西彫学園処道部

小説『処刑少女の生きる道(バージンロード)』について非公式に考察する『処刑少女の考察道…

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小説『処刑少女の生きる道(バージンロード)』について非公式に考察する『処刑少女の考察道(オタロード)』を掲載していきます。 文章や画像は合法的に引用しています。

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『処刑少女の考察道』目次

 『処刑少女の生きる道』は、佐藤真登さん著・ニリツさんのイラストによるライトノベルです(GA文庫/SBクリエイティブ刊)。  コミカライズ(三ツ谷亮さん)、アニメ(処刑少女製作委員会)などのメディアミックス展開もされています。  『処刑少女の考察道』は、この作品についての非公式な考察記事を掲載していくシリーズです。 目次(記事一覧とリンク)導師『陽炎』 なぜ『陽炎』は目を細めたのか 20年前の最期の言葉に感じる違和感 マノン・リベール アニメ映像から考える強敵 マノ

    • 処刑少女の考察道:温泉街で日付が合わない理由

       小説4巻は「湯けむり温泉街へ向かう旅情列車追跡ミステリー」。お風呂も浴衣も他の衣装もある『処刑少女の生きる道』です。  アニメでリベール編までをご存じの方には「そうやって旅が続いていくのかー」と想像してもらえるかもしれませんが、小説3巻の結末からすると逆に意味が分からない感じで素晴らしいですね。  この巻では、登場人物が「追う側」と「追われる側」に分かれる要素があります。  追跡手段と両者の距離、いつどのように追い付けるのか――といった面白さがあるのですが……。  皆さ

      • 処刑少女の考察道:それがサハラの「生きる道」~左手を残した理由~

        「計画の穴」や「欠けているもの」を見ていたはずが、気が付けば彼女の魅力について語ってしまっている。 『処刑少女の生きる道』に登場する修道女サハラとは、そういう人物なのかもしれません。  彼女と他の登場人物たちとの違い。そしてそれがどこからきているのかを理解するために、まず親との別れから処刑人としての訓練時代までを振り返りました。「サハラの計画には穴が必要だった」  更にメノウと再会するまでの半生を振り返っていくと、一貫して欠けている存在が見えてきました。それは小説3巻で彼女

        • 処刑少女の考察道:サハラの自己評価が低すぎてツラい ~トップクラスの修道女~

           サハラについては「欠けているものがある」だの「元祖おっぱい女」だの、さんざんな考察をしてきました。  彼女の生い立ちが、小説3巻の「穴の多い計画」とその綻びに表れていると。  サハラは、どこかで生きる道を間違えたのでしょうか?  ここで1件のツイートを見てみましょう。  いつの時点の光景なのかはともかく、生きる道を間違えてしまった感じはありません。別の意味で「それでいいのか」感はありますが。  小説3巻時点での欠けや綻びは、どこぞの未開拓領域へ送られたのでしょうか?

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        『処刑少女の考察道』目次

          処刑少女の考察道:サハラに常に欠けていたもの

           義腕の絡繰り修道女サハラ。  彼女の「とある計画」は『処刑少女の生きる道』における他の重要人物の行動と比べても穴が多く、そこには意味があるはずだと「サハラの計画に穴は必要だった」では考察しました。  そして彼女の出自から処刑人を育てる修道院での日々までを振り返ってきました。  今回は、彼女がメノウたちの修道院を離れてから再会するまでを考察した上で、前回の内容と合わせて見えてくるものがあるか考えてみましょう。  もちろん、登場人物の設定や作者の意図などについて、これが唯

          処刑少女の考察道:サハラに常に欠けていたもの

          処刑少女の考察道:サハラの計画には穴が必要だった

           義腕を武器に持つ修道女サハラ。光線砲に狙撃銃や散弾銃、そしてパイルバンカーまで撃てる『絡繰り世』帰りの銀腕少女が『処刑少女の生きる道』小説3巻で登場します。  アニメ1期で小説2巻のリベール編までが描かれた、その次の話になります。これを書いている時点ではコミカライズでも、もうすぐ登場するのではないかと思われます。  そんなサハラですが、小説3巻の主要登場人物である以上、その物語における役割というものがあります。  彼女は、とある計画を立てた上で、主人公であるメノウたちと

