見出し画像

お金を働かせる為の考え方⑩信用取引と現物取引の違いを知ろう

 株の売買と聞くと、リスクが大きい。株が暴落したら元手よりも多くの損害を受けて借金になり、生活が破綻する。ドラマなどで株が暴落して多額の借金を抱えているのを見た。

 そんなイメージを抱えている人が多いように思う。これは現物取引と信用取引の違いを理解していないから起こることだ。

 私がずっとおすすめしているインカムゲインやキャピタルゲインを狙った株式投資で資産を増やす方法は、全て現物取引の株式投資での話をしている。

 現物取引の説明をまずしよう。

 現物取引とは、自分のお金で株式を買って、その株の価値の上下で取引を行い、利益を出すことだ。または以前説明した、配当によって利益を得ることで資産を増やす方法だ。

 3000円の株を1つ買ったら、その3000円の株が上がった時に売れば利益が出るし、下がった時に売れば損失になる。もし4%の配当が出る株なら、年に2~3回、120円の配当が何もしなくても株を持っているだけで貰える。

 この120円を増やしていくのがお金が勝手に増える貯金箱、つまりインカムゲインを狙った株式投資だ。

 現物取引で借金を負うことはない。どれだけ株の価値が下がったとしてもマイナスになることはない。証券会社から支払いを求められることはない。

 では株で借金が膨らむというイメージはどこからきているのだろうか。

 これは信用取引の話だ。

 信用取引とは証券会社からお金や株を借りて行う取引のことだ。簡単に言ってしまえば借金をして元手より高い価格の株式を取引できるということだ。

 元手が3000円であったとしたら、その3000円を担保に最大3倍(楽天証券では最大3.3倍)の9000円の取引ができる。実際には最低委託保証金が設定されているので信用取引をするには最低でも30万円程度のお金が必要になる。

 さらに委託保証金率が設定されているので、委託保証金率が30%に設定されていれば、その金額が担保にないと約定することができない。委託保証金率とは、信用取引で新規建玉を建てるために必要な保証金の割合のことだ。

 簡単に言えば信用取引をするには最低金額の担保を証券会社に預ける必要があり、信用取引をするには、その取引の数十%の担保がないとできませんよ、ということである。

 ではどのようになると信用取引で借金を負うことになるのだろうか。

 信用取引で30万円を担保に100万円分の株を買ったとする。この株が上がれば現物取引では得られない利益が出る。

 借金を背負うとはどういうことか。もうお分かりかと思う。信用取引で株価が下落したときだ。

 100万円分を証券会社に借りてその株が69万円になってしまったら損失は31万円になる。
この時点で損失は保証金よりも上回ってしまう。 

※楽天証券より引用

こうなってしまうと担保である保証金が足りなくなってしまうため、追証(追加保証金)と言われる、担保金の追加を証券会社から求められるわけだ。

 追証(追加保証金)とは?

先ほども言ったように信用取引の委託保証金には「最低保証金率」が定められている。これは信用取引をしている金額に対して、最低でも常にこれだけは維持しなければならないという保証金の割合のことだ。

その割合が株価の急落によって維持できなり、追加の保証金の入金が必要になるのを追証が発生したという。

楽天証券より引用その2

 追証が発生してから定められた日時までに保証金が追加されなければ、証券会社がルールに則り全建玉の反対売買を執行する。つまり株を全て売却されるということだ。

すべて売却してもマイナスが解消されない場合は証券会社から入金を求められる。

 これが信用取引で証券会社に借金をしてしまった状態だ。

株が暴落して追加で入金しないと損失が確定してしまう。お金を貸してくれ! と親戚などに泣きついている様子がこの構図にあたる。追証を入金すれば少なくとも株は強制的に売却されないので、そこから株価が戻れば損失を確定せずにすむ。

 現物取引であれば、30万円で買ったものが10万円になることはあっても(それはとても悲しいが)借金を負うことはない。多くの人が株が怖い、株はリスクがあると言っているのは信用取引のイメージである。

 現物取引であれば、減ることはあってもマイナスになることはない。米国株のETFのインカムゲインを狙った投資法などは、下がっても必ずもとに戻り、ずっと右肩上がりできている米国株を信用した投資方法だ。

 リスクはある。未来に絶対はない。特に株式投資に絶対はない。これから戦争が始まってアメリカが中国に大敗して米国株が大暴落して数十年戻らないという可能性も0ではない。

 どんな未来が待っているかはだれも予想できない。ただ言えるのは、どんな会社でも業績を良くしようと人が努力しているし、その為によりよい製品、サービスを日々考えている。

 株価が上がったり下がったりを繰り返すのは人(投資家)の心理でもあり、会社は基本的に業績や株価を上げようと努力している結果でもある。特に米国は株主ファーストだ。株価をいかに上げるかを最優先にしている。

 株価が不安定なのであれば、価値が安定されているといわれる金などに投資をするのも一つの方法だ。

それに現金で持つことも実は同じリスクを抱えている。現金も一つの投資商品だからだ。

 リスクがないから貯金しているという人もいるかもしれないが、日本円も日々、その価値は変わっている。現在、円の価格は1ドル150円前後をずっと行き来している。

円が1ドル100円であったころには、アメリカで1ドルのものは100円で買えた、それが今では150円出さないと買えなくなった。それだけ円の価値が下がったということだ。日本政府の信用がなくなり円が大暴落したらトイレットペーパー1個が100万円払っても買えなくなる可能性も0ではないのだ。

 投資の世界では、タンスに入っているお金の価値が日々変動している。

 現金(日本円)も含めて価値が変わらないものはない。野菜でも土地でもそのへんに落ちている石でさえ、世界的な目で見れば価値が変動している。

 それならば少しでも価値の上がるもの、その可能性が高いものに投資したほうがいいと思わないだろうか。

投資するということに興味を持ち、増える可能性が高いものに投資をして、人生を豊かにしよう。それが投資家からのアドバイスだ。

今回は現物取引と信用取引の違いについて説明した。

どうだろうか。投資のイメージが変わったのではないだろうか。現物取引のリスクは信用取引に比べてはるかに少ない。ギャンブル性もない。
もちろん信用取引を否定しているわけではない。大きなリターンを得るにはリスクが必要だ。

銀行から融資をしてもらってベンチャー企業に投資するのも信用取引と同じことだ。正しい知識と経験でリスクをとって運用することも大きな資産を短期間で築くには必要なことだ。前回の記事で説明した法人化するメリットである有限責任も、こういったリスクをコントロールするために必要なテクニックだ。

ただ投資初心者や、誰かから進められて信用取引を持ち掛けられたということであれば詐欺の可能性もあるので気を付けてほしい。

 投資初心者や何も知らない高齢者に信用取引を進める投資家はまずいない。ましてや絶対に儲かる絶対に上がるから信用してほしいなどというセリフは絶対に言わない。そんな誘い文句で信用取引を持ち掛けられたら詐欺と思って間違いないので警戒してもらいたい。

 追証が発生したらから追加で300万円必要だ、などと言ってお金を搾り取られるのがおちだ。

 投資初心者はまず現物取引、配当を狙った投資方法で貯金の代わりに投資を始めてほしいと思う。過去の記事で詳しく書いているので興味を持ってくれた人は読んでみてほしい。

この記事が参加している募集

お金について考える

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?