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選んで引きたいオンライン辞書 ―英英、英和/和英、国語―

この記事では、無料・有料を問わずインターネットでブラウザから引ける20以上の辞書を、それぞれの特長・注意点とともにまとめています。

前回の記事後半では、タブブラウザVivaldiと操作自動化ツール(例えばBetterTouchTool)を組み合わせ、オンライン辞書を串刺し検索して結果を一覧する手順についてご紹介しました。

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そのついでで書き始めたはずのオンライン辞書紹介が、思ったより肩に力の入った分量になってしまったため、独立した記事にしました。

ネット辞書を使い分ける参考としていただければ幸いです。

※2.4万字あります……。

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📌注意書き

● 元々の目的上、URLを直接叩いて項目を検索できるサービスのみ扱っています(今のところは)。
信頼性などの点で人を選ぶと判断したサービスは外し、おすすめの辞書に限りました。Urban Dictionary〉とかアレとかアレはこの理由で除外。
● 略称は公式なものとは限りません。以前書いた記事と整合するとも限りません。
● 白抜きのURLテンプレートは、自動化ツールでの使用を前提に、項目ページのURL(または検索用URL)を記載しました。「★」に検索キー(クリップボードのテキスト)を代入してください。
● くだくだしい説明文は私の印象なので、参考程度に……。

なお、辞書ごとの凡例がオンライン辞書内で公開されていれば褒め、なければ不平を垂れています。
凡例は辞書の取説であり、これを読みこなすことが最短で辞書を上手に使うための裏ワザです……というのは嘘で、本来はド正攻法なのですが、誰もやらないので裏ワザになっています。(「道路標識を知ることが安全運転の裏ワザ」と言ってるようなもんで変な話です。)
凡例(&序文)こそが辞書の方針を知る王道にほかならず、道具はその構造や意図を把握してから手に取る方が効率が上がるに決まっているわけです。

辞書の使用前には凡例を一読することをおすすめしますし、と同時にサービス提供者にも凡例を省略せず掲載することを強力におすすめする次第です。

【2021/9/6追記】辞書マニアの翻訳者であるbaldhatter(禿頭帽子屋)さんが、「尻馬記事」という素敵なタイトルで、当記事へのコメントを書いてくださいました! 当記事の構成と合わせて学習英英編一般英英編英和編国語編があります。下記の各セクションでも改めてリンクします。是非、合わせてお読みください。

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🌎主なオンライン英語辞書

英語のオンライン辞書は極めて恵まれた環境にあります。
毎回言ってますが、英語辞書は次の2種に大別されます。

● 学習者(非母語話者)向けの学習辞書
● 母語話者向けの一般辞書

まずは英英辞書をこの順に紹介します。

📚ネットにある 学習英英辞書

ノンネイティブ向け英英辞書である学習英英辞書は、Big Fiveと呼ばれる〈OALD〉〈LDOCE〉〈COBUILD〉〈CALD〉〈MEDAL〉と、それに加えて〈MWALED (MWLD)〉という6種があります。
もともと書籍として売っていた辞書ですが、いまは全てオンラインで無料公開されています。すごいですね(語彙力)。

ノンネイティブ向け辞書の「ノンネイティブ向け」たる所以は次のような点にあります。

✅ 語義を平易に説明。語釈が難解すぎて困る、というトラブルは少ないはず。「語釈に使える単語」を明確に定め、その範囲内で説明する学習英英辞書も多い。
その語の表すことをフレーズや文章で明らかにする。言い換え語の羅列ではありません。
その語が文章や会話で使用される頻度を表示。よく見聞きする語は知っておく必要性も高い。
語を文法・語法の面で解説。ネイティブなら直感的にわかる品詞や活用、あるいは一緒に用いることのできる/できない語句なども、ノンネイティブが正しくその語を使いこなすには良質なガイドが不可欠です。
✅ 例文が豊富。語の用法を学ぶには、前後関係のわかる洗練された文を分析的な目で見るのが有効。

「学習」辞書だから学生向け、ということではありません。ネイティブスピーカーではない、その言語を学ぶ途上にある人を指向して編集されたのが学習辞書です。そのため、言語習得に重要なポイントを手厚く取り上げ、説明は読みやすく、また読解(受信)だけでなく作文・会話(発信)の役に立つように編まれています。

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〈OALD〉enjoyより

例えばこのように文法コーナーを設けるのが学習辞書の特長。
英英辞書を使えるレベルのノンネイティブにとっては、学習英英辞書は引いてみる価値があるでしょう。

ただし、専門的な用語や意味、文語や古語、古い意味・用法、固有名詞といった、学習者には縁遠そうな情報は載せていないか、小さな扱いです。こうした語・用法に対しては、後述の一般英英辞書の出番となります。

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以下、6種の学習英英を紹介しますが、学習英英に限らずすべてを兼ね備えたパーフェクトな辞書はありません。ある有用な情報はA辞書に載るのにB辞書にはなく、別の記述はB辞書で取り上げているがA辞書では扱わない、なんて例はザラにあります。月並みながら、たくさん引き比べて、ご自分の目的にかなうもの、そして自分に合うものを探すのがおすすめです。

