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コスパのいい悪夢


僕は今の家が好きである。

引っ越して1年と4か月。

最初は落ち着かなかったあの部屋も今ではすっかり我が城と化した。

僕が今まで住んだ部屋の数は実家で一人部屋を与えてもらってから今の部屋で5部屋目。

この5部屋の中でも今の部屋が一番愛着があると言えるだろう。

やはり初めて本当の意味での一人暮らしを始めた部屋だからというのもあると思う。

(東京来て1発目の代々木の部屋は色々あって人の部屋)

あと気に入っている理由を挙げると

・家賃の安さの割に部屋が綺麗

・ワンルームにしては、ちょっと広め

・日がよく当たる

・周りが静かで今のところ迷惑な住人もいない


どうだろう?

なかなかいい物件じゃないだろうか?

生まれて初めての部屋探しにしては、かなりいい物件をゲットしたんじゃないだろうか?

まあ、駅からの遠さだけがネックだが、これも自転車があれば苦にならない。

東京に来てからというもの、何もうまくいかない中、部屋探しだけは成功したと言えるだろう。

僕はいつも家に帰り部屋の電気をつけ、部屋を見渡し「よし、成功成功」とニンマリするのである。

現在の僕は、言わばこの部屋探しの成功体験のみで自我を保っている。


そんな中、この前変な夢を見た。

夢の中で僕は玄関の前に立っている。

いつもの玄関である。

しかし、何だかいつもより古びている。

錆びていたり所々色が剥げている。

僕は家に入るためカギを取り出す。

カギも何だかボロボロである。

カギを差し込み、ドアノブを回す。

と、ドアノブを掴んだ自分の手を見るとシワシワである。

完全におじいちゃんの手だ。

夢の中なので思考回路がハッキリしてるわけではなく曖昧なのだが、何となく自分が年老いている事は分かる。

シワシワの手でドアノブを回し、玄関を開ける。

するとそこには

ボロボロの壁、カビだらけのカーテン、変色した布団、剥がれたタイル、切れかかった照明、ワンカップと鬼ころしのゴミの山

という光景が広がっていた。

年老いた僕は部屋を見渡し

「よし、成功成功」とニンマリした。



ぎいやああああああああ!!!

僕は飛び上がるように目を覚ました。

息切れと心臓の動悸が止まらない。

とんでもない夢を見てしまった。

僕は

今から数十年後も同じ家に住んでいる夢を見てしまったのである。


まさに悪夢。

今まで見た悪夢ランキングでもTOP3には入るだろう。

何やあのボロボロの部屋。

「よし、成功成功」やあらへん。

どこが成功やねん。

大失敗やないか。


いや、それにしても。

こっっっわ〜〜〜〜。

何この夢。

めちゃくちゃ怖い。

数十年後、同じ家に住んでるというだけでこんなに怖いなんて。

普通、悪夢と言えば

何かに追いかけられたり、襲われたり

結構、激しい内容である。

それに比べてこの悪夢は

かなりの省エネである。

何も起こっておらず、部屋の中を見ただけなのにめちゃくちゃ怖い。

そう考えると

コスパが最高にいい悪夢と言えるだろう。


言えるだろう、やあらへん。

これはもしかしたら予知夢かもしれない。

正直、あの夢の内容がないと言いきる自信はない。

むしろこのままいったら結構ありそう。

今の家からいつまで経っても抜け出せず、部屋も自分もボロボロになる。

恐ろしすぎる。

絶望の未来過ぎる。

クロノトリガーに出てきたロボのいる未来やないか。

あれ最初、めっちゃ暗い気分なったもんなあ。


あかん。

この部屋で満足してたらあかん。

気付いたらおじいさんになってしまう。

もっといい家住めるように頑張らな。


というわけで僕は目標を立てる事にした。

次の家の更新は来年の2月である。

あと半年とちょっと。

正直、この期間だけで今よりいい家に引っ越せる様になるとは到底思えない。

絶対に無理な目標を立てても仕方ない。

だからとりあえず次の更新はして今の家を継続し、その次の更新までに引っ越せるようにする。

これを目標にしよう。

あの悪夢にならないように。

頑張るしかない。










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