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ジョゼフィンお嬢さんのお話 ~3. 逸話: おかーにゃんのお世話編

※「おかーにゃん」とは、猫たちから見たワタクシのこと。もちろん、彼らがそのように口に出している訳ではない(笑)

(1) 高依存性の猫

猫は人間の気持ちを理解する、という話はよく聞く。だから、これはジョゼフィンお嬢さん特有の特性ではないだろう。しかし、少なくともニコライ宮殿の他の4にゃんの中で、お嬢さん並みにこの特性が優れているコはいない。

お嬢さんは、ワタクシの気持ち、特に体調が悪いときのダウンな気持ちをよく理解するコだった。どちらかというとおかーにゃんコだったが、ダーリンの不調にも敏感だった。ワタクシや彼が調子が悪くベッドやソファに横になっていると、必ずいっしょにいてくっついてくれた。

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ほんとうに「必ず」だった。ワタクシにとってはやすらぎであり心の平安だった。こうして、ワタクシのジョゼ依存が始まった。

(2) 本領発揮

神様のお使い猫ジョゼフィン嬢の本領発揮とも言えるエピソードがひとつある。

ある初夏の日、ワタクシは何もないところで転び、無様にも左足の甲を骨折した。病院へ行くと、全治3ヵ月(12~13週)との診断だった。当時、既にそこそこいいトシであり、母が骨粗鬆症で体質がとてもよく似ているワタクシは、この宣告にビビった。通勤は自家用車(しかもMT)、さらに3ヵ月後に旅行の予定があり、全て予約済みだったからだ。

「骨折を早く治す方法」を調べた。

見つけた。ワタクシの環境にピッタリの方法を。なんと「猫のゴロゴロ音は骨折の治療を助ける」というものを! あのデヴィッド・ベッカム氏も現役時代に実践したというではないか!

説明はこちらで(いりなか眼科クリニック様)

頼むんだったらジョゼフィンお嬢さん一択だ。

下心満載のワタクシがソファに寝そべると、いつも通り呼ばなくてもお嬢さんがやってきた。

「ジョゼェ、おかーにゃんの左足の上でゴロゴロ言って~」

お嬢さんはぴょんとソファの上に乗り、ワタクシの左足の包帯の部分を抱えるようにかぶさり、ゴロゴロと喉を鳴らしはじめた。こんなにスムーズな展開は、正直、予想していなかったのだが、お嬢さんは、ワタクシの要求を見事に100%理解した。

ジョゼフィンお嬢さんは毎日毎日ワタクシの左足の上に乗り、ゴロゴロ治療をしてくれた。条件反射のように、ワタクシが寝そべればお嬢さんがやってきて、治療時間となった。

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こうして、お嬢さんの献身的な治療の下、ワタクシの左足は着実に快方へ向かった。6週間後には松葉杖が要らなくなり、9週間後には何とかクラッチを踏めるようになり、10週間後に自力通勤に戻った(それまではダーリンの送迎)。担当医には、「予想外に治るのが速い」と何度か言われた。全てお嬢さんのお陰。無事に旅行にも行けた。

(3) ソウルメイト

これ以来、ワタクシのジョゼ依存に拍車がかかってしまった。お嬢さんもお嬢さんで、応えてくれた。ほぼ毎晩、ジョゼフィンお嬢さんとワタクシはいっしょに眠りについた。ワタクシは、お嬢さんをソウルメイトだと信じた。

お嬢さんが亡くなる前年、ワタクシは化学物質過敏症を発症し、ガタガタと体調を崩した。それがきっかけで、長年勤めた職場で仕事を続けることができなくなった(この辺りは、「病気でやめた」という単純な話ではない。機会があれば別記事にしたい)。それでも、最後のほぼ1年間、ボロボロになりながらも仕事に行っていた。毎日のお嬢さんのケアがあったからこそ行けていたのだと感謝している。

しかし、それが彼女の負担になっていたかもしれないことも、忘れない。ワタクシが退職して6ヵ月と半月後、ジョゼフィンお嬢さんはヴァルハラへ旅立ってしまった。

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興味を持ってくださりありがとうございます。猫と人類の共栄共存を願って生きております。サポート戴けたら、猫たちの福利厚生とワタクシの切磋琢磨のために使わせて戴きます。