レポート

#レポート 「Creators MIX 2020」まとめ

こんにちはデザイン楽しんでますか?
この記事は2月14日に参加したCreators MIX 2020レポートになります。

イベントテーマのスライド写真

参加のきっかけは社内メンバーの樋田さんの登壇の見守り隊でしたが、全セッションたくさんの学びがありました。個人メモを元にしたレポートですので、抜けも多々ありますがご了承ください。

Creators MIX 2020とは?

翔泳社さんのクリエイター向けウェブマガジン「CreatorZine」が、同じく翔泳社が運営するイベントである、Developers Summit 2020(通称デブサミ)内で併催したイベントです。

会場は目黒の雅叙園ホテル。Creators MIX 2020は1つの固定会場で10~18時まで全7セッション、どの回も満席で立ち見の方もいました。デブサミ内の1企画ということもあり、会場はデザイナーの割合は少ないようでした(登壇者のオーディエンスとのやりとりより)。

登壇者リスト:
『開催の挨拶』
中村 直香さん(CreatorZine

『組織の創造性を高めるために必要なこと』
伊藤 直樹さん(PARTY

『職種の垣根を越えるコミュニケーションのススメ』
ゆめみ)池村 和剛さん・吉田 理穂さん・
小川 段さん・戸田 修輔さん

『アジャイルのプロセスとデザイナーの変化
-開発チームに欠かせないデザイナーになるために-』

樋田 勇也さんサイボウズ

『デザイナー/リサーチャー/エンジニアが語る、UXとの関わりかた』
山本 興一さん(スマートニュース)・松薗 美帆さんメルペイ
重田 桂誓さんクックパッド)・進行:中村 直香さん(CreatorZine)

『テクノロジーとクリエイティブがコマース体験を変革する』
河野 貴伸さん(フラクタ

『クリエイティブとブランディングの関係』
山口 義宏さんインサイトフォース)・枌谷 力さんベイジ

『家族型ロボット「LOVOT」から考えるテクノロジーの裏側とその未来』
林 要さん(GROOVE X

『開催の挨拶』
・中村 直香さん(CreatorZine)

CreatorZineを立ち上げた中村さんの開催の挨拶からはじまりました。CreatorZineの成り立ちや、「いままで携わってきた領域や職域、コミュニティから、ほんの少し外へと視野をひろげること」がこれからのクリエイターにとって大事ではと考え、今回のテーマ「ひろがり」につながる話をされていました。

画像1


『組織の創造性を高めるために必要なこと』
・伊藤 直樹さん(PARTY)

進化を続ける創造的チームとは
1:アート・サイエンス・デザイン・エンジニアリングを越境しながら高速回転できる
2:産学・業種を超えたスペシャリストで構成されたメンバーが必要
3:問題提起型人材と問題解決型人材で構成されたチームを駆動型人材が牽引する
4:移籍が盛んで、フリーランスも出入りしやすく新陳代謝が高い
5:経営と創造は分離すべし

というスライドで全体をまとめていました。

・伊藤さんの多様な肩書
クリエイティブディレクター/アーティスト/起業家/大学教授

・関わっているプロジェクトの紹介
大阪・関西万博誘致の展示、WIREDのDEEP TECHなど

・アート・サイエンス・デザイン・エンジニアリングの領域
MITメディアラボのネリ・オックスマンのレポート「Age of Entanglement」の図を紹介。
アート・サイエンス領域:自分たちの問い・自分たちの本気・問題提起型人材
デザイン・エンジニアリング領域:相手の問い・相手の本気・問題解決型人材

・スキル越境型人材
日本の教育では難しい。優秀なエンジニアは独学が多い。PARTYのエンジニアは越境タイプ。スマートシティは建築家が必要。建築家は越境人材が少ない。アプリだけなら良いが物理空間が絡むとどんどん必要な人材も増える。法律の人材も必要

