小林精志

伝統の発酵食品にほんの少しの興味を持つ事で、それを使ったお料理はもちろん、毎日の晩酌が…

小林精志

伝統の発酵食品にほんの少しの興味を持つ事で、それを使ったお料理はもちろん、毎日の晩酌が断然美味しくなって、気持も俄然あがってくる! そんな発酵する考えをキーワードに、いろんな人に会う旅に出かけます!

最近の記事

明治時代のレール

ボクが小林酒造の酒蔵群で真っ先にイメージするものの一つ。 それが【夕張鉄道とトロッコのレール】のコンビネーションです。 写真は今回解体されている下屋部分。 ここにも明治時代製造のカンブリアスチール社とカーネギー社の鉄道レールが使われています。 そして地面の石炭を酒蔵内に搬入するトロッコのレールが当時を偲ばせます。 そのコントラストは、小林家前の下屋にも残されているので観光の折には是非ご覧ください。 あと補足として『親の敷いたレールに乗って走ってきたボク』も極たまに

    • 【お〜ぃ】について

      『お〜ぃ お茶』 ボクはその絶妙すぎるネーミングについて考えていた。   『おい、お茶』では論外。 『おっ、おいっ お茶』でも威厳に乏しく腰が座らない。 『大〜井』なら競馬場だし 『ほーい!んちゃ!』なら、それは【Dr.スランプアラレちゃん】である。 この『〜(にょろにょろ)』と小さな『ぃ』のコンビネーションの妙。 『お〜ぃ お茶』こそが、昭和最後の痕跡、最後の息吹、そして最後の男のレジスタンスなのかも知れない。

      • 清酒の木箱とヨーヨーブーム

        まもなく解体される倉庫の中。ボクは清酒の木箱を前に遠い記憶の中にいた。 それはまだ、ボクの兄がヨーヨーで【犬の散歩】とか【ブランコ】とかをやっていた頃の話だ。 70年代、日本酒需要がピークを超えてもまだ小林酒造は焼酎、味醂含め約4千石を生産していた。 そしてボクは毎日、野外にうず高く積み上げられた清酒の木箱で近所の子供達と基地や迷路を作って遊んでいた。 夕暮れ、家に戻ると兄がヨーヨーで【蕎麦(をたぐる)】とか【犬の噛みつき】など新技を次々に習得していて、ボクはそれを見

        • さよなら休憩室、さよならセシルチョコ

          酒蔵ムード満点の佇まいだった『女子休憩室』が取り壊しになる。 幼稚園時代の定刻の午後3時。  ボクが真っ先に向かうのがこの『女子休憩室』だった。 その目的はテーブル中央の盆に盛られた菓子。 ちなみに【実家の菓子盆】には チーズおかき うずまきかりんとう きなこねじり 一口マグロ 寒天ゼリー カリカリ梅 など、比較的年寄りじみた茶菓子を中心に構成されており 一方で【女子休憩室の菓子盆】には サクマ いちごみるく 味覚糖 純露 不二家 ソフトエクレア 森永 ハイソフト

        明治時代のレール

          旧蒸留塔の解体

          今、取り壊されている建造物の中で唯一の廃墟である【旧焼酎蒸留塔】 栗山町でも特に目立つ鉄骨造の高層建造物である。 臆病で無口だった小学生の僕にとって、この廃墟は格好の一人遊びの場所であり隠れ家でもあった。 言葉にできないボクの色々な想いが、ここに溶け込んでいるのだ。 今、まさに取り壊される廃墟の中で【この場所で一人、遊んでいた子供のボク】をそっと呼び出してみる。 そして【言葉にできなかったボクの想い】を静かに感じてみる。 その【言葉にならない言葉】が、ずっとここか

          旧蒸留塔の解体

          懐かしい酒蔵の風景

          明日(30日)から小林酒造の蔵倉庫群の解体が始まる。 ボクは『発酵さぎょう 9月2日までお休みさせていただきます』 と、店頭に書き残す。 子供の時分からの遊び場であり、職場としても慣れ親しんだ建造物。 その最期を目に焼き付けておきたかったのだ。 行きの航空機の客席でボクは酒蔵の想い出に耽り、酷く感傷的な気持でいた。 落ち着く為にCAに【コーンスープ】のサービスを依頼するも【コンソメスープ】しか用意がないという。 ボクは苛立ってCAに噛み付く。まるで飢えたキツネのよ

          懐かしい酒蔵の風景

          日本酒と和蝋燭

          古い和蝋燭とろうそく立てを買って『稲』の前に飾る。 ボクはしばらく和蝋燭の『炎のゆらぎ』を見ていた。 すると意識が変性する様な危うく妙な感覚に襲われる。 背中に嫌な冷気を感じる。『やだな、やだなー』と思わず早口で呟く。 きっと幽霊が夏に多く現れるのは人を『ひんやり』させるからだろう。 ボクは『怖いよ、こわいよー』を連発していた。 その後、何かに取り憑かれたように『やだな、やだなー、怖いよ、怖いよー』と独り叫び続けた。 そしてついに! ボクの背後で髭を付けた女の幽

          日本酒と和蝋燭

          遊び心と風流

          うだるような暑さ。脳みそが海老みそ以上、蟹みそ以下に溶ける。 僕はたまらず店用に最新のサーキュレーターを買った。 その最新式の風量が凄い。 最大風量にセットすると、眉毛が根こそぎ抜け飛ぶ勢いだ。 僕はこのサーキュレーターの風と江戸風鈴を組み合わせて客席の後ろにセットする。 文明の『クール』と風鈴の『風流』を融合させたという訳だ。 日本の『風流』は全て『遊び心』から派生する。 風鈴の音色が涼しいような気がする。この『のような気がする心持ち』こそが遊び心であり風流への

