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【無料記事】一本頂いたよ!

maya様の素敵なイラストを使わせて頂きます。ありがとうございます。

ローカルな赤提灯では、次のような光景が見られる。

店主の手がふさがっていると見たカウンター席の常連客が、店に入ってきたばかりの別の客のためにカウンターを拭いてあげたり、皿を下げたりする。

あるいは店主が忙しいと、常連客が店の冷蔵庫から自分のためのビールを取り出して「一本いただいたよ!」と知らせるような光景も見かける。

まさに、アットホームな気持ちでいるがゆえにできることである。

もちろん、このような行為はごく信頼されている常連客の特権であり、いくら常連客とは言え、店によっては嫌がるところもあるので、許されることをよく承知していないと、「馴れ馴れしい奴だ!」とヒンシュクを買う恐れがある。

いずれにせよ、そのような光景が目に入ったら、少なくともその当人にとってその店はまぎれもない〈第三の場〉だと言えるだろう。

英語で、“ a home away from home”という言い方がある。

「自宅ではないが自宅のように気楽な場所」を指す表現だが、日本では赤提灯ほどこの表現に当てはまる場所はないと思う。

—『日本の居酒屋文化~赤提灯の魅力を探る~ (光文社新書)』マイク・モラスキー著

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