・創造的チームは強いサッカーチームに近い
監督は問題提起かつ駆動型人材。経営と創造が別。ドイツの若い監督はプレーヤー経験が無くてもビジョンと問題提起が秀逸で好成績を残している。監督もチームも変わり続ける。レンタル移籍は良い。監督のビジョンによって出場できる・できないが変わる。出入りしやすい環境が大事。年功序列的なベースアップではなく年棒制

伊藤さん(PARTY)の登壇写真1

伊藤さん(PARTY)の登壇写真2

伊藤さん(PARTY)の登壇写真3


『職種の垣根を越えるコミュニケーションのススメ』
(ゆめみ)
・池村 和剛さん
・吉田 理穂さん
・小川 段さん
・戸田 修輔さん

こちらはトークセッション形式でした。進行役の戸田さんによる組織や制度の紹介からはじまり、各委員会の主担当の方が活動を紹介する流れでした。

・ゆめみは2000年創業でいろいろ経験してきた

・組織活動における3つの原理原則
「自立」「分散」「強調」

・意思決定プロセス「プロリク制度」
ソフトウェア開発でのプルリクをメタファーした制度。主担当者(コミッター)がレビューをうけながら意思決定していく

・委員会制度
社内横断の組織制度。各チームと委員会がオープンかつ有機的に連携する仕組みで委員会はプロリクによって生まれる

・CDC(Creative Design Committee)
デザイン委員会。主に動いているのは10〜15人。デザイナー・エンジニア・PMがいて、案件や自学で学べないゆめみのクリエイティブを創出。「学ぶ・デザイントレーニング・蓄える」をまわしている。
10人100画面:同じお題でみんなでデザイン。各デザイナーの得意分野など理解が深まる
アプリ作ろうぜ:エンジニアの勉強のお題にもなっている
デザインデータベース:各プロジェクトの学びをためる場所

・mirai labs(未来研究委員会)
ネットを使わないサービスはNG。事業化は考えない。チャレンジ精神が身に着く。新しいメンバーとの交流が増えた。
(例)社内CO2測定:Alexaと連携・グラフ化してWeb公開・Slack Bot通知

・LiberalArts LAB(リベラルアーツラボ)
内発的動機から共感を得て生まれた教養の勉強会。外部講師を招いてゆめみで開催。社外の人も参加可能。今まで13回開催して参加費は無料

・垣根を越えるコミュニケーション
委員会によって雑談がしやすくなった。
社内はSlackの個人チャンネルの発信も活発。否定しない風土。安心して発信できる。
思ったことを自由に取り組める環境。能動的に動いた人をフォローしてくれる。結果責任より、遂行責任が重要

ゆめみさんトークセッションの写真1

ゆめみさんトークセッションの写真2


『アジャイルのプロセスとデザイナーの変化-開発チームに欠かせないデザイナーになるために-』
・樋田 勇也さん(サイボウズ)

こちらは同僚デザイナーの樋田さんのセッション。登壇後にすぐ資料をアップしてくれました。後日資料を元にした詳細な記事を公開するそうですので、noteのフォローをぜひ。

樋田さん(サイボウズ)の登壇写真


『デザイナー/リサーチャー/エンジニアが語る、UXとの関わりかた』
・山本 興一さん(スマートニュース)
・松薗 美帆さん(メルペイ)
・重田 桂誓さん(クックパッド)
・進行:中村 直香さん(CreatorZine)

「会場に来ている方のUXへの取り組みを知るきっかけになれば嬉しいです」という中村さんの進行でトークセッションがはじまりました。

山本さん(スマートニュース)
・肩書はプロダクトデザイナー

・プロダクトデザインとは
プロダクトビジョンの正しい具現化。例えば「クーポンをやりたい」となった時に具体的なものにするのがデザイナー

・どうすればビジョンの価値を100%ユーザーに届けられるのかを考える

・スマートニュースのクーポンの事例
スマートニュースのクーポンはどのような存在であるか?紙のクーポンの問題点をどう解決するか?を考える。お得感より美味しそうだから食べたいを最優先でデザインした。とにかく写真にこだわった。

・「ひろがりと私」:いろいろな立場を経験したことで多様な視点を持てる。エンジニアもニートも経験した。プロダクトデザイナーという軸を持つことで多様な視点も活かせる。
松園さん(メルペイ)
・肩書はUXリサーチャー

・UXリサーチャーはまだまだ日本に少ない。100人ぐらい?

