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生まれて初めて職質された。そして僕は吠えた


引っ越してから1か月が経った。

早いものである。

前回の投稿で書いた部屋の音はあんまり気にならなくなった。

ていうかやっぱり家の構造上の音の気がする。

心霊現象的なものではなさそうだ。

ご心配おかけしてすいませんでした。

あの投稿以来noteを更新してなかったので中には僕が呪われておかしくなってしまったと思った人もいるかもしれない。

いや、おらんか。

まあとにかく僕は元気に新しい家で暮らしております。


昨日は朝からコマンダンテの安田君と映画を観に行った。

エヴァである。

池袋の映画館で10時半からの上映の回に行く約束をしていた。

僕は脳がしっかり起きた状態で映画を観るため7時半に起床した。

早い時間だがスッと起きる事が出来た。

いい目覚めである。

朝ごはんを食べ部屋の窓を開ける。

窓の外から小鳥のさえずりが聞こえる。

すがすがしい朝だ。

昨日は相当雨が降っていたが今日は止んでいる。

映画を観るのに天候は関係ないが足どり軽く映画館まで行けそうだ。

"これはベストの状態で映画鑑賞が出来る"

僕は確信していた。


そこから2時間ほど僕はゴキゲンに過ごし、身支度をして家を出た。

池袋にはおそらく10時過ぎぐらいに着くだろう。

早すぎず遅すぎず。

ベストな時間である。

ここまでは完璧だ。

大好きな宇多田ヒカルを聴きながら駅まで行こう。

僕は「も〜しも〜願い一つだけ〜叶うなら〜」と口ずさみながら駅に向かった。


池袋には10時前に到着した。

ここから歩いて映画館に行ったら10時過ぎぐらいである。

予定通り。

よしよし、いい感じだ。

僕は改札を出て、東口の方に向かった。

とりあえず近くの出口から地上に出ようと思って探していると

改札から少し離れた所に警察官が2人立っているのが目に入った。

何か事件あったんかな?

警官は鋭い目つきでみんなを見ている。

そして何か発見した感じでサッと動き出した。

素早い動きである。

おっ犯人発見したんか。

そんな事を思いながら出口に向かって歩いていると

今度は凄い行列が目に入った。

開店前のデパートの地下食品売り場の何かの店に対して並んでいるっぽい。

最後尾と書かれた看板には何かお菓子かスイーツっぽい店名が書かれている。

並んでいるのは主に若い女の人である。

どんなお菓子なのかちょっと気になるな、と思いながら列の前を通り過ぎようとしたその時だった。

「すいませ〜ん!!」

僕のすぐ横で声がした。

僕は不意をつかれてビクッとなった。

いつの間にか僕の左右に警官がついている。

え?

何これ?

右にいる警官が言う。

「すいません、ちょっと2、3お尋ねしていいですか?」

2人とも凄い笑顔だが目の奥は笑っていない。

僕は思った。

え?

何?

これ何?

え、まさかこれ、、、

職質??


僕は初めての体験に戸惑った。

普通に歩いててこんな形で職質を受けるのは初めてである。

え、俺何かした?

