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『夢のビッグ・アイデア カマラ・ハリスの子ども時代』翻訳の 増田ユリヤさんにインタビュー!

『夢のビッグ・アイデア カマラ・ハリスの子ども時代』の翻訳を手がけられた増田ユリヤさんは、ジャーナリストとして『ワイド!スクランブル』などのテレビ番組などに出演され、著作家としても活躍中です。アメリカをはじめ40ヶ国以上で取材をされ、各国間の問題にも精通されています。

略歴写真 増田ユリヤ_撮影 中西裕人

撮影 中西裕人

――今回初めて翻訳絵本になりますが、いかがでしたか。 

 おもしろそう!と思ってすぐにお引き受けしました。子ども向けの本はやってみたいお仕事でしたので、楽しかったですね。親しい友人に見せたら、こういう仕事をもっとをすればいいのに、といわれました。ふだんは難しい顔(!?)をして、時事ニュースを解説したり、追いかけたりしているからですかね(笑)。

 私の最初の仕事は高校の教師だったのですが、教えることは伝えることであり、どうしたらわかるかな、ということはずっと考えてきました。ラジオやテレビの仕事をするようになってからも、それは変わりません。
 ラジオであれば、伝えたいことを台本に書いて、耳で聞いたときにわかるように、音や匂いまでも言葉で伝わるように話したい。いっぽう、テレビですと、すでに映像がありますから、余計な言葉はいらないですよね。
 絵本でも、どうしたら伝わるのかということを念頭に、言葉を選びました。文章がうまいかどうかより、とにかく伝わること。声にのせたときに、スムースに耳に入ってくるかということも大切にしました。

――本書は、アメリカ初の女性副大統領になったカマラ・ハリスさんの子ども時代をえがいた本ですけれども、ご本人にお会いしたことはありますか?

 ええ! 2019年の9月にアメリカで民主党の大会を取材していたときにお会いしました。彼女が大統領選に出る前ですね。バイデン現大統領もいましたよ。お会いしたしぐさや雰囲気から、チャーミングな人だなと感じたのを覚えています。

――絵本では、カマラと妹のマヤが、近所の子たちをまきこんであそび場をつくります。でも、あそび場をつくるというアイデアに対して、最初に大人からもらった答えは、「no」=「反対」。
 でも、それが、「maybe」=「できるかもしれない」へ、そして「yes」=「賛成/できる」へと、次第に実現へと向かっていきます。その過程を、堅苦しくなく、ワクワク感が伝わるように訳してくださったと感じています。

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▲サインといっしょに書いてくださった
「できるかもしれない!」は本書のキーワードになっている


――ところで、お気に入りのシーンなどはありますか。

 そうですね……全部好きですけれども(パラパラと絵本をめくって)、寝る前に、妹のマヤとふたりでおしゃべりしているシーンとか、いいですよね。楽しそう。
 あそび場ができて、みんなでお祝いのパーティーをしているところも気に入っています。食べ物がたくさんあって。私、食いしん坊なんですよ(笑)。
 それから、ふたりが大家さんに出した手紙のところ。いまの子どもたちならメールですませられるかもしれませんが、私が子どもの頃は、友だち同士でよく手紙交換をしたので、手書きで何かやりとりするのもいいなあって感じてもらえたら。

――明るくてあたたかみのある絵で、子どもたちの日常が楽しげに描かれているところも魅力ですよね。

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▲カマラが大家さんにあてて
いっしょうけんめい書いた手紙(右ページ)


――最後にひとこと、お願いします。

 私が6歳になる前くらいの頃、母が長く入院していた時期があり、日中をけっこう長いこと一人で過ごしていたことがあります。そのときは、家にある学研の『学習こども百科』を覚えてしまうくらいにすみずみまで眺めていました。アンデルセンの人魚姫の絵本もありましたっけ。人間の足を手に入れた人魚姫は、歩くたびにナイフで突き刺されたような痛みが走るのに、それほどまでしても王子に会いたくて……という内容のくだりを読んだときに、それを想像して(半ば、現実にあるのか!?とも思ったりして)、ドキドキしながら繰り返し読みました。
 この絵本でも、読んでくださった方に、いろいろ感じたり、考えたりしてほしいなと思います。

――ありがとうございました!

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▲直筆POP、書いていただきました!

☆増田ユリヤさん 新刊著書情報☆
『世界を救うmRNAワクチンの開発者 カタリン・カリコ』(ポプラ社)
気になったことは取材して人に話を聞く増田さん。本書も、わずか2~3分のニュース解説の仕事で初めてカリコさんを知り、興味をもったことから、誕生したそうです。「カリコさんとの交流ができたので、いつか彼女の故郷ハンガリーも訪ねたいですね」。