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●〈OALD

―― Oxford Advanced Learner's Dictionary

oxfordlearnersdictionaries.com/definition/english/★
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英オックスフォード大学出版局の学習英英。サイト名はOxford Learner's Dictionaries。
語釈はオーソドックスと言うか優等生的。3000語に限定されたやさしい語彙のみを用いて書かれ、そこからはみ出た語は緑色に変えて表示されます。例文が量的にも質的にも強いという印象です。
文型や前置詞との組み合わせなどはよく取り上げていますが、その違いに応じた意味合いの説明が弱い感じがします。例えばknowとknow ofの違いは、knowの項目から知り得ないのではないか。

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(〈OALD〉knowより)

「know of」という表現の存在することはわかっても、解説が添えられておらず、読み手の知識任せです。

〈OALD〉の構造として、同じ綴りの単語は品詞ごとに項目を立てます。オンライン版では品詞によりページ自体が分かれるので、検索結果から表示された項目が目当ての品詞ではなかったときは、Other results欄で品詞違いの項目をチェックしてみてください。

|||〈OALD〉のここが面白い |||
語の文体ニュアンスといった、作文をするうえで大切な知識をformal/informal、approving/disapproving、literary/slangなどのラベルで教えてくれます。こうした情報を示すのは〈OALD〉だけではありませんが、他の英英より小まめにラベル付けしているように思われます。(もっとも、日本の学習英和は更に細かく付けているものがあるかもしれません。)

詳しい凡例はなさそうですが、Resourcesのページがあります。特にGuide to Symbols and Labelsは目を通しておくとよいでしょう。
なお、日本での書籍版発売元である旺文社使い方を詳しく説明した小冊子「OALD10 活用ガイド 辞書編」を無料公開してくれています。学習辞書の全般的な手引きとしても参考になり、おすすめです。

||| メモ |||
〈OALD〉の系譜をたどると、おおもとは日本の開拓社が1942年に刊行した〈Idiomatic and Syntactic English Dictionary〉辞書で、編者のひとりHornbyは当時日本で英語教育に携わっていました。その〈ISED〉は外国人英語学習者向け(EFL)辞書というジャンルの草分けになり、現在でも〈新英英大辞典〉の書名で開拓社から販売されています。

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●〈LDOCE

―― Longman Dictionary of Contemporary English

ldoceonline.com/dictionary/★
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英ロングマン社の学習英英
好き好きでしょうが、個人的には画面構成がすっきりしており見やすい。頻出コロケーションも用例を添えて目立たせるなど、良くも悪くも〈OALD〉とは似た印象があります。語釈はやさしく書かれ、後述の〈COBUILD〉同様に、フルセンテンスになっている場合もやや多いか。
要所にGrammar欄があり、「✗ Don't say」として誤用例が明示されるなど、ノンネイティブ向けの解説はていねい。ですが、〈OALD〉と同じく動詞句のニュアンスが手薄な感じもあります。

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〈LDOCE〉thereより

多くの例文で発音が聞けるのは〈LDOCE〉だけの大きな強みです。後述の〈COBUILD〉でも例文の音声再生は可能ながら、機械音声のためしばしば不自然さが拭えません。しかし、この〈LDOCE〉ならナチュラルに発音されたイギリス英語の流れを聴くことができます。

|||〈LDOCE〉のここが面白い |||
各語がどの程度使われているかの情報を、話しことば(S)、書きことば(W)という分類で見出し語の後に表示。類書も◆◆◆などの記号で頻度を示しますが、会話と文章を分けるのは〈LDOCE〉だけ。
基本的な語には写真がよく載っているものの、説明にプラスになっているかは謎です。

オンラインには凡例がありません。減点です。

||| メモ |||
1978年の初版で、〈OALD〉の独占していた学習英英分野に参入。情報が読み取りやすいような工夫を当初から取り入れ、「学習辞書=親切」という方向性を決定づけました。語釈を基本語(2000語)だけでまかなう取り組みも古くから導入し、いまでは類書も追随しています。
書籍の最新版である6th Editionは2014年刊で、オンライン版もそれをもとにしているようです。コロナウィルス関係の新語など、最近のことばが入っていないのは、物足りなく感じるところです。

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●〈COBUILD

―― Collins COBUILD Advanced Learner's Dictionary

collinsdictionary.com/dictionary/english/★
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英コリンズ社の学習英英。上記リンク先のCollins Online Dictionaryは一般英英〈CED〉(後述)などをまとめて引けるサービスですが、〈COBUILD〉が検索結果のトップを務めています。
項目の先頭から、下のような「Collins COBUILD Advanced Learner's Dictionary. …」という赤いラインまでが〈COBUILD〉の解説文です。

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Collins Online Dictionaryより

フルセンテンスによる語釈(full-sentence definition)の全面的な使用が〈COBUILD〉最大の特色です。語釈が完全文、つまりフレーズではなく主語・述語のあるになっています。

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〈COBUILD〉dealより

you(人)が「make a deal」「do a deal」「cut a deal」する、の意味は、人が「complete an agreement」「complete an arrangement with someone」することである(特にbusinessで)……という説明をこの1文で。ちょっと力技感。
他にも独創的な編集方針として、同じ語であれば品詞で区別せず、とにかく高頻度に使用されるものから順に並べている点が挙げられます。
例文はやや少なく、ノンネイティブには難しそうな文も散見されます。詳しくは物書堂辞書コンテンツとして本書を紹介した過去記事に譲ります。

||| 〈COBUILD〉のここが面白い |||
何しろ他の辞書と違うため、慣れないうちは引きにくい。語釈それ自体に典型的な語法や選択制限(どのような種類の語を同時に使えるかの制約)、用法とニュアンスの説明が埋め込まれており、その情報が読み取れる段階になったら使いこなせている証だと言えそうです。良さがわかればハマります。