          処刑少女の考察道:サハラの計画には穴が必要だった

          処刑少女の考察道:20年前の最期の言葉に感じる違和感

          「以前に出てきた情報と矛盾していない?」そう勘違いしてしまいかねないようなトリックが小説『処刑少女の生きる道』には仕込まれています。  この物語に限っていえば、そう感じた時こそ、そこには真実の手がかりがあります。「あー、そういうことか! この物語って凄い!」と楽しめる機会です。  今回は、そうしたトリックを、ひとつだけ解説してしまいます。  おそらく作中に幾つもある内のひとつです。  気付かずに読み進めたとしても、物語の本筋は楽しめてしまう部分ではあります。後から「実は

          処刑少女の考察道:20年前の最期の言葉に感じる違和感

          処刑少女の考察道:マノンの母親とシシリア司祭 ~あり得たかもしれない生きる道~

           マノンの母親は、娘のためにできる限りの手を打っていたはず。「マノンの強さと母の想い」では、そう推察しました。  ですから、いつか自分も一族も処刑されてしまったら娘はどうなるのかと、母親は考えていたと思うのです。  皆さんは、もしそうなった場合、マノンが生き残ればどうなったと思いますか?  グリザリカ王家の例からは、親子だからというだけで連座させられることはないことが分かります。  王女アーシュナは事件直後に堂々と第一身分に対し名乗りを上げているほどです。  だから本人

          処刑少女の考察道:マノンの母親とシシリア司祭 ~あり得たかもしれない生きる道~

          処刑少女の考察道:マノンの強さと母の想い

          『処刑少女の生きる道』アニメ1期にあたる物語を通じて主人公がついに勝てなかった相手。それがマノン・リベールだと「アニメ映像から考える強敵 マノン」で書きました。  決して、やべー性格で眉毛がカワイイだけのコスプレした中ボスなどではないと。  しかしメノウは、町がひとつ消えるという壮絶な出自と、厳しい修練や実戦、それらを経てきた処刑人です。  どうしてマノンは、強キャラとして並ぶことができるのでしょうか。何の能力も持たない、過去のトラウマに縛られたお飾りのお嬢様では、なかった

          処刑少女の考察道:マノンの強さと母の想い

          処刑少女の考察道:アニメ映像から考える強敵 マノン

           列車は右から左へ走り――  主人公たちは右側から左を向いて戦い――  そして右から左へと歩いていきます。  これはもしや、この作品においては「右から左」という方向に何か意味があるのでは? 発見してしまった?  ……そんなふうに思っていた時期が私にもありました。  よくみたらプリキュアも右から左へ飛び――  バスケでも左に向かって跳んでるじゃん……。  詳しい方には笑われてしまうかもしれませんが、映像表現に共通した原則というものがあるんですね。  今回は『処刑

          処刑少女の考察道:アニメ映像から考える強敵 マノン

          処刑少女の考察道:人災化する前に殺す意味

           異世界人を、人災化する前に殺すこと。  小説『処刑少女の生きる道』において、それが第一身分の処刑人としての主人公メノウの役目です。  なぜ人災化する前に殺さなければならないかというと、人災化すると大きな被害を出す可能性があるからですよね。四大人災や、漂白された町のように。  それは、メノウたちの世界に元からいる人々にとって、譲ることのできない理由となっています。  では、殺されてしまう異世界人の側にとっては、どうでしょう?  人災化して純粋概念に浸食されるのも、処刑人

          処刑少女の考察道:人災化する前に殺す意味

          処刑少女の考察道:なぜ『陽炎』は目を細めたのか?

           彼女は、幼い子供の前でその母親を殺しました。周囲を巻き込むような力を使わせないよう、その子を盾にしたのです。  加えて、その子が母親のような特別な存在ではないことを宣言し、二重に心を折りました。  そして子供の目の光が失せたのを見て、目を細めました。  小説『処刑少女の生きる道』の主人公を引き取り「処刑人」として育てた『陽炎』とは、こういう人物です。  小説1巻ではまず、身寄りのない主人公を旅の道連れとして拾ってくれたことが回想され、不器用ながらもあたたかい印象すらもっ

          処刑少女の考察道:なぜ『陽炎』は目を細めたのか?