          遊び心と風流

          お燗酒で通す高揚感

          蒸し暑い日が続く。 いよいよ『お燗酒』を提供し続ける事に高揚感が強まる。 痩せ我慢、強がり、意固地もあるし、不安もあるが 『お燗酒』を美味しく体験してもらう知恵を絞り続ける事にワクワクできればいい。 結局、そう慰めてくれるのは昨日までの自分なのだ。 そうだ、そうそう! 夏にお燗酒を提供する時 せめて『ひやっ』とする話をするだけでも随分と違うかも知れない。 例えば熱狂的な阪神ファンのお客様が来店されたら 『ひや』を、さりげなく会話にねじ込むようにする。例えば。。。

          お燗酒で通す高揚感

          お燗としょうのう舟

          皆さんにとって、物心ついた幼少期に一番にハマったオモチャはなんですか? ボクは断然『しょうのう舟』です。 ボクは『しょうのう舟』こそが最高の暑気払いの一つ。 そして最高のお燗酒のあての鑑賞物、そうなると考えました。 発酵さぎょう 本日から営業再開します。 本日29日、30日は『北海道のお土産と、懐かしのしょうのう舟』 是非、遊びに来てくださいね♪

          お燗としょうのう舟

          夢野久作とは別問題の294

          今、病院で夢野久作の(10秒で読める)超短編小説を思い出す。  ボクは初めての手術の時『せめてあと1、2年の命を』と思い  2回目の手術の時も『せめてあと2、3年』と思い  今、診断結果の待ち時間に『願わくばあと5、6年』などと思っている。  この作品は、受け取る人の状況によって甚だ解釈が違うように思う。  診断結果次第で深層心理にもブラックユーモアにもなるから、人の心はおっそろしい。  【医者と病人】 夢野久作  死にかかった病人の枕元でお医者が首をひねって、

          夢野久作とは別問題の294

          止まったような時間

          お知らせ 発酵さぎょう 6月24日ー28日迄  お休みします。 ずっと欲しかったアンティークの振り子時計。 やっと今日、理想的な品に出会って迷わず買う事ができました。 『自分の日常を超えて、自分を楽しむ日本酒のひととき』 時計の針は、正確に動くのですが正確な時刻よりも 『時が止まったような自分時間』 そんな一日の演出をお手伝い出来たら最高です。 営業再開は29日、30日 『北海道旬のお土産フェア』です

          止まったような時間

          観月さんと小室さんに捧げます

          ボクはここ数ヶ月、油を全く使わない『日本酒に合うマヨネーズ』を試作していた。 そんな折、ボクは夢をみた。 スーパー銭湯のサウナ室で秋篠宮殿下と隣同士になった夢だった。 殿下は節目がちに『植物の研究でもしてなきゃ、やっていられない』 と、そんな胸中をボクにそっと吐露された。 慌てたボクは『観月ありさ』(あるいは『ナースのお仕事』)についての話を殿下に持ちかけ話をはぐらかす。 (その時、ボクの頭は『小室さん』と『マヨネーズ』で一杯になっていた) 『観月さんは、キューピ

          観月さんと小室さんに捧げます

          『友達』の定義って

          『友達』の定義。それについて印象的な文章がある。 【午前0時に家に駆けつけた知人に、車のトランクに死体が積んである】と告白された時 『まずは話を聞こう』そう言えるかどうかが【友達か否か】 それがずっと愛読している河合隼雄の恩師が定義する『友達』の一例なんだそうだ。 ボクは僕自身の『友達』や『親友』という定義がまだ分からないでいる。 『親友』と定義された瞬間 あるいは『親友』と定義した途端 ボクは後々 『親友とはこうあるべきではないか?』 そんなプレッシャーに息苦

          『友達』の定義って

          ライクアローリングらっきょう

          らっきょうが旬を迎え、 オクラが旬を迎えていた。 どちらも夏の到来を予期させる雰囲気に満ちている。 らっきょうは、どこまでも転がり そしてオクラは、どこまでも粘る。 ボクの記憶が確かなら らっきょうのように転がり続けていく女の性を歌ったのは確かボブデュラン。 ドラマ『スクールウォーズ』の主題歌、新鮮なオクラの粘りの愛の名曲がNeverだったように思う。 左様なことで発酵さぎょう(6月13-18)のテーマは『ラッキョウとオクラとお燗酒』 粘り強く転がりながらも、お

          ライクアローリングらっきょう

          全てに熱い巨人の日

          先日、東京ドームで巨人軍の交流戦を観戦した。 ボクは少年時代は熱狂的な巨人ファン。自転車はもちろんジャイアンツ号だった。 ただ、今現在は巨人軍については甚だ無知でいる。 それでも少年時代を思い出して鳴り物OKの私設応援団のすぐ上の席を確保する。 悠長に弁当など食べるには気が引ける激アツの立ち応援が当たり前の席だ。 ボクは巨人に愛情と情熱を注ぎ、あれほど夢中で入れ込む応援団のピュアな姿に魅了された。 一つも知らない応援歌を口パクで必死についていき全力応援する。 

          全てに熱い巨人の日