下半期中に取引先のイソベアヤノさんとヤるったらヤる
↓イソベさんとの前日譚(妄想)についてはこちら。
イソベ~……お前いいかげんにしろよな~
「すいません西田さん! 8月アタマに西田さんにお願いしていた仕事、一旦ペンディングになりました! ごめんなさい! とりあえずバラシで!」
“とりあえずバラシ”とかオッサンみたいな言い回ししてんじゃねーよ。
てかまあバラシの件はどーでもいいんだよ。
どうせおれは毎年、お盆周辺には何の予定もねーんだからな。
おれの気に障ってるのがイソベさん、あんたが最近つきあってるという噂の男のことだよ。
なんだあ? 今年入ったばっかの新入社員だって?
なんだよあの星野源しばいたみたいなのっぺり顔のシレシレ野郎はよ。
あんた、あーいうのが好みだったのかよ?
てかあんた、もう三十路だってのに大学出立ての新卒男子に手を出すたあどーーーいう了見だよ!!
おれは社外の人間だからあんまり詳しくは知らねーけど、社内では相当なスキャンダルになってるらしいじゃねえか。
『聞いた? イソベ主任、新卒の男の子と付き合ってんねんて!』
『まじー!? イソベさん、そーいうシュミやったん???』
『てかあの子とイソベ主任、いくつ違うたっけ?』
『え、たぶんウチの弟と一緒で今年新卒だから22やろ?』
『やっば! ありへーーーーん!!!』
『ウチの弟がイソベ主任と同じ歳の女と付き合うとったらほんま、ガチ説教したるわ!』
とかなんとか。
いや待てよ。
なんで年上女と付き合ってたら……
姉ちゃん、テメエに説教されなきゃなんねーんだよ!!
姉ちゃんと違ってその会社の年上女は、セックスさせてくれるんだぜ??
じゃあ何か?
姉ちゃん、その女と別れたらセックスさせてくれんのかよ?
俺ら姉弟、畜生かよ!!!
いやいやいやいや……違う、違う。
俺はイソベアヤノさんの噂話してる会社の同僚女の弟じゃない。
あまりのことで俺の自我、とんでもないとこまで飛んでってたぜ。
俺はイソベさんとこの会社の出入り業者(自営・個人事業主)の西田だ。
しかしまあ……いったいどうなったんだい?
今年の夏こそはイソベさん、あんたおれと白浜に旅行に行く予定じゃなかったのかい?
※妄想です
ビーチでこーんなスケベな水着姿、俺に見せてくれるはずじゃなかったのかい??
※もちろん妄想です
まあもっとも、実際に俺はあんたにそんな提案したわけじゃないがな。
そんなこと口にしちまうと俺、あんたの会社と取引停止になっちゃうじゃねえか!
……しかしそれにしてもイソベさん……
あの星野源しばいたようなノッペリ坊やと、いったいどんなセックスしてるんだ?
ああ、おれは数十歳若返って学生時代に戻り、もう一度就活がしてえ!
そんで、あんたの会社に入社してえ!!!
で、それでサラピンの新卒の俺はあんたの課に配属されるんだ。
そしてイソベさん、課の主任であるあんたが俺の教育担当になる。
「うちはキビシイで! びしびしシゴくからな!」
とか満点の笑顔で言うイソベさん。
(し、シゴく……扱く……この人が俺をシゴく……)
もうその日から俺の頭のなかは、大先輩のアンタに関するエロい妄想でいっぱいさ。
とてもじゃないが仕事覚えるどころじゃねえ!!!
たとえばだな、二人で会社の近所の居酒屋に飲みに行く。
で、イソベさん、あんたがなんだかストレス溜まっててベロベロに酔っちゃうんだ。
「ちょ、ちょっとイソベ主任、飲みすぎっすよ……」
「なんや? 上司に指図するんかあ……? うちが飲みすぎたらなんであかんねん? 文句あるんか?」
「そ、そんなつもりじゃないっすけど……ひ、ひゃっ!」
いきなり居酒屋のテーブルの下で、あんたの素足が俺の股間に伸びてくるんだ。
「ん? どないしたん? 西田くん?」
「ちょっ……ちょっと……なにするんですかイソベさんっ!」
あんたの素足による股間攻撃は止まない。
くにくにくにくに……と足の指を巧みに動かして、ズボンの上から俺のマラマラ棒を刺激してくる。
「なんなん? 西田くん……えらい居心地悪そうやんかあ……」
と、スケベ面で俺の表情を面白そうに眺めるイソベさん。
うぶな新卒新人坊やの俺は、顔を真っ赤にしてあんたを恨めし気に睨む。
「い、いいかげんにしてくださいっ……お、怒りますよっ……!」
「そやなあ……仕事で毎日毎日、うちに怒られて……西田くんも相当うちにストレス溜まっとるんと違うん……? うちに、仕返ししとうない?」
「し、仕返しって…………」
「これからうちと、ホテルいかへん……? おーーーもいっきり仕返ししてえな……う・ち・に……」
とかな。
あるいはだ。
新入社員の俺のほうけっこうグイグイ行くパターン、ってのもあり得る。
グイグイ来られたら、イソベさん、あんた弱いタイプだろ?