オンラインには凡例がないっぽい……これを取説なしで正しく引いてもらえると思ってるのか? 本気?
構文のコードの読み方に関してはWhat are grammar patterns?という公式ブログ記事があり、一度目を通しておくのがよいでしょう。

||| メモ |||
初版は1987年。今や学習辞書では普通に見られるfull-sentence definition
(FSD)を初めて全面運用したのもさることながら、コンピュータで構築されたコーパスを本格的に持ち込んだ点で、辞書編纂の方法を革新しました(参考記事12)。他方、独自のコンセプトには「使用頻度の高低と学習における重要度が一致するとは限らない」など誕生当初から批判も多く存在します。
なお、英和/和英セクションで後述するDONGRIでは、〈コウビルド英英辞典 Advanced 米語版〉、同〈Learner’s 米語版〉を引くことができます。

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●〈CALD

―― Cambridge Advanced Learner's Dictionary

dictionary.cambridge.org/dictionary/english/★
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※あまり使ったことがありません。

英ケンブリッジ大学出版局の学習英英。サイト名はCambridge Dictionary。
語義区分は少なめにして、比較的大づかみに意味を捉えようとする傾向があるようです。動詞以外の語釈は短く済ませていることも。
例文は括弧つきの注釈(=gloss)により意味や用法を多角的に説明しています。

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〈CALD〉tellより

ただ、イコールで置き換えられる範囲がどこからどこまでなのか、ノンネイティブには判別できなそうな状況も見られ、「意味がわからないとわからない」ジレンマがあります。
画面デザインは何となく冗長。

|||〈CALD〉のここが面白い |||
重要語には詳細な文法コラムが付録しています(項目内のGrammar欄から別ページに飛ぶ)。
〈CALD〉より更に語釈や例文のやさしい〈Cambridge Learner's Dictionary〉というのもあります。

Help各種記号の読み方が説明されています。右上の🌎マークからUIの表示言語を変えられますが、日本語に関しては訳がよくないです。

||| メモ |||
元々は〈Cambridge International Dictionary of English〉として1995年に発刊しました。初代編集長Procterは〈LDOCE〉の初代編集長でもあります。最初の〈CIDE〉の頃は基本語(2000語)で定義することを標榜していたはずですが、いまの〈CALD〉にはそういった説明が見当たりません。

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●〈MEDAL〉【🚧消滅】

――  Macmillan English Dictionary for Advanced Learners

下記に紹介するMacmillan Dictionaryは2023年6月に使えなくなりました。エエエーーッ。詳しくはこちらの記事に書いておきました。

macmillandictionary.com/search/british/direct/?q=★
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英マクミラン社の学習英英。サイト名はMacmillan Dictionary。
項目内のナビゲーションに気を遣っています。多義語の項目は先頭にメニューが用意されていることがあり、全体を掴みやすい。語の意味をとらえるにも、求める説明にすばやく移動するにも重宝です。

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〈MEDAL〉goより

OTHER ENTRIES FOR THIS WORDというリストでは複合語などにジャンプできます。また、〈OALD〉と同じ注意事項になりますが、綴りを同じくする単語は品詞ごとに項目ページが分かれるため、OTHER ENTRIES~のリストから品詞を選び直さなければならない場合があります。
語釈は原則として基本語(2500語)のみを用いて書かれています。〈LDOCE〉同様に頻出コロケーションがわかりやすいのも作文に役立ちます。

|||〈MEDAL〉のここが面白い |||
EMOJI NOTEという欄があり、そのことばの絵文字について説明しています。peach(=🍑)を見ると「The peach emoji is generally used to represent someone’s bottom in a playful or flirty way」(強調引用者)。笑えますが、用法に関わる記述は大事です。

凡例は類を見ないほど親切です。Anatomy of Dictionary Entryでは、辞書の項目に含まれる要素を図入りで解説。辞書の用語集であるGlossary of Dictionary Termsも提供されています。他の辞書を引くスキルにも繋がりますから、読んでおいて損はありません。
ナビゲーションの丁寧さもそうですが、書きっぱなしではなく、「いかにして内容を余さずわかってもらうか」にまで配慮した良心的な設計が心にしみる。推せます。

||| メモ |||
〈MEDAL〉は2002年発刊のBig Five最後発で、〈COBUILD〉の編者だったFoxと、〈COBUILD〉〈LDOCE〉の編者だったRundellが編纂しています……というわけで、英国の学習辞書業界は狭いようです。
2012年に書籍版をやめると発表し、現在はオンライン版のみ。

もう一度記しますが、上記のMacmillan Dictionaryは2023年6月に消滅しました。

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●〈MWALED

―― Merriam-Webster's Advanced Learner's English Dictionary

www.britannica.com/dictionary/★
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サイト名はThe Britannica Dictionaryですが、辞書の中身自体は米メリアム・ウェブスター社の学習英英。学習辞書のカテゴリでは唯一の米国系です。
画面デザインは平坦で、文面が印象に残りません。

