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【全文公開】【拡散希望】視覚障害の友人 サッカー観戦にお菓子の缶の蓋大作戦

タイトル画像:ピッチに向かって声援を送る青いユニフォームの男女のイラスト

全盲でサッカー観戦!?

私の友人に悲しいことがあって、その思い出を語っていた時、偶然サッカーチームのタオルマフラーが出てきました。ひょっとしたら、そういう趣味があったのかなー、となり、それなら一度キミも行ってみる?となりまして。

全盲の友人をスタジアムに連れ出しました。その時のお話。

きっと楽しんでもらえた、と思います。その時の準備などを思い出して書いてみます。

そもそも面白いのか?

晴眼者とは得られる情報は100%同じではありません。なので、晴眼者が楽しんでいるのと違って、視覚に障害がある人が楽しめるのか?という不安はありました。

でも、視覚に障害があっても、喜んでもらえた別のポイントはたくさんあったとのこと。

結論としては

面白い!

という事でした。良かった!

では、どこが?

というヒアリング結果です。

・試合前の広場の楽しそうな様子
・屋台の甘いの辛いの入り混じった匂い
・そこでいただくジャンクの味覚
・&ビール
・試合開始が近づくと変わる雰囲気
・広場からコンコースに入って変わる音
・その時の観客のソワソワした雰囲気
・外気温より低い事で感じる建物の大きさ
(ここまで、まだ試合始まらない!)
・コンコースから座席に行った時の音の変化
・座席について受けた風景の説明
・左右から聴こえるサポの声、太鼓の音
・開始が近付くことがわかる音の変化
・入場と共に1度目の音の盛り上がり
・一瞬の静寂と鋭い笛
・それに合わせた2度目の盛り上がり

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画像:やたいのイラスト。たぶん、お好み焼き。

ここまで、ずーっと試合前の話があって、最後にやっと試合が始まりました。

試合が始まるまでにも、彼にとってはこんな異空間があるのです。

さらに後半には

・芝生の匂い

が加わります。

ここに、試合の盛り上がりが足されます。

試合終了後はもちろん祝杯でも残念会でもとにかく何か楽しんでしまいます。

さらに。家に戻る途中のスタジアムの熱気がそのまま詰め込まれた満員電車も楽しみに。

危なくないようにサポートがあればそれもレア体験になります。

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画像:満員電車できつそうな顔をする人たちのイラスト

もちろん、試合を楽しんでほしい

上で紹介した楽しさはあくまでも周辺のもの。

サッカー観戦なのだから、その試合自体の魅力をしっかり伝えたい、と思い、知恵を絞って準備をいたしました。

まずは前提情報。サッカーの歴史や文化を前振りで

日頃の仕事のメールや飯食うときの会話から、仕込みを始めました。

なんで世界中が熱狂してるのか、などを解説。

戦争まで引き起こした試合
フォークランド紛争を引用したナイスヤジ
4年に一度仕事を辞める馬鹿者
現代のサッカービジネス
サポーターの熱狂の例

など、使えるネタは、食いついた度合いで、なんでも叩き込みます。

もちろん、引かれないように相手の反応見ながら!

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画像:サポーターがブブゼラという楽器を吹くイラスト。ワールドカップの南アフリカ大会で多く使われた

続いて、当該チーム情報は超重要!

試合が決まったら、ホームのチームから、情報を入れます。

歴史や相手との確執
現在のチーム状況
リーグ戦でのポジションと目標
自分がなぜそのチームが好きか

などなど。ファンを増やす布教活動みたいな熱意で。

続いて、チームの戦術的特徴と選手情報。

もちろん続いて相手の情報を。ことさら相手を悪く言うのも、演出的には面白いです。

もちろん悪く言う言い方も、本当の試合の記憶を引っ張り出すとまじネタになります。気を付けて!

ここは、初心者向けにプロレス的煽りで、楽しくなるように上手に説明。

ここで武器登場、お菓子の缶のフタが良い!?