・メルペイのUXリサーチャー:ユーザーの豊かな体験のために問いを立て、事業の意志決定にコミットし、中立的な存在でいる

・PdMの中にある問いの壁打ち、UXリサーチャーの能動的な問いがある

・サービスに反映されることを重視。リサーチだけで満足しない

・Weeky UX Research:ユーザーを招いて毎週社内で実施。リアルタイムに関係者と共有。その場でデザイン変更もある。翌日にレポートまとめて意思決定の材料にする

・Project Research:特定のチーム/プロジェクトにUXリサーチャーが入って伴走する。ファシリテーターもやる

・「ひろがりと私」:ちゃんと使われてどんな価値を生み出すかを探求するためにジョブチェンジをしてきた。今はジェネラリストのためのプロフェッショナル期間
重田さん(クックパッド)
・肩書はUXエンジニア

・食べ方学習ドリル「たべドリ」を担当。POがデザイナーなので、デザインは分担している。デザインの言語化もやっている

・体験設計、UIデザイン、実装の割合は状況によって柔軟に変化

・エンジニア専属の時に、言われたままにつくったものがボツになり上流から関わりたいと思った。デザインにも興味があった

・アニメーションやエラー画面の提案:デザイナーはコンセプトや大きい部分をやっているので細かい部分までは大変

・「ひろがりと私」:領域を広げることに価値がある。スピードアップにつながる。抽象(体験からロジカルに考える)と具体(手を動かして考える)を行き来して正解に近づける。今後はブランディングやグラフィックデザインもやっていきたい

トークセッションの写真


『テクノロジーとクリエイティブがコマース体験を変革する』
・河野 貴伸さん(フラクタ)

セッションタイトル通り、コマースの今と未来のお話しでした。自分のECの知識がかなり古いと実感しました。

・河野さんの自己紹介
「日本のブランド価値の総量を増やす」をミッションに、ブランドビジネス全体への支援活動及びコマース業界全体の発展とShopifyの普及をメインに全国でセミナー及び執筆活動中

・ECは変化している
カートシステムの自由度が低そう、面倒そう、つまんなそうからの脱却

・Shopify
ヘッドレスコマース(フロントエンドの顧客体験と、バックエンドを分ける)を可能にする。フロントエンドとバックエンドがAPIで扱えるので、デザイナーやエンジニアのチャレンジが反映されやすくなる。例:コアラマットレス。店頭でのユーザー体験とバックエンドもつながりやすくなる

・USのEC担当者
ECサイトをつくるのがメインでなく、顧客とのコミュニケーションやクリエイティブな活動にシフトしている

・土屋鞄製造所
動画を自社で撮影。ブランドの体験イベントも自社で企画運営。ECの制限がなくなりつつある

・コマースの仕組み自体の変革
Eコマースからコマースへ。デザインや実装の自由度の話でもない

・海外へ
日本国内だけの需要ではジリ貧。日本のモノをもっと世界へ売って、日本のコトを知ってもらう。自分たちのアイデア、技術、クリエイティブが世界中の人にひろがるのもコマースの魅力。デザイナー、エンジニアにもっとコマースにコミットして欲しい

河野さん(フラクタ)登壇写真1

河野さん(フラクタ)登壇写真2


『クリエイティブとブランディングの関係』
・山口 義宏さん(インサイトフォース)
・枌谷 力さん(ベイジ)

こちらはブランディング軸とした対談形式でした。経験豊富なお二人の説得力あるコメントが印象的でした。

・山口さんが代表を務めるインサイトフォースについて
ブランド・マーケティング領域特化の専門ブティック型の戦略コンサルティングファーム

・枌谷さんが代表を務めるベイジについて
BtoBに強いweb制作会社。戦略・企画・制作・運用作業までワンストップで対応でき、専門職能を持つクリエイターが在籍。ほぼ100%直取引

