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必ず助け出す〜深夜の大救出劇〜


お久しぶりです。

にっしゃん(ピン芸人)です。

ブクロで職質されて以来の更新となりました。

今日は数日前に僕の身に起こったある惨劇、そしてそこからの救出劇について書きたいと思います。

予めお断りしておきますが、今回のnoteは人によっては不快に感じるかもしれません。

もし不快に感じられたのなら

それはもうすんません。

では書いていきます。



ゴールデンウィーク初日。

バイトを終えた僕は家でゆっくりしていた。

去年に引き続き緊急事態宣言下でのゴールデンウィークである。

去年は完全に家にいたが今年はバイト先が休業になるような職種ではないので毎日バイトには行く事になっている。

今年のゴールデンウィークはバイトと録りだめていたドラマを見よう。

僕はそう考えていた。

少し寂しいが今の状況だと仕方がない。

まずは「天国と地獄〜サイコな2人〜」から見るか。

そう思い僕はリモコンに手を伸ばした。

他の人も大体そうかもしれないが、僕は録画機能付きのブルーレイレコーダーにドラマやバラエティなどを録画している。

そろそろまた録画可能時間が少なくなってきたので見た番組を消すかブルーレイに移すかしないといけないなと思いながら、天国と地獄の第1話を見始めた。

見始めて数分経った頃、異変が起こった。

突然、音声が途切れたのである。

画面にはひたすら口パクしている綾瀬はるかが映し出されている。

僕は一瞬

そういう演出??と思った。

無声映画ならぬ無声ドラマみたいな。

だとすればかなり斬新である。

最初音声あったのに途中から無声になるなんてめちゃくちゃ意表をついている。

どういう意図があるのだろう?

この世界に音なんていらないって事か?

それか単純にプロデューサーがチャップリンの大ファンとか?

だとしたら綾瀬はるかにもうちょっとチャップリン的な動きをしてもらわないと。

ていうか出演者全員、渾身の口パク演技を披露している。

何じゃこれ。

何じゃこのドラマ。

そんな事を考えながら3分ぐらい見続けた後、僕は気付いた。

違う。

これ無声ドラマやない。

これは故障や。


テレビかブルーレイレコーダーが故障している。

僕は焦りながら色々調べた。

調べた結果、これはどうもブルーレイレコーダーがおかしいようである。

1回電源を切ってみる。

レコーダーの画面に「please wait...」という文字が出る。

普段ならこれが出た後すぐ電源が切れる。

しかし今日はやけに長い。

ずっとplease waitが出ている。

僕は36年間生きてきた中で学んだ事がある。

それは

「please waitが長い時はロクな事がない」

という事である。

これは電気機器の表示においても映画等の物語に置いてもだ。

洋画でこんなシーンを見た事ないだろうか?

主人公が敵の組織に関わりがある会社を訪ね受付に用件を言うと受付は「please wait...」と言って姿を消し、しばらくしたら敵が襲撃してくるみたいな。

見た事あるような気もするし、ないような気もするだろう。

僕もそんな感じである。

話が逸れたが、とにかくplease waitが長い時は良くない。

それが今日はめちゃくちゃ長い。

ていうか。

please waitで固まっている。

最悪である。

確実に何かおかしい事が起こっている。

僕は思い切って根元のコンセントから抜いてみた。

36年間生きてきた中で学んだ事がもう1つある。

「コンセント抜き差しすれば大体の事は治る」

である。

経験上、電化製品は抜き差しすれば大体いけるのだ。

僕はコンセントを抜き、そして挿して電源を入れた。

すぐに電源が付いた。

ドラマを再生してみる。


すると、、、


音声が復活していたのだ!

「やった!!!」

僕は部屋の中を小躍りした。

耐えた。

耐えてくれた。

今まで録画した全てが見れなくなってしまったらマジで最悪である。

それを何とか回避出来た。

コンセントの抜き差し最強説である。

さあ、気を取り直してドラマを見よう!


それから数分後。


無声リターンズ。


綾瀬はるかがこれでもかと口パクしている。

何も聞こえない。

ようこそ恐怖の無の世界へ。

あかん。

これ確実に何かしら故障している。

それでも諦めるわけにはいかない。

僕はコンセントの抜き差しを必死に繰り返した。

その結果。


完全に悪化した。


リモコンの操作が何も効かなくなってる。

DVDやブルーレイの開閉も出来なくなった。

僕は36年と9ヶ月生きてきて新たに学んだ。

「潰れそうな電化製品にコンセントの抜き差しやっちゃダメ」

悪くなりかけてる物が完全に悪くなるのである。

しかし学んだ時には時すでに遅しである。

何も操作出来なくなってしまった。

最悪である。

どうしよう。

ドラマ録り貯めてたのに。

以前の録画も何も見れない。

ああ。。


落ち込む僕の頭の中にそれ以上にまずい事が一瞬よぎった。

え?