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〈MWALED〉lookより

ナビゲーションの弱さは目につきます。文法事項やformalなどの文体ラベルは見た目を変えてほしいし、小見出しがなくて多義語は目当ての意味を探すのに難儀します。中身は悪くないのに惜しい(ユーザースタイルシートの導入を検討してもいいかも)。また、他の辞書では「call it a day」「break a leg」のようなイディオムも検索すれば直接その句が引けるのですが、〈MWALED〉だけは成句検索ができず、「call」や「leg」から見たい句を引く手間がかかります。

長所としては、語釈で他動詞の目的語部分が括弧にくくられているのはわかりやすい。例文の数は多く、作文に便利です。
ただ、そもそも単語力がないと正しく読み取りにくそうだという説明があったりして(assume 1に出てくるthink/knowのさりげない使い分けとか)、外国人英語学習者(EFL)向けではないのでは?と感じることがあります。

||| 〈MWALED〉のここが面白い |||
例文で、括弧つきの注釈(gloss)を多用し、パラフレーズによる説明で意味や用法の理解が深まるよう工夫しています。複数の例文をイコールで結んで、同じ意味を持つ異なった表現を紹介しているものも。
英文全体を大胆に言い換えていることも多く、冗長感は否めませんが、〈CALD〉に見られた「置き換える範囲が定まらない」問題は回避されているようです。

凡例が見当たりません。Helpは発音記号ガイドと問い合わせページへのリンクのみ。書籍版の序文では、できるだけ略号や記号を廃して凡例なしでも読めるように作った、と言うから、自信があって凡例を掲載していないのかもしれませんけど……。書籍版はAmazonの試し読みが可能で、ここから凡例が読めたりします。

||| メモ |||
書籍版〈MWALED〉の発刊は〈MEDAL〉より更に後の2008年。本書を含めて学習辞書のBig Sixと括る場合もあります。
メリアム・ウェブスター社はエンサイクロペディア・ブリタニカ社グループの一角をなします。オンライン版は、以前は独自のドメインで運営され、「Merriam-Webster's Learner's Dictionary」という名称でした。2022年からサイトのURLがbritannica.com下に変わり、名称・ロゴもブリタニカのものに変更されました。

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以上、学習英英辞書をご紹介しました。baldhatterさんによるコメントはこちら。合わせてお読みいただくことで理解が深まるはずです。

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📚ネットにある 一般英英辞書

英語を母語として生まれ育ったネイティブスピーカー向けの辞書が一般英英辞書です。
頻度、文法的解説、例文は少ないか、無。そうした情報を必要としない(しなくなった)人用の辞書だからです。学習辞書の配慮は基本的にありません。代わりに採録する項目・語義は多岐にわたり、専門的な用語や意味、文語・古語の類い、固有名詞などもカバーします。
語釈では難語・専門用語も使用され、あるいは単語の言い換えで済まされます。その一方で、学習辞書の「やさしい語彙でしか説明できない」という制約からの解放は、語義や専門用語の正確・精緻な説明を提供するのに有利に働いている場合もあります。

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〈M-W〉oxygenより

とは言え、「ちょっとむずい」程度の英文を読むだけなら、既に紹介した学習英英辞書でもだいたい、事足りるように思います。一般英英は、学習英英では物足りない、あるいは何かその辞書特有の情報が見たいとなったら手を伸ばす、くらいの距離感から付き合い始めてはいかが。

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●〈M-W

―― Merriam-Webster

merriam-webster.com/dictionary/★
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米メリアム・ウェブスター社の一般英英
アメリカで「辞書」と言ったらまず〈Merriam-Webster's Collegiate Dictionary〉(書籍版)、らしい。そのブランド力はさながら向こうの〈広辞苑〉という趣です。しかし、数ヶ月スパンで新語を追加したりしている部分は米国版〈デジタル大辞泉〉とも言えましょう。
動植物などモノの説明は百科事典的な詳しさを持ちます。語釈は簡潔、語法の解説は手薄、例文はフレーズ単位、と学習向きではありませんが、必要とあらばコラムで長広舌を奮っており(例えばinflammable)、実に米国辞書らしい。

|||〈M-W〉のここが面白い |||
メリアム・ウェブスター社は膨大な用例を採集しており、〈OED〉(後述)と同様にその語(語義)が初めて使われた年代を記載します。1755年以降に用例のない語義にobsoleteのラベルを付ける、なんてのは相応の証拠を持たないと無理な芸当です。

凡例は充実しているものの、読みやすくはありません。ただし、DefinitionsのOrder of Sensesは目を通しておくことを勧めます。簡単に言えば、語義区分の順が頻度(=よくある語義から並べる)ではなく時系列(=古い語義から並べる)になっていることがあります。この歴史主義の編集方針を知らないと、meatcuteassumefantasticなどの第一義に面食らうハメになります。(ますます〈広辞苑〉っぽい。)

||| メモ |||
〈M-W〉は十分に規模の大きな辞書なのですが、有料版としてさらに項目数の多い〈Merriam-Webster Unabridged〉が存在します(※使用経験なし)。

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Dictionary.com

dictionary.com/browse/★
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※あまり使ったことがありません。