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画像:クッキーのいらすと

長方形のクッキー缶のフタが大活躍です。

ブリキでできた、できればA4サイズ以上の。

100均にある、磁石が使えるホワイトボードでも良し。

ただし、しっかりと磁力を受け止めるものにしてください。クッキー缶のフタは、実際に自分は使いました。

※なぜ缶のフタ?
それは、手でマグネットを触るので、そこで動かないで欲しいから。

ここに、11×2+サブの選手+ボールの3種類の異なる触り心地の磁石を準備。

表面が平らなものを選び、点字シールで選手名を貼ります。

立体テプラみたいなツールを彼は持ってました。

まずはフォーメーション

サッカーは陣取りをしながら、最後に混乱を作ってゴールを奪うゲームです。

なので、DF、MF、FWと役割を説明し、さらに位置関係と役割を連携して説明すると、戦局を想像しやすい。

でも、ビジュアル面の情報が得られない。

という事で、缶の上のマグネット達。

位置関係を饒舌に説明してくれます。

まずは相手のいない状態での役割説明。

DFはここ、こっちから来る攻撃をこのように対応。

スライド、ディフェンスラインの上げ下げ、ゾーンとマンツーマン、など、相手の理解と興味に合わせて深いところまで準備しつつ、上手に情報を伝えます。

サイドバック、MF、FW、トップ下、なども同様に。

魅力的な登場人物を解説する映画評論家ばりの表現力で、目一杯理解に向けて説明します。

もちろん、相手は初心者。そこに向けた加減は必要。

(引かれないように!)

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朝日新聞のサイトより(懐かしい!)

次に相手とのやり取り

マグネットの数が倍になり、さらに重なった状態。

マグネットを大きく2種類用意する理由はこれです。

全体を一度に説明するのではなく、ピッチを大きく4分割くらいにします。

それぞれの地域での攻防を説明します。これにより、実際の観戦時に、大まかな位置が把握しやすくなります。

ここまでで、サッカーという試合そのものの仕組みを理解してもらえました。

さらに盛り上げる!観戦グッズを用意してもらう

何事も形から。

レプリカを貸してあげてもいいのですが、そこまでしなくても、いっしょに盛り上がれます。家を出る時から雰囲気に浸ってもらいましょう。

応援するチームの色の服を準備してもらいます。

注意が必要なのは、色の伝え方。

例えば「緑」くらいのアバウトな言い方はダメです。

明るい緑と暗い緑でチームが異なる例もある。

さらに、異なるだけでなく、むしろ憎い!くらいの違いになる場合も。

例なので、別に特定のチームにコテンパンにやられた事を思い出して書いてるわけではありません。

さらに、ペットボトル、天候により雨具、など、ガチ勢にはおなじみの持参品も、うんちく付きで説明します。この辺はスタジアムごとのレギュレーションを守って。

寒暖の差が激しい場合の調整できる服装を伝えておくのも季節によっては重要。

ようするに、快適な観戦をお届けする最低限の配慮です。

ここまでが試合日までの準備。

当日のエスコート

前日までの押し売りにも見える準備とはうってかわり。

基本的には感じてもらいます。

先に何でもかんでも説明しない。彼の感性がフル回転して周囲の楽しさを探すのを邪魔しない事を心がけます。

聞かれたら答える、くらいで。

ひとつだけ忘れてはいけない当日の準備。

売店に行って、タオルマフラーを買ってもらいましょう。できれば自腹で。

数あるデザインを全部口で説明してあげ、一つ選んでもらいましょう。

格好いい巻き方を指南すれば、もうサポーターの仲間入りです。

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画像:タオルを首にかけている男性のイラスト

いよいよ試合、声と手のひらガイドの合わせ技

下準備は万全です。

試合中は周囲の人に配慮しながらの声量で、主に「どのポジションの誰」が球を保持しているか、を名前を言いながら説明。

さらに、手のひらをフィールドに見立て、指で球の位置を触っておきます。

さらに。球を持ってない人の特徴的な動きを伝えれば、展開も分かりやすくなります。先が分かることで、持ってる人、という点の情報が、線に変わるのです。

あとはスタジアムの音が

あとは初めてきた人にとっての初めての雰囲気が、たとえうまくこちらが伝えられなくても、補完してくれます。

一緒に喜べる瞬間を楽しみましょう。

試合終了後も賑やかな雰囲気が、観戦の記憶を強く印象付けてくれます。くれぐれも万が一負けても機嫌が悪くならないようにすれば、あとは余韻に浸りながら帰るだけ。家に着くまでがサッカー観戦です。

他にもやり方はある

実は、この準備のほとんどが「初観戦」の誰にでもあると相手がより楽しくなるおもてなしです。そこに、視覚情報が無い人なら?という点を加えただけ。

ぜひ、皆さんも皆さんのサービス精神で色々な方法が出てくると面白いと思います。

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日々の生活で、障害のある方に接してる人は少ないと思います。 幸い様々な方と仕事で知り合い、様々な気付きがありました。その気づきを書いていきます。 一見雑に見えることも書きます。リアルな接触体験は、ヒューマニズムに溢れたものばかりではないのです。 そのため、少しだけ敷居を作らせていただきます。

様々な障害を持つ友人がいて、一緒に活動するだけで、様々な知見が得られます。無力を感じることも。 でも、少しでも自分の気づきを世の中にシェ…

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