ちょっと待てよ。

この前TSUTAYAで借りたDVD。

もしかしてレコーダーに入れたままなんじゃ。。

急いでTSUTAYAの袋を確認する。

ケースの中は空である。

まずいまずいまずい。

開かなくなったレコーダーの中にDVDが取り残されている。

TSUTAYAの DVDなのに。

返却しないといけないのに。

そして何よりまずいのが

そのDVD

アダルトなDVDなのである。。。


恥ずかしながら私にっしゃん。

そういうDVDを未だにTSUTAYAでレンタルさせてもらっている。

普通は皆動画だと言う。

しかし私は頑なにレンタルにこだわっている。

昔ながらのストロングスタイル。

私は自分で自分の事を

「ラストサムライ」と呼んでいる。


しかしそんなラストサムライっぷりが今回完全に裏目に出てしまった。

取り残されたそういうDVD。

最悪である。

最悪はここに潜んでいた。

ちなみにタイトルは

「ハプニングだらけの水泳大会」

えらくハプニングばっかり起きる水泳大会だと聞いていたが

まさかこんな形でハプニングが起きるとは。。。


僕は半泣きになりながらこれから起こるであろう事態を予測する。

まずTSUTAYA。

修理するにしてもかなりの日数延滞しないといけない。

おそらく店員さんに事情を説明しないといけないだろう。


にっしゃん「すいません、レコーダーが壊れてDVDが取り出せなくなりまして、、、」

店員さん「そうなんですね。。延滞料金かかってしまいますが」

にっしゃん「はい、、、」

店員さん「ちなみにですね、レンタルされてた商品のタイトルは?」

にっしゃん「え?」

店員さん「いやあの、商品のタイトルは?」

にっしゃん「え??」

店員さん「いやだから商品のタイトルは?」

にっしゃん「ハ、、、」

店員さん「は、、、?」

にっしゃん「ハプニングだらけの水泳大会、、、」

店員さん「、、、」

にっしゃん「、、、」

店員さん「それはとんだハプニングでしたね、、、」


恥ずかしすぎる。

生き恥である。

とても耐えれるものではない。

そしてさらに修理に出したとしよう。

仮に修理出来たとして、業者さんは色んな確認をするだろう。

DVDの取り出しももちろん確認するだろう。

業者さんが開くボタンを押す。

ウイ〜ン。

ゆっくりと出てくる

ハプニングだらけの水泳大会。


恐ろしい。

想像を絶する気まずい空気が流れるだろう。

もういっそうのこと海パン1枚の格好で修理に持っていこうか。

それなら自然なんじゃないだろうか。

あ、この人水泳大会なんやなって。

毎日が水泳大会なんやなって。

すんなり受け入れてくれるんじゃなかろうか。

いや。

ハイパー変態水泳おじさんになるだけか。


いくら考えてもTSUTAYAに行くのも修理するのも嫌だ。

僕は泣きながらレコーダー本体の開閉ボタンを連打した。

しかし蓋はピクリとも動かない。

それでも僕はひたすら開閉ボタンを連打する。

動け!

動け!!

動け、動け!!

動いてよお!!!


初号機ならここで暴走するがブルーレイレコーダーはもちろん暴走してくれない。

僕はそのまま血走った目で蓋を指でこじ開けようとした。

カリカリカリ

まるでホラー映画のワンシーンである。

カリカリカリ

蓋は全く開く気配がない。

そんな光景を僕の中にいるリトルにっしゃんが俯瞰で見ていた。

昨年芸人として最後の勝負をするため東京に出てきた太ったおじさんが今、東京の片隅でブルーレイレコーダーから水泳大会を取り出すため必死にカリカリしている。

この太ったおじさんは一体東京に何をしに来たのだろうか。

少なくともブルーレイレコーダーをカリカリするためには来ていないはずなのに。


諦めずにカリカリする僕の目に部屋の隅に置いていたドライバーセットが映った。

これだ!!

僕はそう直感した。

マイナスドライバーをねじ込んで蓋を無理矢理こじ開けるのである。

レコーダーは再起不能になりそうだがもうこの方法しかない。

僕は力強くマイナスドライバーを蓋の隙間にねじ込んだ。

うおおおお!

蓋はピクリとも動かない。

うおおおお!

やっぱり蓋はピクリとも動かない。

無理なのか。

やっぱり諦めるしかないのか。


いや!

諦めるわけにはいかない!

何としてでも水泳大会を救出し返却しなければならない!

僕は必ず水泳大会を助け出す!


僕は諦めそうな心を奮い立たせた。

そしてもう1本マイナスドライバーを取り

両手に1本ずつマイナスドライバーを持ち左右から挟むようにして蓋にねじ込んだ。

その姿勢が期せずして

コテでお好み焼きをひっくり返す時の姿勢になった。

その瞬間

僕が最近忘れかけていた

なにわの心に火が付いた。


わいは!

わいは諦めへん!

バキッ

ブルーレイレコーダーの蓋も!

芸人人生の閉ざされたドアも!

こじ開けるんや!

バキッバキッ!

わいは諦めへん!

芸人で成功する事も!

小松菜奈に会う事も!

水泳大会TSUTAYAに返却する事も!!

バキッバキッバキッ!!


わいは!


わいは!


なにわのエロ親父じゃい!!!


バキッバキッバキッバキッバキッ!!!


僕は蓋を完全にこじ開けた。

凄まじいバキバキ音と共に水泳大会が姿を現した。

諦めずに立ち向かい続けた結果、救出に成功したのである。

僕は水泳大会片手に部屋の中央で仁王立ちしていた。

そこにはさっきまでのしがない太ったおじさんではなく、ラストサムライがいた。


僕は清々しい気分になっていた。

今まで録画したものを見る事は出来ない。

蓋はバキバキに開いて元に戻らない。

失ったものは多いが

代わりに何かを手に入れたような気がする。

いつかこの出来事がターニングポイントだったと思える日が来る。

そう確信していた。


翌日。

僕はTSUTAYAに水泳大会を返却した。











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