マイクラは人生
マイクラ
最近、長男がマイクラに(マインクラフト)はまりました。マイクラが人気なことは当然知っていましたが、ゲームをほとんどやらない私はどんなものか正直知りませんでした。
11月くらいに買ってもらい、1週間くらいは新品効果でやっていましたが、それ以降はほとんどやっていません。それはマイクラの特徴ゆえにです。
知らない人もいると思うので、マイクラの説明をひと言で言いますと、製作ゲーム。広大な無人島のような場所が存在し、特にやることは与えられません。一応最後の敵っぽい存在はいますが、別にそれを倒せとも言われません。何も見なければその存在すら知り得ないでしょう。
一般的なゲームは、ボスがいて、それを倒すために経験値を積んだり、仲間を集めたりする。ボスがいなくても最終目的があってそれに向かっていくのがほとんどです。
でも、マイクラはやることが与えられません。何してもよいのです。何もしなくてもよいのです。難易度を一番簡単なものにすると、敵すらでません。本当に無人島で過ごす感じ。ゲームなのでおなかがすいたり、のどが渇いたりもしません。
つまりは、目的や楽しみを自分で見つけ出す必要があるのです。この目的や楽しみを自分で見つけ出すって結構大切なことだと思いませんか。大きく言ってしまえば人生もそうです。どんなことでも楽しみを見いだせる人ってどこでも生きて行けそうだし、逆にどんなことにも王様気分というか他人任せというかする人はいつも不満を持ちがちです。
そういった意味でマイクラというゲームをするっていうことは思っている以上の価値がありそうです。さすがマイクロソフト。
憧れはYouTuber
しかし、冒頭で書いたように我が子は一度マイクラを離脱しました。なぜまたやりはじめたかというと・・・。先ほどの「マイクラは目的や楽しみを見つけ出すゲーム」ということを思い出すとつながってきます。何もないところから欲とか目的とかは生まれません。欲は他者からきます。
そう。トップオブYouTuberのヒカキンさんです。野球を知らない人でも大谷翔平を知っているように、YouTubeを特に見ない人でもヒカキンさんの名前は知っているでしょう。私も同じです。
息子もどこかでヒカキンさんの存在を聞いて知ったのでしょう。ある日突然「ヒカキンさんのマイクラの動画が見たい」と言い出したのです。
そしてむさぼるように見まくります(きちんと休憩は挟みながらです笑)。もちろんアップロードされている動画数は膨大なので全部は見てませんが、ことあるごとに「ヒカキンさん見たい」と。
また、マイクラ界では超有名らしい(知らなかったおじさんです)「まいぜんシスターズ」というチャンネル。このチャンネルの動画も見まくります。
その動画を見た後は、意気揚々と私にマイクラの知識を語り、おもむろに自分でもマイクラの中で、家を作り始めたり、自動ドアを作ったり、なんか巨大なロボットのようなものを作り出したのです。今では動画を見るのと、自分で作るのと半々の割合です。
「ヒカキンさん」や「まいぜんシスターズ」を師匠として、師匠の行動から自ら学び、マイクラでできることが増えていきました。「僕もyoutube撮ってみたい」と言うまでです。
いかにも現代っ子っていう感じがしますよね笑
憧れになりましょう
さて、何が言いたいのかというと、憧れの重要性です。
以前よりも一人で過ごすエンタメが増えました。コロナの流行もあって、むしろ一人の方がいいという人も増えました。教育界では、個別最適化の言葉の流れもあり、個が重視され、以前より他者との関わりが減りました。「自分の好きなことで生きよう。」というフレーズも流行りました。
一つ一つの言葉はその通りだと思いますし、嫌々な生活では100年時代を生きてはいけないと思います。
しかし全体を通して見ると、個が重視されていくにつれ、他者の存在価値が低くなっているように感じるのです。
未体験ってドキドキしてみんなが求めそうな言葉に聞こえますが、現実みんなが選ぶのはドキドキではなく、安心です。食べたことないものではなく、食べたことのある定番を注文するのと同じです。でもこれは人間の本能として当然です。食べたことがないものは毒が入っているかもしれない。生存本能が安心を選ばせるのです。
とはいえ、今は好きなものもはじめは、好きかどうか分からなかったはず。とりあえず食べたり、とりあえずやってみたりしないと分からないはず。そうですよね。
何故食べたか。何故やったか。それは、親がおいしそうに食べていたから。兄が楽しそうにしていたから。つまりは他者の存在です。身近な他者の影響です。そこから憧れが生まれ、「私も食べてみたい。私もやってみたい。」となるのです。
子どもって友達が持っているものを欲しがるじゃないですか。匂いつき消しゴム。バトル鉛筆。折りたためる定規。アイドルの下敷き。今まで興味なかったじゃんってものでも、欲しがりますよね。あれと同じ原理です。
では、私が読者として想定している小学生の親御さんに向けての言葉にします。
人生とはマイクラです(言い過ぎだと思ってもだんまり読み進めてください)。動物的には生きること自体が目的ですから、生きていれば本来何をしてもよいのです。
ただし、生きるだけを目的にすると、つまらなく感じるのも事実です。生きるため(生活費を稼げるようにするため)にしている人もいるのではと感じています。それでは子どもが生きづらさを感じるのも無理ありません。(個人的には不登校増加の一番の原因はこれではないかと思っています。)
そこで、我が子のマイクラの状況と同じように、憧れの他者がいると欲が生まれます。欲の存在が成長したいという気持ちを生みます。
子どもに「勉強しろ!」「そんなんでは働けないぞ!」と脅しても短期的で、子どもはすぐに反発します。
長い目で子どもの成長を願うのであれば、脅しより他者です。一番いいのは憧れです。友達。近所の兄ちゃん。兄弟。習い事の先生や先輩。そういった存在が欲につながり、「頑張ろう」という前向きな気持ちを生むのです。
だから、私の仕事である居場所づくり支援員の役割は、勉強させることではなく、他者との関わりだと思っています。なぜなら、引きこもってしまう一番の損失は他者との関りが圧倒的に減ることだからです。
え!?そんなに身近に憧れはいない?じゃあ、親御さんがなるしかないですね笑。
大谷選手の「憧れるのをやめましょう」という言葉が大流行しましたが、私が流行させたい言葉は「憧れになりましょう」です。
簡単ではない道です。ともにがんばりましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。何かの参考になれば幸いです。素敵な一日をお過ごしください。
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