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【二次請けSES企業向け】応募数獲得のいろは


0. はじめに

「2次請けSES/SIerの採用難易度が高い」という永遠の課題があるかと思います。特にエージェントからのご紹介数は様々な変数があるため原因の特定が難しいと思います。

課題感としてよく挙げられるものをいくつか記載いたしますので、1つでも合致する際は、ぜひ本ブログをご活用ください。

「魅力は伝えているつもりでありますが、なかなかエージェントからご紹介がいただけない」
「『いいひとがいたらご紹介しますね』と言われるが、ご紹介が月間で5件超えることはない。」
「魅力を伝えているつもりではあるが、限界がある」

1. 採用を始める前に押さえておくべきポイント

2次請けSES/SIerの企業様が円滑に採用を行うためには「エージェントが抱える心理の理解」と「求職者のキャリアプランの理解」が必須になります。
まず理解するべきエージェントの心理は大きく2点あります。

●プライム率でご紹介のしやすさが大きく変わる
プライム率が高いと、案件の自由度が高く働き方も自由になる。というイメージから「プライム率の高さ」は紹介数に大きく影響します。
福利厚生で差別化を図ることは可能ですが、エンジニアが重視していることもあり「プライム案件率」は重要な要素です。

ご紹介できる企業様を属性で分類している
詳細は後ほど紹介しますが、エージェントはいくつかの条件で紹介先企業を分類し、分類ごとに紹介のしやすさや優先順位に「尺度」を設けているケースがあります。
当然のことではありますが、エージェントも”売上/利益”を重要視する営利企業のため、必然的に優先順位が高く紹介しやすい会社から求職者様に紹介しています。
※中には思想重視のエージェントもいらっしゃいますが、まだまだ多くはありません。

ここまで「エージェントが抱える心理」を2点ほど紹介いたしました。
加えて前提としてご理解いただきたいのが「多数ある業界の情報を把握した上で、目の前の求職者様へキャリアを提示すること」のハードルの高さです。
例えると、スポーツの種類や各業界(野球業界など)を知らない方が「とりあえず野球が人気だから」という理由で野球をオススメしてしまうようなイメージです。

特にIT業界はトレンドの移り変わりが早く、業界についての知見を持つことが年々難しくなっています。

また、RA(Recruiting Advisor)は多い方で300社程度の企業を担当することもあります。
そのため、特定企業の情報や業界についての知見をキャッチアップすることは難しく、上記で紹介したような、ある種わかりやすい情報で優先度を決めてしまうことは必然であるということをご認識いただければと思います。

ここからは、そういった中でしっかりとエージェントに紹介していただく為の武器として、
IT業界の構造や、エンジニアのキャリアプランの全体像をまとめました。
自社がどこに位置するのかを整理し、エージェントに情報提供をしていただければと思います!


2. 2次請けSIer/SES出身のエンジニアのキャリアプラン

ここからは、具体的に「SIer/SES出身のエンジニアのキャリアプラン」をパターン別に紹介します。
自社であればどのようなプランを提供できるのかをエージェントに説明できるようにしておくことが重要です。

あくまで当社の考えではありますが、キャリアパスは9つほどに分類できると考えています。下記にて1つ1つ解説していきます。

二次請けSIer/SES出身のエンジニアのキャリアプラン概要

2-1. 2次請けから1次請けへの転職

2次請けから1次請けへの転職を目指される方は多くいらっしゃると思いますが、それは何故なのでしょうか?。以下にメリット・デメリットを記載します。

◆メリット
 − より上流工程を経験できる
◆デメリット
 − 手を動かす、技術的な領域には触れづらい

プロジェクトの上流工程を経験したい方にはマッチしていますが、「現場で開発を行っていたい。自身の技術力を高めたい。」という方にとっては必ずしもマッチしていません。

2-2. 同列転職(2次請けから2次請けへの転職)

2次請けから2次請けへの同列の転職は、現状への不満が大きい場合が多いです。同じくメリット・デメリットを記載します。

◆メリット
 − 現状の不満を解消できる可能性がある
 − 待遇(給与、働き方)を変えられる
◆デメリット
 − 必然性がないと転職しても環境を大きく変えられない

