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にとり
2021年6月30日 15:54
この記事は、前回の記事「ALL ALONE」のあとがきです。これは自分と自分の対話のお話「二人きりでないと話せない」「帰りにイヤホンをしたら急に一人になる」「自分の分しか飲み物を買わない」ということから分かるように、ただ一人で歩いている時間に、頭の中で二つの感情がぶつかっているシーンを対話として表現したこの小説。基本的には二つの異なる感情同士の意見が対立しているように見えるが、時折、「それ
2021年6月26日 21:49
人の顔も明瞭に見えない真夜中で点滅する黄色信号は、自分の将来に対する不安に似ていて嫌いだった。夏の暑さも眠りに落ちる午前2時。僕たちは二人きりでないと話せなかった。それだけお互いを尊重していたのだと思う。一方が意見を出せば、もう一方はその意見を聞く。自分でも非常に良い関係だと思う。来週に迫った上京の日。思い返せばこの日が近づくほど、その会話に込められた感情は激しくなり、対話の時間は長く
2021年5月4日 23:15
この記事は前回の「Oxymoron」のあとがきです。1.「Oxymoron」の意味「Oxymoron」とは、撞着語法(どうちゃくごほう)のこと。撞着語法とは「明るい闇」「冷たい情熱」などの矛盾した意味の言葉を一つの文脈に入れること。今回では、「明るい闇」「臆病な自尊心」「無音の悲鳴が喧しい」「生き方で殺す」などの表現がそれに該当する。効果としては注意を惹きつけたり、その描写について考え
2021年5月2日 21:32
梅雨。薄暗い体育館に幽閉されていたからか、雨上がりの夕暮れはこの世のものとは思えないほど美しく見えた。僕は今日のホームルームを終えた後、一人で図書室へ向かう階段を登った。一つ階が増える度に人の気配がなくなり、遂に誰もいなくなった五階に図書室があった。ドアを開けると、中には誰もいなかった。そして、窓から見える夕暮れの美しさにつられるように窓際の席に座った。一人の時間が好きだった僕は、毎日