前から思ってたけどあんた、実はMっぽいからな!!
たとえば大事なプレゼン前日、あんたは新入社員の俺とたった二人で深夜残業だ。
で、真夜中を過ぎたあたり。
誰もいない明かりを落としたオフィスで、あんたと俺の作業も一段落ついた。
「はあ……きっつ……まあ、これで大丈夫やろ。あんた、明日は早いんやから、もう帰り。あとはうちがやっとくから……」
とアヤノさん、あんたは首筋の凝りを自分で揉みながら言う。
「そんな……僕だけ帰れませんよ」
「なんで? 主任の命令が聞かれへんの? 帰りって……うーーーーん……」
と、椅子の上で伸びをする。
カットソーの裾から、ちらりとあんたの臍が覗く。
「こんな夜中に一人きり……女性を1人でオフィスに残していけません……危険ですよ……」
と、肩越しに俺を振り返ってイソベさん、あんたは言うんだ。
「え? もしかして心配してくれてんのん? ……だいじょーぶやって……こんなおばはん一体誰が襲う、っちゅーねん…………ん、んっ……!」
そのとき、あんたの唇をふさぐのは俺の唇だ。
最初は目を白黒させるあんただが……
やがて長い睫毛を伏せて目を閉じ、おれが唇を屠るままにさせる……
「んっ……」
俺が唇を離したとき、イソベさん、あんたは思わず追いすがるようにして唇を突き出そうとしてる自分に気づき、はっとして顔を背けるんだ。
「ほら……襲われちゃいましたね……イソベさん、無防備だから」
「な、なにすんねんいきなりっ……ひゃっ! ……んっ……」
次におれはあんたを椅子から立たせて、抱きしめながらキスをする。
あんたの少し汗ばんだカットソーの背中や、髪を撫でながら……
途中で俺がわざと意地悪で唇を離したら、イソベさん、そのときにはもうあんたは自分から“もっと!”とばかりに唇を重ねてくる。
ひととおりキスをしたあと、おれはあんたの唇を解放する……
「ほら、本格的に襲われちゃった……だから僕、イソベさんのことをほっとけないんです……」
「じょ、上司にっ……せ、センパイにこんなことしてダダで済むとおもってんの……?」
と、恨めし気な目で俺を睨むイソベさん。
「怖いな……でもお仕置きは……明日のプレゼンが終わってからにしません?」
すると……
あんたは欲情に濡れた目で俺を見上げて、荒い息とともに言うんだ。
「な、なに言うてんねんっ! そこまで待てるかいなっ! ……とっととプレゼン準備終わらすでっ! ……ほんで今夜は……近くで泊るでっ! ……たっぷりお仕置きしたるからなっ!」
そして仕事を終わらせたおれたち二人は朝までのわずかな時間を会社近くのホテル街で……
で、ベッドでのあんたは……
ずっと俺が睨んでたとおり、ドMなんだよな?
「あっ……あああっ! ああああっ! くっ……なっ……なんなんっ?
さっきまであんなにしんどそうな顔しといてっ? ……なっ、なんでこんなに元気なんっ? ……ま、まじめに仕事しとったんっ……???」
と、俺の下であんたが眉根を寄せながら言う。
「イソベさんがエロすぎるんっすよ……すっかり元気になっちゃった……僕、若いから……」
するとイソベさん、あんたは俺をきっ、と睨んで……
「むっ……むかつくっ……なんなんそれっ? ……う、うちかてっ……ま、まだ三十やっ! ……あっ……えっ……そんなっ……」
「ほら、イソベさん……四つん這いになって……お尻こっちに向けて……」
そして俺はあんたにバックから……がぶり寄る!!
「あうんっ! ……あ、あ、あっ……あっ、あっ……ああああっ……す、すごっ……すごいっ………………って、ちょ、調子のんなやっ! ……あっ…………ああっ……あ、あとでっ……あとで覚えときやっ! ……あああああっ!」
そしてあんたのその充実したけつにさらに腰を打ち付けて……
そうさイソベさん。
これが下半期中に、俺があんたにやりたいことさ。
8月アタマの仕事のバラシなんかもうどうでもいい。
必ずこの下半期中に、あんたとヤってやる……
でも待てよ。
そのためには俺、新卒の年齢まで若返らないとな?
よし、とりあえず目標は、数十年若返ることだな……
そのためにはどうすれば…………
…………あれ?
オヤア――ッ?
誰も居やがらねえ……
ここは監房の中だ……おかしいな。俺あサッキから一人で饒舌ってたのかな……フーン……イッタイ何を饒舌ってたんだろう……
……桐の花が、あんなに散ってやがる…………
アハハハハハ! イーーーヒッヒッヒッヒッヒッヒッヒッ………………
※作者、酷暑により発狂のため<了>
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