2-3. ITコンサルへの転職

メリット・デメリットは1次請けへの転職と同様です。

◆メリット
 − より上流工程を経験できる
◆デメリット
 − 手を動かす、技術的な領域には触れづらい

企業様としてはアクセンチュア様やアビームコンサルティング様などが該当します。こちらも同じく、開発現場で手を動かすことはありません

2-4. 社内SEへの転職

受注側から発注側に回りたい、というニーズや、残業時間など働く環境から、社内SEへのご転職を考えている方はとても多いです。
ですが、転職のハードルはとても高く、肌感覚ですが転職成功率は5%前後ほどかと思います。

◆メリット
 − より上流工程を経験できる
◆デメリット
 − 手を動かす、技術的な領域には触れづらい

2-5,6. クラウドサービス会社/ソフトウェアパッケージ会社への転職

こちらもかなりハードルが高いです。
※総じて言えることですが、SESから自社開発企業への転職の難易度は非常に高いです。

◆メリット
 − 自社開発を経験できる
◆デメリット
 − 社数が少ない/ほぼ内定が出ない

クラウドとパッケージの違いは、クラウド環境かオンプレ環境かという点です。
クラウドサービスはSansan様やhacomono様などが該当し
ソフトウェアパッケージはオービック様などが該当します。

2-7. Web受託開発企業への転職

ゆめみ様、アクセスユニバース様、トランスコスモス様などが該当します。

当然ですが、Webサービス開発が経験できることや、SESと比較し案件が短期間で変わる可能性が低いことから人気を集めやすいです。
デメリットとしては受注側であること自体は変わらないので、自社プロダクトに関われるわけではないことや、納期の厳しさなどが挙げられるかと思います。

◆メリット
 −  Webサービス開発の経験ができる
 − SESと比較し、モダンな言語/開発環境を経験できる
◆デメリット
 − 受注側のため、忙しさは変わらないことが多い

2-8,9. 自社Webサービス/自社モバイルアプリへの転職

企業様としてはWebサービスは楽天様、カカクコム様、エムスリー様などが、自社モバイルアプリはメルカリ様、Gunosy様、スマートニュース様などが該当します。こちらもハードルが高いです。

◆メリット
 − 自社開発を経験できる
◆デメリット
 − ほぼ内定が出ない

2次請けSESのエンジニアの方には、上記のような選択肢があるとご理解ください。

3. 本題:どのようにエージェントにご紹介いただくか

前置きが長くなりましたが、ここからはどのようにご紹介数を伸ばしていくか、4つの施策を紹介します。

3−1. 福利厚生/給与を充実させる

読者様の一存で決定することは難しいかもしれませんが、福利厚生や年収を充実させることは当然効果的です。
例えば

休暇を増やす:130日以上
平均の給与を平均よりも50~100万円(予想)高く設定する 

上記のような特徴があるだけで、求職者様へ強く訴求することが可能です。
給与に関しては、幅を広げるのではなく”下限年収”を上げていただくことを指します。
エージェントも求職者様も”下限年収”を重視することがほとんどです。

3−2. ストーリーテリングをエージェントに伝える

後ほどより詳細にお話しますが、エージェントにご紹介方法をお伝えすることも大事です。
特にストーリーテリングという手法は、求職者様に興味を持っていただくために効果的で、エージェントにとっても心強い武器になると考えています。

3−3. 各エージェントの、紹介順位のアルゴリズムを知る

3−1で記載した、「福利厚生の改善」をすぐに実行するのは難しいと思います。
即効性がある施策として、各エージェントが、どのように紹介する企業の優先順位付けをしているか、把握することをおすすめしています。

エージェントによっても異なりますが、以下の数字が良いと高く評価されやすくなります。

①内定提示数
②紹介料金
③書類選考通過数(通過率)
④選考結果の提示速度

入社の人数で売上が決まるエージェントからすると、①は必然かと思います。
②も売上に与える影響が大きいため、自明かと思います。
③④の数字が良いとエージェントから「熱い企業」と認定されます。

そのため、書類選考通過率の数字をよくする事で母数を増やすことは大いに有効な策かと思います!
すぐに紹介料金を上げることができなかったとしても、書類選考通過数を増やし、選考結果を提示するスピードを速めることで、エージェントからの紹介数をある程度増加させることが可能です。

