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【復刻版】ロシアから見た北朝鮮の核(創成期)・核保有国への道(後編)

【この記事は復刻電子版です。最新の記事・情報ではありません】1994年に取材。同年6月にテレビ朝日・ニュースステーション特集で2週連続で放送、集英社・週刊プレイボーイで2回連載した記事を編集しました。

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ロシアと北朝鮮は30年以上の長い技術交流の歴史がある。ロシアは北朝鮮技術者の人材育成に協力し、原子力施設を提供してきた。我々は謎の多い北朝鮮の核開発の実状を知るためにロシアの専門家を訪ねた。
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核技術の足跡を見つけて

北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)の原子力開発はロシア(旧ソ連)の協力によって始まった。北朝鮮とロシアは1956年に『原子力研究協力協定』を締結し、59年になると『原子力平和利用に関する議定書』に調印した。それから30年以上にわたって、ロシアは北朝鮮に原子力開発の援助を行なってきた。

原子力開発の援助とはどのようなものだったのか、具体的な例を私たちは知らない。今回のロシアへの旅は、ロシアの専門家たちにこの点を確かめる取材となった。
私たちは、北朝鮮とロシアによる技術協力の足跡を求めてモスクワから150キロほど離れたドゥブナ市に車を走らせた。

ドゥブナ市は国際核研究所とともに発展した街である。人口6万7千人のうち、研究所で働いている人は、市の人口の半分近くの2万7千人にもなる。それゆえ、道路や住宅など生活環境が整備された、ロシアでは珍しいこざっぱりした街だった。

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