Dictionary.com社のオンライン辞書サービスで、一般英英を中心に引けます。
2004年に米ランダムハウス社から〈Random House Unabridged Dictionary〉の権利を獲得しており、同書の内容が(恐らく項目によっては改訂を加えて)一番上に表示されているようです。他に〈Collins English Dictoinary〉など複数の辞書の内容が下方に表示されます。

品詞や語義区分が多数ある項目では、各区分の先頭部のみ表示されます。SEE MOREのリンクを忘れずに開くこと。しかし、品詞のまたがっている項目などは途中が省略されているとなかなか便利です。
ただ、ページの半ばでクイズや自社広告が挟まれるのは単純に見にくい……。

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●〈AHD

―― American Heritage Dictionary of the English Language

ahdictionary.com/word/search.html?q=★
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※あまり使ったことがありません。

元々は米アメリカン・ヘリテッジ社から刊行されていた一般英英
いかにも一般向けな短い語釈と、マニアックな項目や語義を多く載せています。語源に詳しく、語源欄にはしばしば「Appendix of Indo-European rootsを見よ」とあり、その通りに付録を読みに行くと広大な語源沼に沈みます。私は近寄っていません。
前までは新語の追加などもしていたようですが、最近は更新された形跡がない。サイトデザインもここ10年ほど変化していないはず。

凡例が充実しているのはよいことです。

||| メモ |||
1960年代に〈M-W〉の先祖にあたる辞書が、スラングに対して厳しい態度を取るのをやめて、全米で大論争を巻き起こしたことがあります。そんななか、〈AHD〉は正しい英語の守護者――少なくとも広告上では――として登場。そういう経緯もあり、新用法・誤用には冷ややかです。

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● Collins Online Dictionary

collinsdictionary.com/dictionary/english/★
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英コリンズ社のオンライン辞書サービスで、前述の学習英英〈COBUILD〉のほか、一般英英〈CED〉(Collins English Dictionary。上図)、一般英英〈Webster’s New World College Dictionary〉(前述の〈M-W〉とは別物)、シソーラス等がまとめて引けます。〈CED〉は物書堂辞書にもあるコンテンツなので、辞書の紹介は過去の記事に譲ります。

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●〈OED〉【有料】

―― Oxford English Dictionary

oed.com/search?q=★
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超有名辞書なので割愛。(率直なところ〈OED〉を知らない人に説明しても契約するとは思えないし、逆に知ってる人には言わずもがななので。)
なお、後述の〈ODE〉とは名前こそ似ていますが内容はだいぶ別で、混同は禁物です。これはOxford English Dictionary、次のはOxford Dictionary of English。

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Lexico【🚧消滅】

Lexicoは2022年8月に使えなくなりました。エエーッ。
Dictionary.comへリダイレクトされますが、コンテンツの連続性はなさそうです。
Lexicoの中身だった〈ODE〉などをオンラインで使いたい場合は、Oxford Dictionaries Premiumからサブスクで使い続けることができるようです。
以下の古い記述はとりあえず載せておきます。処遇は後で考えます。

lexico.com/definition/★

英オックスフォード大学出版局(OUP)とDictionary.comが共同運営するオンライン辞書サービス。OUPの一般英英〈Oxford Dictionary of English〉(ODE)が引けます(原典の名はサイト内に記載がないようですが、スタッフが明言しています)。上のプルダウンメニューを「US DICTIONARY」に切り替えれば米国向け〈New Oxford American Dictionary〉になりますが、〈ODE〉と〈NOAD〉の内容はだいたい同じです。
「+More example sentences」ボタンで実に大量の例文が展開するものの、ハイライトなどがなく見づらいのが難。

||| Lexicoのここが面白い |||
〈ODE〉の多義語項目はコアの意味をまず記述し、次いで比喩や転義などの限定された意味を説明するという二段構えの語釈が特色。例えばdrinkの1(飲む)と1.1(酒を飲む)の関係が典型です。国語辞書ファンには〈岩波国語〉と同様の方式と言えば通じるでしょう。
百科事典的側面も備え、化学物質や動植物名(例えばpenguin)を引くと、最初に言語的な意味記述が、一段下げて百科的な説明がなされます。(やっぱり〈岩波国語〉ですね。)英国の辞書なのに米国っぽさもある。

遺憾ながらLexicoに凡例は見当たりません。しかし元の書籍版〈ODE〉を読めば当然、2段階の語釈なども凡例で説明されています(と言うか、目玉です)。Amazonの試し読みあり。

||| メモ |||
2005年刊の〈NOAD〉初版のCD-ROM版は、esquivalienceなる語を載せていました。これは意図的に設けられた幽霊項目=存在しない語の項目で、目的はパクリ辞書のあぶり出し。果たして、Dictionary.comがまんまと罠にかかります。同サイトの運営会社の名前は……Lexico。OUPはかつて剽窃をやらかした会社と手を取り合って辞書サイトを営んでいるわけです。
なお、〈ODE〉〈NOAD〉とも、Mac標準「辞書.app」やiOS/iPadの内蔵辞書で使用可能です。

もう一度記しますが、上記のLexicoは2022年8月に消滅しました。

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以上、一般英英でした。baldhatterさんの記事はこちら。より詳しい〈Merriam-Webster Unabridged〉〈AHD〉の説明もあります。