参考までに「熱い企業」と認定される目安を記載しておきます。

●書類選考通過率 30%以上
●選考結果    翌営業日中に返答する

3−4  エンジニアの転職市場を理解して、自社が提示できる”魅力”を理解する

ここが一番お伝えしたい内容です。

エンジニアの転職市場を理解することで、初めて自社からどのような魅力を提示するべきかが見えてきます。

例えば二次SES企業として認知されている企業が、実は自社開発(SaaSや自社パッケージ)のプロダクトを持っていた場合、二次請けSES企業とバッティングした際に、大きな差別化ポイントとなります。

一般的に、右に行けばいくほど志望度が高くなる傾向にあります。

SES→SIer→受託開発→自社ソフトウェア開発→自社Webサービス開発

先ほど紹介したキャリアプランの中で、自社がどの位置なのか、またバッティングする企業と比較してどれだけ採用難易度が低いか(または高いのか)を理解できます。

また、エンジニアのキャリア、各企業の分類ごとの採用難易度を理解できることでエージェントに歩み寄ることができます。例えば、SaaS開発企業にいきたいSES企業に所属する求職者様がいらっしゃった場合、企業側から

「有名SaaS企業を受けている候補者様に、滑り止めとして当社(A社)の応募をいただけないか?」

と打診するようなイメージです。

エージェントとしても「SESのみの経験だけだと、SaaS企業の内定は厳しい」ことは認識しているため、滑り止めとしてご提示できる企業様がいると、求職者様のご意向を掴みつつ、応募獲得ができるため、Win-Winの関係かと思います。

まとめるとエンジニア業界の転職市場を理解した上で、自社の”客観的”な魅力をご提示することでエージェントとの協力関係をしやすくなります。


4. エージェント採用の落とし穴・注意点

最後に、エージェントと求職者様双方の意向が合致しているか否かのパターン別の注意点をお伝えします。

4−1. 求職者様のご意向とエージェントの紹介したい会社が一致する場合

この場合は両者Win-Winで転職活動が進むと思います。
この状況は、以下の場合に該当します。

求職者様の希望 = 希望会社のスキル要件を満たしている

逆にエージェントからすると自分の腕の見せ所であると思う方も中にはいらっしゃるかもしれません。
スキル感はマッチしているものの、見せ方等で選考通過率に影響がある可能性があるので丁寧に書類厳選をしています。

4−2. 求職者様のご意向とエージェントの紹介したい会社が一致しない場合

3−4のより具体的な内容になりますが、
エージェントのご支援の中でも頻繁に発生することがあると思います。
求職者様のご意向とスキル感がマッチしていない場合、
エージェントは以下のような対応をします。

①−1 求職者様のご希望にマッチした企業様と1軍(※後述)の企業様をご紹介する
 − 例えば大手企業やベンチャーかつ急成長している企業
② 上記以外に滑り止めとして2軍、3軍の企業をご紹介する

1軍とはネームバリューのある会社です。
例えば、NTTデータ、富士通、伊藤忠テクノソリューションズ、など。WebやSaaS系の企業で言えば、サイバーエージェント、グノシー、Sansan(敬称略)が該当するかと思います。

ネームバリューがある会社をご紹介できることをお話しして、求職者様のハートを掴みにいきます。
ただ通過するかはわからないので2軍、3軍の企業様をご紹介していきます。
(2、3軍の基準は会社の良し悪しではないので、下記の定義を読んでいただけますと幸いです!)

2、3軍に振り分けられる要素としては売上規模や有名度も含まれる可能性もありますが、3−3で記載した通り、エージェントのご紹介の優先順位が高いかどうかが大きいです。

優先順位を上げるためにはスキルアンマッチな方でも一旦書類選考通過をしたり、重複しますが、書類選考結果を即時にお伝えするなどが該当します。
かつ2軍の上位になるためには、自社内の採用活動の優先順位を上げてもらい、採用スピードを上げることが重要であるため、自社内の努力も重要になってきます。

当社から選考速度の重要性をブログにて発信しておりますので、ぜひご覧いただけますと幸いです。

5. 最後に

いかがでしたか?
現在ご満足いく紹介を得られていない企業様がいらっしゃいましたら、ぜひご参考にしていただけましたら幸いです。

エージェントと連携をしながら、採用成功まで導けることを祈念しております!

当社の採用/人事組織系支援にご興味がある方はお気軽にお声掛けください。

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