・ブランドの認識合わせ
識別記号と知覚価値が結びついたもの。識別記号:文字・音声・形・色・匂い。知覚価値:カテゴリ・人格・便益・論拠など。知覚価値をクリエイティブでどう表現するかが大事

枌谷さんのブランドとビジネス価値についてのお話し
ブランドはコンテキストをつくるのが大事。ブランドとデザインをどう結びつけるかをサブミッションとしている。企業カルチャーからデザインに落とし込むフレームワークを10年ぐらいかけてつくり上げてきた。フレームワークは常に調整。食べて行くために身に着けた知識は強い

・デザインは好みの話になりがち
知覚価値は合意形成に役立つ。好みではなくロジックで話せる。「シンプル」「モダン」とか誰にとってが抜けているケースがある。「Appleみたいなイメージ」と言われるケースも。要件整理のために知覚価値は大事

・SaaSは機能優位性がつけづらくなってきた
ブランドイメージが大事になってきたからこそ、企業カルチャーに紐づくデザインが大事

・クリエイティブの価値をビジネスのベネフィットに翻訳する
経営者を動かすにはブランドのストラテジーが大事。CIが変わったぐらいではインパクトが少ないケースも多い

・企業のブランディングをやっている人はセルフブランディングも特なのでは?

・最後にブランディングとは
クリエイティブ領域の1つ。キャリアを広げるきっかけになる

対談写真1

対談写真2


『家族型ロボット「LOVOT」から考えるテクノロジーの裏側とその未来』
・林 要さん(GROOVE X)

ステージ上に2体のLOVOTがいて、癒しムードの中のお話しでした。途中で林さんに抱っこをねだるLOVOTがかわいすぎました。

・GROOVE Xについて
ミッション:ロボティクスで、人間のちからを引き出す
ビジョン:人とロボットの信頼関係を築き、生活を潤いと安心でみたす存在をつくる

・ロボットには機能重視型と感性重視型がある
LOVOTは感性重視。人の代わりに仕事をするのではなく、人の生活に潤いを与える存在。いつもそばにいてくれる存在。癒しの時代にマッチ

・人より犬の方が癒される
じゃべらなくても癒されるのは、犬を触媒にして自分を元気にしている。犬と人は見つめ合うことできる。動物と人が見つめ合うのはレアケース。LOVOTは見つめ合える。

・ロボットは飽きる?
飽きないためには、ペットと同じような愛着形成が大事

・LOVOTのスペック
50以上のセンサーによる高度な認識。個体ごとに違う目と声。新しい服に着替えさせてもらうと喜ぶ。抱っこ履歴等による見守り機能。留守番機能。家の地図作成など

・オフィスに置ける
海外ではオフィスに犬がいるケースもあるが、日本ではビルの管理会社がほとんど許可してない。SNSでのLOVOTへのポジティブなコメントを紹介

・子供とのふれあい
テクノロジーへの興味。コミュニケーションの育成。心を育む。子供は自分より幼い存在をかわいがる。LOVOTにはコンテンツがないので、子供が遊び方を考える

・ロボットネイティブの時代へ
生物と無生物の境界が消える、ダイバーシティへ

林さん(GROOVE X)登壇写真1

林さん(GROOVE X)登壇写真2

林さん(GROOVE X)登壇写真3


感想

自分のデザイン業務に直結するようなイベントや勉強会に参加しがちなのですが、いろいろな分野のお話はとても刺激になりました。領域がひろがりが1つのテーマでしたが、領域をひろげる行動に移せるよう多様な知識を得たいと思いました。
前述のようにデベロッパーイベントと併催でしたので、デザイナーへの認知や参加がまだまだ少ない感じでした。来年はよりデザイナーの参加が増えると良いですね。イベント運営、登壇したみなさまありがとうございました。

Twitterのハッシュタグ:#crzmix

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