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📚ネットにある 英和/和英辞書

英語と日本語を結びつけてくれるのが英和/和英辞書です。英英辞書のように無料で使えるオンライン版は多くありません。ここで紹介するものとしては〈プログレッシブ英和中辞典/和英中辞典〉と〈ロングマン英和辞典〉くらいです。

ただし学習辞書は、有料(サブスク)ならばオンライン辞書サービスのDONGRIにて〈ジーニアス〉などかなりのチョイスが用意されています。

一般英和は、いずれも有料になりますが、KODで天下の〈新英和大〉〈リーダーズ+プラス〉に加え、JapanKnowledgeに〈ランダムハウス英和大辞典〉のほか、専門的な英和/和英辞書も使えます。

力尽きてきましたのでここから紹介文が短くなります。

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DONGRI【有料】

home.east-education.jp/dongri/search/all/★/HEADWORD/STARTWITH
コンパスローズ

イースト株式会社のサブスク型オンライン辞書サービス。2020年春から一般向け(学校外)にコンテンツの販売が始まり、続々と拡充された結果、今では大量の学習辞書が選べるようになりました

最もニーズの高そうないわゆる「上級」学習英和、つまり「よくできる高校生以上~社会人向け」英和辞書のラインナップを挙げます。

  • 大修館書店〈ジーニアス英和/和英辞典〉

  • 三省堂〈ウィズダム英和/和英辞典〉

  • 旺文社〈オーレックス英和/和英辞典〉

  • 研究社〈コンパスローズ英和辞典〉

また、各社の初級版もあります。

  • 大修館書店〈ベーシックジーニアス英和辞典〉

  • 三省堂〈エースクラウン英和辞典〉〈ジュニアクラウン英和辞典〉

  • 旺文社〈コアレックス英和辞典〉

  • 小学館〈プログレッシブ中学英和/和英辞典〉〈プログレッシブ小学英和/和英辞典〉

このほか、英英辞書として〈コウビルド英英辞典 Advanced 米語版〉、同〈Learner’s 米語版〉や、国語辞書(後述)、古語辞典、百科事典、山川などの用語辞典も揃っていて、串刺し検索&閲覧できます。
これだけあれば文句ないですね。

契約コンテンツの一括検索ができる「まとめて検索」機能が2022年に実装されて、かなり利便性が高まりました。(登場当初はすごい使いにくかった。)
課金プランは最短で3ヶ月から(コンテンツによって異なる)。色んな辞書を数百円でつまみ食いできるのも「ちょっと試してみたい」という人には嬉しいかも。
課金はオンラインで完結し、いつでも開始できるのでいいんですが、期限が切れるときも音もなく終わっていつの間にか使えなくなっているのは最初は驚きます。←これは改良されて、案内が届くようになりました。

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●〈ウィズダム〉【要登録】

―― Dualウィズダム英和辞典/Dualウィズダム和英辞典

wdme4.dual-d.net/mainnew.cgi?elementtype=1&pagepos=0&headsearch=1&conditiontype=1&fksubmit.x=0&fksubmit.y=0&str=★
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三省堂の学習英和書籍版を持っている人は、「三省堂デュアル・ディクショナリー」というサービスにユーザー登録すれば、オンラインでも使えるようになりますので紹介します。
辞書の内容説明は過去記事に譲りますが、〈ジーニアス〉と同クラスの英和辞書として実力は申し分ありません
使い方ページがあるのも良心的(ただし画像は旧版と共用)。ページの一番下にこっそりと(?)書籍版の凡例PDFがリンクされています。

和英もあります。同様に登録が必要です。

wdmj3.dual-d.net/mainnew.cgi?elementtype=1&pagepos=0&headsearch=1&conditiontype=1&fksubmit.x=0&fksubmit.y=0&str=★

このほか、「ことまな+」(後述)というサービスでも、書籍版を持っている人はオンライン版が使えます。

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●〈プログレッシブ

―― プログレッシブ英和中辞典 / プログレッシブ和英中辞典

dictionary.goo.ne.jp/srch/en/★/m0u/
プログレッシブ英和

小学館の学習英和/和英。goo辞書にて、日本の英語辞書には珍しく無料提供されています。
英和の方は、〈ジーニアス〉等の上級学習英和よりも項目数が多く、その代わりに文法・語法の解説が抑えめ、という性格です。
語釈にも特徴があり、意味を詳しく説く「解説的語義」をまず提示して、続いて日本語の文でどういう形を取るかの「訳語」を並べるという、「釈義」と「和訳」を明確に分けた意欲的な構成。

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〈プログレッシブ英和中〉swimより

語義は細分化せずに、似た意味をまとめながら分類しています。
英和ながら英英辞書のテイストを取り入れており、情報の多量(すぎ)な〈ジーニアス〉等と併用すれば、違った視座を得られることもあろうかと思います。

凡例が英和辞典和英辞典ともしっかり用意してあるのもいいですね。推せます。

〈プログレッシブ〉は「コトバンク」でも引けますが、検索が使いにくいのでここでは省略します。

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●〈ロングマン英和辞典

www.ldoceonline.com/dictionary/english-japanese/★
ロングマン英和

〈LDOCE〉と同じ英ロングマン社の学習英和で、検索モードを「英和(English - Japanese)」にすると引けます。
文法・語法に関する情報は、〈ジーニアス〉に代表される上級学習英和辞書よりもだいぶあっさりとまとめています。ロングマンでも〈LDOCE〉と打って変わって画面表示が洗練されていないのは残念。
〈LDOCE〉同様の「S」「W」に並んだ「J」という表示が特徴的です。これは大学英語教育学会(JACET)の編纂した「日本人大学生のために重要な英語」リストJACET8000における語彙レベル。下記ブログにて詳しく分析されています。

