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辞書のできごと(2023年6月)

先月の辞書に関する出来事をまとめます。コメントはあったりなかったりします。


6/1 📱JKで「日経キーワード 2023-2024」が提供開始

先月ジャパンナレッジでサ終した〈イミダス〉の代わりに入った、という理解でいいのでしょうか。扱う情報の範囲が異なるため、「代わり」ではないかも。


6/1 📖雑誌『日本語学』で辞書特集

2023年6月号夏号では特集「辞書を編む・辞書を引く」が組まれています。


6/2 📃雑誌「東京人」で水野太貴さんの「国語辞典を読む。」が掲載

「ゆる言語学ラジオ」の水野太貴さんが挑んでいる、〈新明解国語辞典〉の通読についてのコラム。


6/9 📕〈ポケット顧問 や、此は便利だ〉が復刊

大正時代の名著が平凡社ライブラリーから復刊。通称〈や便〉。1910年代当時最新の時事用語や、書き誤りやすい字、読み誤りやすい字などもわかります。中身を読むだけならNDLデジタルコレクションから閲覧可能です(復刊されたものと版は異なる)。


6/12 📺辞書部屋チャンネルで読み比べ動画が公開


6/13 📃「広辞苑かるた」の紹介記事が掲載

先月発売された「広辞苑かるた」が詳しく紹介されています。


6/16 📕〈美しい彩りが伝わる 色ことば辞典〉が発売

著者の「ポーポー・プロダクション」さんは色彩心理に長けた事務所とのこと。


6/19 📺NHKで「国語辞典で遊ぼう」がテーマの番組が放映

見逃してしまった……。


6/20 📰東京新聞で電子辞書の比較記事が掲載


6/20 📱物書堂辞書〈羅和辞典〉コンテンツが発売

一部界隈で待望されていたラテン語の辞書が、ついに物書堂辞書アプリに入りました。底本は研究社〈羅和辞典〉改訂版。


6/22 🎪神永曉さんが用例をテーマに講演

ことばの読みや意味の変化を調べるのに不可欠な、用例が主題の講演。また、明言されてはいませんでしたが、初出調査にNDLデジタルコレクションを活用している様子もうかがえました。


6/22 📰小学館〈きみ辞書〉に関するインタビューが掲載

大人気の小学館〈きみの名前がひける国語辞典〉に関する貴重な裏話が読めます。


6/24 🎪第63回語彙・辞書研究会が開催


6/24 📺日テレ『世界一受けたい授業』で〈三国〉から消えた項目が特集

おなじみ飯間浩明さんが出演され、〈三国〉8版から消えた項目についてのお話。番組の街頭インタビューでは「スペースシャトル」「コレクトコール」等の語を若い世代に尋ね、実際に認知度が下がっている実態が垣間見えました。もっとも、彼らに今のことばを訊いたらちゃんと知っていたのかは不明です。


6/28 📃「Mac Fan」でmacOS版「物書堂辞書」の紹介記事が掲載

「やみつきMacソフト」というコーナーです。「なぞって検索」「パターン検索」等々、便利な使い方に踏み込んでいます。


6/30 📱「Macmillan Dictionary」がサ終

衝撃的なニュースを知ったため、慌てて追記します。過去記事でも詳しく紹介した無料オンライン英英辞書「Macmillan Dictionary」が6月いっぱいで閉鎖されました。
上記プレスリリースでは「Macmillan English Dictionary and Thesaurusを最新の状態に保ち、アクセシビリティ、多様性、包摂性という私たちの価値観を反映し続けることはできない」と結論した、と書かれています。
現在、「Macmillan Dictionary」の旧URLにアクセスすると、カスタマーサポートページにリダイレクトされ、辞書の内容は閲覧できません。

2009年に開設された「Macmillan Dictionary」の底本は〈Macmillan English Dictionary for Advanced Learners〉(通称〈MEDAL〉)で、早くも2012年に書籍版の発行停止が宣言されていました。〈OALD〉や〈COBUILD〉、〈CALD〉と比べればブランド力では敵いませんが、ファンのいる辞書だったように思います。

辞書サイトの閉鎖に伴い、Anatomy of Dictionary EntryGlossary of Dictionary Termsも消えています。辞書を知るための良質なコンテンツが失われたことになり、残念です。(まあ、上記の通り今のところはInternet Archivesで閲覧できます。)

しかし、〈MEDAL〉は今後どうなるんでしょうか。プレスリリースでは辞書本体の処遇には全く触れられていません。学習英英辞書Big Fiveの一翼を担った〈MEDAL〉はこのまま消滅してしまうのかもしれません。

昨年8月「Lexico」が閉鎖されたのも記憶に新しく、またこれを書いている7月5日にはLINE辞典もサービス終了を迎えます。無料オンライン辞書の黄金時代は確実に終わりつつあります。


今月分は以上です。今月からヘッダに画像を付けました。

7/4 公開
7/5 加筆修正

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