西谷格(ライター)

フリーライター。81年神奈川県藤沢市生まれ。地方新聞記者を経てライターとなる。09〜1…

西谷格(ライター)

フリーライター。81年神奈川県藤沢市生まれ。地方新聞記者を経てライターとなる。09〜15年まで中国・上海在住。現在は週刊誌等で取材・執筆を行う。

最近の記事

『スマホ脳』の要旨・感想

 「スマホは有害!」という話が256ページの紙幅を費やして繰り返し主張されている本。今まで漠然と思っていたことを、科学者らしい説得力で諭された感がある。以下、要旨。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 【1章】 ・原始時代と現代社会はまったく環境が異なるのに、生物的には人間は原始時代のまま。原始時代は人口の10〜15%が他殺で死んでいた究極の弱肉強食の世界。一方、現代は衣食住の心配が不要で、安全が保たれている。死ぬ心配はほぼゼロ。 【2章】

    • 『出版翻訳家なんてなるんじゃなかった日記』の感想

       読み始めてしばらくすると、ある脚注に目が釘付けになった。 ”これはのちに『英語を10倍楽しむ方法』(近代文芸社)として出版された”  そうか、この本の著書の宮崎伸治さんは、『英語を10倍楽しむ方法』の著者だったのか。『英語を〜』は1996年に出版された英語の勉強法についての指南本で、高校生の頃に私はこの本を読んでいた。歯切れのよい文体、行間から溢れ出る英語力への自信、どこかユーモラスで諧謔的(あるいは自虐的)な言葉の使い方は今も昔も変わらず、懐かしい思いがした。出版社と

      • 15歳少年、香港を燃やす〜〜半歩遅れの現地ルポ(5)

        蹴り倒される中高年女性 広場には工事現場が隣接しており、その仮囲いの白い壁が、即席のレノンウォールとなっていた。参加者たちがポストイットを使ってメッセージを書いたり、張り紙を貼ったりしていた。  その仮囲いのあたりが、急に騒がしくなった。少年が足早に近づいて行ったのでついて行くと、中年女性が4〜5人のデモ参加者たちから、何か罵声を浴びせられている。 「あの女、撕紙狗(=紙を剥がす犬)だよ」  デモ活動を良いと思わない人のなかには、レノンウォールの紙を剥がしていく人々もい

        • 15歳少年、香港を燃やす〜〜半歩遅れの現地ルポ(4)

          「明日は釣り行きますか? 一緒に行ってもいいですか?」 出会ってから2週間後、もう一度少年にメッセージを送ってところ、翌朝、返事が届いていた。 「ケータイ壊れちゃって、今は母さんの使ってる」 「なるほど。今日はどこか出かける? よかったら、一緒にご飯でもどうですか?」 「OK」 「場所はどこがいい?」 「夜8時、チャーター・ガーデン。前線で会おう」  ちょうどこの日は、香港政府近くの公園で、平和的デモが行われる予定だった。が、時間帯から考えて、平和的デモの途中か

        『スマホ脳』の要旨・感想

          15歳少年、香港を燃やす〜〜半歩遅れの現地ルポ(3)

           平日の9月3日、香港政府庁舎のすぐ裏にある添馬公園(タマル・パーク)で、昼過ぎから労働組合主催の集会があるとの情報を目にし、行ってみることにした。  途中、政府庁舎の前を通ると、かつて雨傘革命を取材したときに見かけた巨大な「レノンウォール」(デモ参加者がメッセージを記した街中の掲示板。当時はレノンウォールという言葉は使われていなかった)となっていた階段が目に入った。見覚えのある景色に懐かしくなったが、壁には繰り返し張り紙を剥がしたノリの跡がポツポツと白く残っており、スプレ

          15歳少年、香港を燃やす〜〜半歩遅れの現地ルポ(3)

          15歳少年、香港を燃やす〜〜半歩遅れの現地ルポ(2)

           そんなわけで、8月末に香港に到着。最初の3泊は、現地在住の日本人駐在員Z氏の自宅に泊めさせてもらった。その週末の8月31日は、のちに「831、打死人!(=8月31日、殴り殺された)」というスローガンになって語り継がれるほど、激しく対立した。警察が地下鉄車内で、乗客を無差別に殴打したことから、政府への批判が強まった。香港デモはデモ隊・警察の双方が少しずつ暴力の度合いをエスカレートさせていったが、8月31日のデモは、暴力の程度が一段階上がった日と言える。  デモの様子を記事に

          15歳少年、香港を燃やす〜〜半歩遅れの現地ルポ(2)

          15歳少年、香港を燃やす〜〜半歩遅れの現地ルポ(1)

           かなり乗り遅れてしまった感があるが、香港デモを取材したときの話を書きたいと思う。  取材した主な期間は、8月末〜10月末で、約2カ月間。原稿はちょっとずつ書いていたのだが、この1、2カ月ほどは香港と関係ないお仕事(これも大事なのですが)をしているうちにドンドン時間が過ぎてしまい、気づけば年末に。本当はもう少し順序よくまとめてから世に出そうと思っていたが、もう書き途中でいいや! とにかく誰かに読んでもらおう! 残りはあとから書き足そう! という心境で、この場で出すことにしま

          15歳少年、香港を燃やす〜〜半歩遅れの現地ルポ(1)

          #自己紹介

          最初の投稿は自己紹介が良いらしいので、簡潔に自己紹介します。 氏名:西谷 格(にしたに ただす) 職業:フリーライター(主に中国関係) 略歴: 1981年 神奈川県藤沢市生まれ、38歳、未婚。 2000年 神奈川県立鎌倉高校卒業(部活は吹奏楽部) 2005年 早稲田大学社会科学部卒業 2005年 新潟県の地方新聞「新潟日報」で記者として働く。2年ほどで退社し、ライターとなる。週刊ポスト、AERAなどで働く。 2009年〜2015年 中国・上海在住。移住したきっ