書籍版の凡例はページから意気込みを感じるのですが、オンライン版は凡例なし。なお、同じロングマンのサイトには「和英(Japanese - English)」モードも用意されます。しかし、これは簡素な対訳集で、和英辞書の用はなしません。

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●  KOD 【有料】

―― 研究社オンライン・ディクショナリー

kod.kenkyusha.co.jp/service/search/search_frame.jsp?back=false&page=form.jsp&methodName=%95W%8F%80%8C%9F%8D%F5&sortkey=index&field=★&subMethod=forward&method=normal&book=normal-set&checkedBook=plus_e&checkedBook=eidai&checkedBook=eiwa&checkedBook=compass&checkedBook=wadai_j&checkedBook=waei&checkedBook=lumi_waei&checkedBook=plus_j
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研究社の運営するオンライン辞書サービス。英和/和英辞書に関しては替えの利かないラインナップを誇ります。
大型の一般英和〈新英和大辞典〉に加え、唯一の大型一般和英〈新和英大辞典〉。マニアックな語義が満載の一般英和〈リーダーズ+プラス〉。最新の学習英和〈コンパスローズ〉に、学習和英〈ルミナス和英〉、学習・一般の中間的な位置にある〈新英和中/新和英中〉「KOD追加語彙」として新語・新語義も随時追加されているようです。さらに、上位プラン「アドバンスト会員」ではコロケーション辞書〈新編英和活用大辞典〉も加わるなど、英語を専門的に使う人なら揃えておきたいコンテンツが目白押しです。逆に言うと、高度な文献や英語文学などに触れない場合は、ややオーバースペックかも。
一部の旧版は「アーカイブ辞書」として引けるようになっています。たいへん優れた試みです。
UIはおそろしく地味、もとい質実剛健です。そのままでは読みにくいため、ユーザースタイルシートを設定している方もいます

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● JapanKnowledge【有料】

japanknowledge.com/psnl/search/basic/?q1=★
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小学館系の株式会社ネットアドバンスが運営するサブスク型オンライン辞書サービス。通称JK。
収録コンテンツは多岐にわたりますが、英語系では学習英和/和英〈プログレッシブ〉一般英和〈ランダムハウス英和大〉〈COBUILD英英和〉〈OALD〉など。上位プラン「+R」は〈うんのさんの辞書〉こと〈ビジネス技術実用英語大辞典〈小学館オックスフォード英語類語辞典〉、研究社〈医学英和辞典〉など専門系の辞書も引けます。
検索は様々な条件を付けられ、検索条件はURL内に保持されます。よく使う条件があるなら、その検索画面でブックマークなりしておくと便利。

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ことまな+【要登録】

https://search.dual-d.net/WE4/main.cgi?word=★&status=search&mode=honmon&searchtypehon=ext&searchtype=top

三省堂が提供しているオンライン辞書サービス。上記〈ウィズダム〉で紹介した「三省堂デュアル・ディクショナリー」同様、書籍の辞書を持っていればオンライン版が使えるというものです。

上記のURLテンプレートは〈ウィズダム英和〉用です。
それ以外にも、ことまな+では〈ジュニアクラウン中学英和〉〈エースクラウン英和〉などが利用可能です。

串刺し検索はできません。「用例検索」は、右上のハンバーガーメニューを開いて切り替える必要があります。辞書の良し悪しはともかく、はっきり言ってUIの使い勝手はイマイチです。

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英和/和英はここまで。baldhatterさんの記事はこちら。

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🗾主なオンライン日本語辞書

続いて日本語系……国語辞書です。
英語と比べると、日本語のオンライン辞書は充実していません。特に無料となると、十分なクォリティを備えるのは〈大辞泉〉か〈精選日国〉くらいしかありません。
しかし、DONGRIが参入してくれたおかげで、有料ならば小型国語辞書が引けるようになりました。続々とコンテンツを拡充しており、2024年4月現在では〈明鏡国語辞典〉〈新明解国語辞典〉〈三省堂現代新国語辞典〉〈旺文社国語辞典〉〈新選国語辞典〉〈現代国語例解辞典〉が使えます。これは非常に強いラインナップです。

なお、下記では紹介しませんが、ドコモ・au・ソフトバンクの携帯端末の契約者は、〈広辞苑〉が引けます(PCからでも)。
2023年3月にモバイル広辞苑はサービス終了となりました。

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DONGRI【有料】

home.east-education.jp/dongri/search/all/★/HEADWORD/STARTWITH
現国例

英和/和英セクションにも出てきた、イースト株式会社のサブスク型オンライン辞書サービス。サブスクで小型国語辞書が引ける唯一のサイト。コンテンツのラインナップから小型国語辞書を挙げます。

加えて、三省堂の中型辞書大辞林も引けるほか、古語辞典、百科事典、山川などの用語辞典、前述の英語系辞書などもワンストップで串刺し検索&閲覧できます。

上のスクリーンショットは〈現国例〉です。スクリーンショットからもわかりますが、縦書き・右寄せなもんだからPCでは画面の真ん中にすごい余白が生まれます。レイアウトはともかく、内容面では漢字表記の情報と、「類語対比表」を駆使した類語の使い分けガイドに強みを持ち、愛好家の間では評判が高い辞書です。
お得意の「類語対比表」ももちろん見られます。

