41.3%であり、1 から 300 人までが全体の 66.4%を占める。301 人から 1000 人が全体の 26.2%、1001 人以上が全体の 7.5%


神屋が理事を務めるNPO法人加古川総合スポーツクラブはおよそ3,000人の会員さんが居られますが、上記で言うとやはりかなり大きい分類となります。その規模でもまだまだもっとスケールを大きくする必要があると考えられるのですが、必要なのはもっと規模を大きくしていくことなのか、ホールディングスのように連結、接続する組織やコミュニティが増えることかも含めて課題は多くあります。

大学発の総合型スポーツクラブは地域発のクラブとはまた違う来し方、課題もあるとは思いますが、今後の未来を考える時にはともに何が出来るかを考える感覚も必要だと思います。

運営

法政クラブの教室は、チームを形成するものではないことを設立段階に決めていた。近隣の既存少年スポーツクラブから会員を取り合うことなどの軋轢を避けるため


2013 年からは「教室」という名称を「塾」へ変更した。「塾」への名称変更は、既存のスポーツクラブや学校の課外活動にすでに所属している人であっても、いつもとは異なる環境の中で専門的練習を実施することでスキルアップを可能とすることを意味


資金面

2019 年度の法政クラブの収益は、1,700 万円弱で事業収益と受託事業がほとんどを占めており、自己財源率は 95%


全国の総合型クラブのうち(スポーツ庁、2018)、予算規模の合計が 1,000
万から 2,000 万円であるのは全体の 13.4%で 1,000万円以下を含めると 48.4%とほぼ半数の総合型クラブがこの規模


法政クラブは大学からの委託事業収入に対する依存度が高い


課題

潤沢な財源の確保には至っておらず、大学への依存度は高くなっており、大学への負担を軽減していくことが求められる


活動の拠点や事務局が大学内にあることや交通の便の悪さから、地域住民の法政クラブ運営への参画は少ない


縮小や改善を主に行ってきた。このことは、クラブ運営の円滑化を促進したが、クラブの特徴である多種目、多世代、多志向というスポーツクラブの 3 つの特徴を損なってしまっていることも懸念される



引き続き他を見てみましょう。こちらは修士論文となっています。

奈良県の状況を調べたものです。

p23

クラブ会員数は奈良県総合型地域スポーツクラブ連絡協議会(2018)が掲載しているクラブのみとする。これらから、101~300 人のクラブが 59%と半数を占めており、次いで 301 人~1000人のクラブが 24%であることから中規模の会員数のクラブが半数以上


p24

社会的信頼や存続の安定化をもたらすことから、今後の自立的な運営には欠かせない。しかし、法人格を持っていないクラブが半数以上でそのうち 51%は今後も法人格を取得する予定はないことが明らかになった


p27-28

創設数は微増傾向であるものの、創設された既存のクラブの財政的な課題
から、消滅するクラブも出てくる可能性があるからである。法人格の有無では、社会的信頼や財政基盤の向上が期待できる法人格を取得していないクラブが半数以上いること、それにもかかわらず助成金をもらっているクラブが 71%もあることから、安定した財源の確保が課題となってくることがわかった


p35 飛鳥 RUN×2 リレーマラソン

開催をスタートした 2011 年は 200人だったにもかかわらず、現在は 8 倍以上の 1700 人まで伸び、増加傾向


企業の協賛も得られるようになった。また、地域の飲食店にお願いし、飲
食・販売ブースを出店している。このような地域を巻き込んで活動をすることで行政や地域住民に信頼が得られ、存在感や存在価値が上がった


新たな事業を他機関と連携しながら展開することで、新たな連携機関とのつながりや、地域社会との信頼関係、認知度にもつながることがわかった


p40からは指定管理者制度について書かれています。

メリットとしては、安定した収入、地域住民の川西クラブに対する認識の変化、教室・イベント業務のスケジュールの取りやすさの 3 点


デメリットとしては、施設管理業務の負担、指定管理の継続に関する不安の 2 点


p47指導者

KKSC クラブでは独自の指導者養成プログラムを開発し、会員が指導者になれるようにし、指導者を確保


スポーツリーダーを他の機関に派遣し始めた。表 23 は、2019 年の KKSC での業務委託内容である。これによると他機関にわたり教室や委託事業が行われている


会員を単に「運動者」とではなく、クラブを創っていく「運営者」とし
て活動をすることで、より地域社会のニーズに応えた「新しい公共」の場として期待できるのではないかと考える


p55活動拠点

くまがしクラブでは、体育館や文化会館のような普段スポーツ施設として使われやすい施設だけでなく、「道の駅 大和路へぐり」(以下、道の駅)の施設を使って地域住民の集客や地域振興を図った



まとめ

ここまででも充分に長くなってきたので2つの論文を紹介して一旦は終了します。他にも興味深い論文はあるのでまた順次、紹介していきます。もしこういった研究、学びに興味がある方は下記の講演会、または走遊Labに参加ください!お待ちしています!

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