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祝い


毎日note更新15日目。

またまた日付は変わってしまったが、明日はバイトもなく1日休みだ。

今日は朝の8時から夜の9時まで丸1日バイトだった。

そんな朝から晩まで働いた次の日が休み。

この状況は非常にワクワクする。

休みの前の日ってなぜこんなにもワクワクするのだろうか。

今までの経験上、いざ休みの日になると大体ムダに過ごして1日が終わる。

で、その日の夜ぐらいに「あ、休み終わってしまった」と後悔するのだ。

これまでの人生これの繰り返しである。

でもまた休みの前の日になるとワクワクしてしまう。

思い返せばこのワクワクが始まったのは高校のラグビー部時代からかもしれない。

むしろあの時が1番ワクワクしていたかも。

というのも毎日の練習がキツすぎてオフの日が待ち遠しくてたまらなかったのだ。

特に夏休み中は来る日も来る日も練習でオフを本当に心待ちにしていた。

そして僕以上にオフを心待ちにしていたのが

チームメイトの

めちゃくちゃ変な人、通称変人と

キャラ作りして先輩に媚びてた人、通称キャラである。

変人とキャラはチーム内でも飛び抜けてオフを心待ちにしていた。

それほど2人は練習が嫌いで嫌いでしょうがなかったのである。

ある日変人とキャラはオフが欲しすぎて変な理論を言い出した。

午前の練習→オフ→午後の練習

という日程だと

実質2日オフと言い出したのである。


午前の練習が終わった瞬間2人は

「やったー!実質2日オフや!」

と手を取り合い喜んでいた。

確かに午前の練習の日は午後は空いてるし、午後の練習の日は午前が空いている。

合計すれば2日である。

しかし実際過ごしてみれば気付くのだが

普通にオフは1日である。


オフに実質も何もない。

特にオフ明けの午後からの練習の日の午前なんてそれからの練習の事を考えるとゲンナリして到底オフとは言えたもんじゃない。

「実質2日オフ」は机上の空論だったのだ。

2日前手を取り合い喜んでいた2人は結局死んだ魚の目をしながら午後からの練習に向かっていた。


それでも僕らは実質2日オフが来るたびに喜んだ。

2日後死んだ魚の目をする事は分かっていながらも束の間の実質2日オフを楽しもうとしたのだ。

ある日、午前の練習が終わりこれから実質2日オフだという時に変人がテンション爆上がりでこう叫んだ。

「祝いや!!!」


これから3人で実質2日オフを祝おうというのである。

いわば祝杯である。

しかし僕らは高校生なので酒を飲むわけではない。

ファーストキッチンで美味しいホットドックや何やらをバクバク食べるだけである。

僕らはこれをいつしか「祝い」と呼んでいた。

おそらく人類の歴史上最もささやかな祝杯である。

何せオフの前日にホットドック食べてるだけである。

僕らは実質2日オフが来るたびに祝いを繰り返した。

あと少しで練習が終わりそうなタイミングでゼエゼエ息を切らした変人が僕とキャラに近づいてきて耳元でこう囁くのだ。

「・・・祝い」

これが僕達の祝いに行く合図だった。


あまりにも僕達が祝い祝いと言っているのである日他のメンバーが祝いに参加したがった。

僕達はもちろん受け入れた。

みんなでファーストキッチンでホットドックをバクバク食べた。

さあそろそろ祝いをお開きにしますかという所で

そいつはポツリとこう言った。

「え?これが祝い?」

他のメンバーにはあまり僕達の祝いが理解されなかったようである。


ラグビー部の練習は夏休みが終わりに近づくにあたってより過酷になってくる。

僕達は限界を迎えていた。

ある日まだまだオフが遠い中、変人がこう囁いた。

「祝いや。。これはもう祝いしかない。。」

なんと明日も練習がある状態で祝いを行おうというのである。

僕達はとうとう実質2日オフを祝うという大前提をすっ飛ばして

平日祝いを始めたのである。


というかこうなったら祝いでも何でもない。

ただのホットドック愛好会である。

僕達はそれから祝いを乱発し始めた。

練習が終わるごとに誰からともなく

「祝い。。祝いや。。」

と言い、毎日のように祝いを繰り返した。

いつしか僕達は

祝いがなければ練習できない体になっていたのである。


こうして僕と変人とキャラは引退するまで祝い続けた。

僕達のラグビー部の3年間は祝いに支えられていたと言っても過言ではない。

そんな事を休みの前の日である今、思い出した。

そうこうしてたら現在深夜の2時前。

明日ムダに過ごしそうな気配が凄い。





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