育てる気が無いなら新卒採用するべきではない
職種柄、大体このシーズンに入ってくると教育についての相談を受ける事が多くなります。このシーズンの対象は主として新卒採用した社員さんについての相談になります。
どういった教育カリキュラムが良いか、教育する上で外せないポイントはどこか、どれぐらいの基幹を初期教育にかけるべきか、など建設的な相談が多数を占めます。また業界の未来のためにも積極的にお手伝いしたいものだと思い、熱が入る事もしばしばです。また提案した教育資料なども積極的に取り入れて購入してくれる傾向にあるようです。
こういった教育に熱心な会社さんはさすがに人材も揃っているように感じます。また人材が揃っているからこそ無理な案件を自転車操業でこなす、といった負のループも少なく、良いお客様から安定した受注を獲得しているように見えます。当然と言えば当然ですが。
しかし、残念ながら一部の方々はあまり積極的で無い、自分から見ると否定的とも思える反応をしてくるお客様もいらっしゃいます。曰く「そういった資料を与えても読まない人は読まない。やる奴は勝手に育つ」「結局OJTで現場に放り込むのが一番」etc.etc.何のために相談されているのか分からなくなり、悲しくなる事もしばしば。。。他の案件でもあまり関わりたくないな、という感想しか持ちません。
一部には真理も含まれているとは思いますが、そこを基礎から教育するのが採用した会社の務めでは無いか、と自分は考えます。
OJTに放り込んで現場経験に効果があるのは確かにそうです。ただ、現場では場当たり的な仕事と断片的な知識の習得になりがちで、現場で仕事を回しながら土台から教育出来るような余裕が今日あるとは思えません。結果その現場では通用するが応用が全く利かない、といった人材が出来てしまう事になります。
仕事をしていく上での土台が出来ていない、というのは想像以上に恐ろしい事です。若いうちならば体力任せで仕事をこなせるかもしれません。がある程度年を取ってくると無理が利かなくなってきますし、また体力任せの上に精神をやられてしまい、以後辛い思いをしている人達も割と見てきています。情報学部卒でばっちり基礎が出来ている優秀な人材ならともかく、ほぼ業界未経験で入ってきた人達には土台をきちんと作ってあげる責務があると思うのです。
今は情報がネット上に沢山転がっているので、目端の利く人なら自ら学習したりするでしょう。もっと目端が利く人ならきちんと自分を扱ってくれる会社に転職していったりするかもしれません。バブルで右肩上がりイケイケどんどんの時代ならいざ知らず、今の時代は人材の自転車操業を繰り返していては会社も社員もまるで成長しないのでは無いでしょうか。
世の中では情報系の人材が足りないと言われています。実際に気軽にコンピューターを手に入れられるようになっての期間、現在の教育のカリキュラムなども影響しているのでしょうが、この情報系の人材が足りないと言われはじめたのは。分野が違えど結構な期間になるように思います。これはいかにバブル後土台の教育をおろそかにして人材を育ててこなかったか(それでもまだ儲かってしまっているので必要性を感じなかったのでしょう)のツケが回ってきているのでは無いでしょうか。
そこであえて言いたいのが表題です。本当にきちんと教育をして人を育てる気が無い会社は新卒を採用するべきでは無いと声を大にして言いたい。会社も新人さんも不幸になる道しか見えません。もちろん当人に学ぶ気があるのが前提ですが。
今は無料で教育資料や書籍などを配布して下さっている方々も多数いますので、学ばせよう、学ぼうという意欲があればお金をそれほどかけずともある程度の教育は行えます。また資金繰りの都合があったとしても、現場仕事をさせながら教育する事も出来るはずです。
これからの時代、こういった教育にまつわる部分が会社の競争力に大きく影響してくるように思えます。どうか不幸な人材を生産しない為にも、きちんとした教育をしてくれる会社が増える事を願ってやみません。
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