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「ナチスを見習え」

abstract


春が来たりて”クマちゃん”達がまたニンゲンを狙い始めた。飢えたまま冬眠にはいった凶暴な”クマちゃん”だ。
また「クマを殺すな!クマを殺すのは殺人と一緒!」の声がおきるのだろうか?





この道はいつか来た道、ナチスの道。「動物愛護」と「ガス室」は同じ道――なんて書くと唐突だが、もはやますます「動物がかわいく人間化」され、一方で「人間としてあつかわれないニンゲン」が増えていく。これは決して比喩的な意味ではない。ヒトラーは友人の死にはほとんど感情を示さなかったが、飼っていたカナリアが死ぬと涙を流したという。

そんな不気味の思いを強くしたのは、今年の初頭だ。正直いうと吐きそうになった。
多くの人が死んだ事故であるので周辺的な話題は控えていたのだが、日航機と海上保安庁の飛行機が羽田空港で衝突した事故だ。

前日に能登半島地震が発生し、被災地へ一刻も早く救援物質を送ろうとする使命感の中、海保機の乗員5名が殉職してしまった。
だが、そんな日本国民の生命安全のために尽力し殉職した5人の命のことなどそっちのけで、一言もお悔やみをいうことにもせず、某女優やら某大物俳優の娘などが「本当に本当に辛いです。どうか飛行機に動物たちが乗っていませんようにと祈っていました」や「日本遅れてる!世界から取り残される!ペットも人間と同じ扱いを」などといいだした。ネットでも「ペットも家族だよ。ペットも旅客室に持ち込ませて」と犬や猫が荷貨物扱いの航空会社の「非情さ」への非難の声があがったのだった。
あまりのグロテスクさに私は吐きそうになってしまった。いや事実として、嘔吐した。

石田ゆり子インスタより


JALの旅客機から、379人の乗客乗員が全員脱出に成功した奇跡を称えるより、貨物室のペットが2疋助からなかったことで燃やし始めた人たち、これ、なんだか既視感あるなあ、とおもったらあ、ア、あれですよ、あれ、チョット前まで、クマを駆除したら「殺すな!」と暴れてた人たちだ。



ご存知、2023年の終わりといえば、クマ駆除に「殺すな」と電話口で号泣する都会の人達が続出したのだ。東北各県の役所には「殺されるクマの身にはなれないのか」「親熊が殺された子熊の気持ちを考えて!」「クマは悪者じゃないよ」「クマちゃん殺すなんて人殺しと変わらない」など抗議電話が殺到した。なかには「クマ駆除に武器は卑怯だ。素手で対応しろ(←????)」といい出すひとまでいた。


あまりの意味不明なクレーム電話の飽和攻撃に、「これ、実は熊に脅迫されて電話かけさせられてるのかも?」とまでいわれていた。

「熊を殺すな!」と号泣錯乱する人々、クマの被害で多くの「人間」が生命安全の危険に晒されている状況下なのを理解しているのだろうか。同様に「ペットは家族だよ!一緒に連れださせて」という人々は、ほんの数分でも脱出が遅れたら多くの「人間」が機内に閉じ込められ焼死したかもしれない状況を理解しているのだろうか。

こうした動物愛護の声をみていると、私は自動的に「ナチスを見習え」という叫び声のように変換されてしまう。

ナチスはものすごい先進的な「動物愛護」の国であった。「動物」たちに慈しみ深い「大衆」に支持された。そして、彼等は「動物」たちの苦痛に人一倍に鋭敏だったのである。
ナチス政権では1933年に動物に関する保護法律(Reichstiershutzgesetz)を成立させたのだが、たとえば「一流の生物学者が実験中にミミズに十分な麻酔をかけなかった」として叱責処罰されたことすらあるのだ。


なんでそんなことになってしまったか――私は安直に「ナチスと一緒だ!ナチスも動物愛護をしていたから動物愛護はダメ」などというものでは全然ないが、現代の動物愛護の「動物には優しく、人間に無感情という心理構造」はナチス時代と全く同じものである。その心理を徹底的に利用することこそがナチスの目的であったといってもいい。「動物の愛護を主張するひとびとが、本当に願っているものとはなにか」――この残酷の意味がナチス政権下でわかりやすく示されたのだ。

ナチスのヘルマン・ゲーリングが、動物実験の制限をラジオで発表すると、親しみをもった隣「人」である家庭や農場で飼われている動物への深い愛情から第三帝国のドイツ国民は自分たち「哀れみの深い国民性」にうっとり感動した。現代日本よりも遥かに動物愛護がコンセプトだったナチスドイツが、一方ではユダヤ人を強制収容所に送りガス室で殺し、また障害者たちを強制断種させてきた。
これは偶然? いいえ――連続線上にあるのだ。動物愛護からホロコーストへの道筋は綺麗に舗装されている。「動物への深い愛情は、人間への感情の欠如と心理的に結びついている」仕組みを利用したのがナチスのイデオロギーの要諦ですらある。

このナチスの動物保護法のコンセプトは「コペルニクス的転回」と称賛され、ドイツ国民たちを熱狂させたのだが、なにが「転回」なのかといえば、現代日本の動物愛護の法律と発想自体が異次元レベルで違っていて

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