必死の類語対比表
〈現国例〉「必死」より

〈現国例〉については、ながさわ氏が詳細なレビューを記しています。

〈明鏡国語〉〈新明解国語〉〈大辞林〉については過去記事を参照。
DONGRIはマルチデバイスに対応しており、同じライセンスでオンライン版とスマホのアプリ版を合わせて使用することができます。現状、〈現国例〉は他のアプリにないコンテンツであるため、そういう意味でもDONGRIは要チェック。

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●〈類例解

―― 使い方の分かる 類語例解辞典

dictionary.goo.ne.jp/srch/thsrs/★/m0u/
類例解

小学館の類語辞書。ありがたいことにgoo辞書にて無料で提供されています。goo辞書すごい。
類語に特化した専門辞書なので、語の使い分けがよく解説されており、似た語を探したり、最適な使い方を検討したりするのに便利です。意味の説明は、その語が持つ語義すべてをカバーするのではなくて、類語との差異にポイントが絞られており、いわば狭く・深く解説されます。

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〈類例解〉「時/場合/折/ところ/際」より

なお、〈類例解〉では〈現国例〉と同様の「類語対比表」も活用されています。作文や和訳で日本語の文章を起こすにはぜひ助けを借りたい辞書のひとつ。

2022年からJapanKnowledge(後述)でも引けるようになりました。

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●〈大辞泉

―― デジタル大辞泉

dictionary.goo.ne.jp/srch/jn/★/m0u/
大辞泉

小学館の中型国語辞書
Weblioやコトバンク(後述)、JapanKnowledge(後述)でも引けますが、上記はgoo辞書用のURLです(好みの問題)。一般語、古語、固有名詞、新語、俗語など膨大な量の項目を採録しているうえ、年3回の更新で時事用語などを追加する生きている国語辞典
〈広辞苑〉〈大辞林〉なら知ってるんだけど、という方もいるでしょう。ながさわ氏がそれらライバルと詳細に比較してくれています。

HMDTや物書堂の辞書アプリにもあり(有料)、また、Kindleから引けるのもこの辞書で、「最もよく見かける辞書」という印象があります。

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コトバンク

kotobank.jp/gs/?q=★
コトバンク

無料オンライン辞書サービス。ただの割には結構なコンテンツが揃っています。とりわけ〈ニッポニカ〉などの百科事典系と、〈日本国語大辞典〉の縮約改訂版(と言っても十分大きい)である〈精選版 日本国語大辞典〉、プログレッシブなどの外国語辞書が使えるのが強み。
が、検索システムの使い勝手の悪さがいかんともしがたく、引きたい辞書で引きたい語まで辿り着くには多少の慣れを要します。
次のJapanKnowledgeを契約していれば、使用候補からは外れるでしょう。

〈精選日国〉については過去記事を参照。なお、〈精選日国〉は他にウェブリオでも引けます。

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● JapanKnowledge【有料】

japanknowledge.com/psnl/search/basic/?q1=★
JK日本語

英和/和英セクションにも出てきた、小学館系の株式会社ネットアドバンスによるサブスク型オンライン辞書サービス。略してJK。
〈日本国語大辞典〉が引けるほか〈大辞泉〉も収録。その他、古語辞典、漢和辞典、百科事典など多数。信頼の置けるレファレンスサービスとしては国内最強です。


ことまな+【要登録】

https://search.dual-d.net/GK7/main.cgi?word=★&status=search&mode=honmon&searchtypehon=top&searchtype=top

英和/和英セクションにも出てきた、三省堂のオンライン辞書サービス。書籍の辞書を持っていれば同じ辞書のオンライン版が使えます。

上記は〈三省堂現代新国語辞典〉用のURLテンプレートです。同書は「唯一の高校教科書密着型辞典」をうたう高校生向けの国語辞書です。その実力は高く、他の辞書が見逃しているような「知りたかったことば」「知りたかった意味」を非常によく捉えており、一般向けにもおすすめできる内容です。このほか、ことまな+では〈例解小学国語辞典〉〈新明解国語辞典〉なども使えます。(〈大辞林〉や〈三国〉がないのはなぜ?)

先述した通り、串刺し検索はできません。「用例検索」は、右上のハンバーガーメニューを開いて切り替える必要があります。辞書の良し悪しはともかく、UIの使い勝手はイマイチです。

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日本語編はここまでです。baldhatterさんの記事はこちら。

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以上です。

類語辞書とか、また紹介したいですね。

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参考文献

記事中でリンクしたもののほか、執筆に際しては下記文献の恩恵に浴しました。謝意を表します。

また、執筆に際しては下記文献も参照し、示唆を得ました。

更新履歴

2021/6/2 公開
2021/6/8 ちょっと加筆
2021/9/6 帽子屋さんからのコメント記事へリンク。また、KODがURLから引けないとしていましたが、勘違いだったので修正しました。
2023/1/2 改訂。DONGRIまわりを大幅に書き換え
2023/6/- MEDALの消滅を追記
2024/4/13 ことまな+などを加筆

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