いや、してない。

僕の罪と言えば万年金欠な事ぐらいである。

そんな無実な僕が両隣を警官に固められている。

何でやねん。

てか、さっき目に入ってた警官の動き。

鋭い目つきからの何か発見してサッと動き出したやつ。

発見したんワシかい。

ワシを発見してあんな素早く動いてたんかい。

完全に疑われてるやん。

何を疑ってんねん。

あのサッと瞬時に動き出す感じ。

今思い返したらめっちゃ腹立つやん。

「こいつだ!」の動きやん。

ドラマcrisisで小栗旬あんな動きしてたで。

ていうか。

ていうかやな。

にっしゃん映画行かなあかんのよ。。。


右側の警官が優しい口調で話しかけてくる。

「今日はこれから何されるんですか?」

映画や。

映画行くねん。

もうすぐ始まるねん。

てか「今日はこれから何されるんですか?」て何の質問やねん。

ナンパやないねんから。

もし仮にこれから銀行強盗しようと計画してたとして

「これから銀行強盗やりに行くんすよ!」とは言わんやろ。

どういう質問やねん。

そんな事を内心思いながら僕は答えた。

「これから友達と映画観に行くんですよ。」

警官はなるほどという顔をしながら

「あ〜そうなんですね!もしかしてもうすぐ始まっちゃうとかですか?」

と聞いてきた。

僕は

「いや、そうなんですよ!もうすぐ始まるんでちょっと急いでるんですけど!」

と答えた。

よかった。

急いでるって事で何とか解放されそうだ。

話の分かる警官で助かった。

左側の警官が笑顔で言う。

「じゃあお時間取らせないんで一瞬荷物見せてもらっていいですか?」

おい。


何でそうなんねん。

話聞いとったんか。

完全に解放される流れやったやん。

もう限りなく怪しんでるやん。

何とかして逃がさんとこうとしてるやん。

この2人の中でにっしゃん間違いなく「クロ」やん。

何を根拠にそう思ってんねん。

あかん、イライラしてきた。

僕は見た目は穏やかそうな太っちょなのだが、実はなかなか気が短い。

悪のギャップである。


警官2人が僕のリュックの中を覗く。

今日は映画を観るだけなので荷物は少なく、中に入ってるのは財布、手帳、スマホの充電器、折り畳み傘ぐらいである。

警官2人は真剣な顔つきで中をずっと見ている。

いや、何を見てんねん。

何も見るもんないやろ。

何に対しての真剣な顔つきやねん。

充電器相手にそんな表情出来るの「もうすぐ人生を左右する電話かかってくるのに充電1%の人」ぐらいやろ。

あかん、見る時間長い。

めっちゃ腹立ってきた。

僕は我慢出来ずにちょっと大きめの声で言ってしまった。

「いや、ずっと何を見てるんすか!!何もないでしょ!!」

言い終わった後、ふと視線を感じた。

ん?と思い

視線を感じた方を見ると

お菓子の行列に並んでいる若い女の人達全員がこっちを見ていた。


はい、最悪。

めちゃくちゃ注目されてる。

リアル警察24時やん。

あの人らからしたら完全に何かの犯罪に手を染めた太ったおじさんやん。

職質というのは何もしてなくても周りから見たら何かやってる様に見える。

僕も今まで職質されてるヤンキーを見て「ほんまヤンキーはどうしようもないですな」と高みの見物をしていた。

ヤンキーすまん。

お前らの気持ちが分かった。

何もやってないのに疑われるのがこんな憤りを感じるとは。

でもお前らは遅かれ早かれ結局何かやるから

やっぱりすまんは撤回。


とにかく今にっしゃんはあの行列の人達から何かの犯人だと思われている。

そしてさっきのあのセリフ

「いや、ずっと何を見てるんすか!!何もないでしょ!!」

めちゃくちゃ犯人っぽい。

何かを隠そうとしてる犯人っぽい。

怒ってる感じがより犯人っぽさを醸し出しているのである。

最悪である。

よりによって何で行列の前で声をかけてくるのか。

職質するにしても場所もうちょっとあるやろ。

あの行列の中に知り合いがいたらどうすんねん。

昔の同級生とか。

もしいたら今後、同窓会行かれへんがな。

同窓会で会うなり

「あ、西村くん久しぶり!この前職質されてたよね!」

おしまいやがな。


考えれば考えるほど僕のイライラは止まらない。

僕はさっきより大きな声でこう言った。

「何で僕なんですか!!僕何もやってませんよ!!」

完全に犯人。

追い詰められた犯人のテンプレ感凄い。

何かそういう犯人が言いそうなセリフに寄せにいってる感すらある。


警官2人は僕をなだめるようにこう言った。

「みなさんに声かけてますんでね。何か疑ってるとかじゃないんですよ」

ウソつけ。

最初俺見るなり瞬時に動き出したやないか。

目の奥笑ってなかったやないか。

そして警官2人は優しくこう言った。

「じゃあ後、財布の中見せてもらっていいですか?」

もうええって。

何を見つけ出そうとしてんねん。

財布の中はかなりピンポイントやん。

白い粉が入った小袋見つけ出そうとしてるやん。

めっちゃ確信してるやん。

ただその確信大ハズレやけどな!!


僕はどんどん腹が立ってきて、さらにさっきよりも大きな声でこう言った。

「いや、もういいでしょ!!財布に何も入ってませんよ!!」

めちゃくちゃ入ってるっぽい。

財布に何か隠してる犯人感MAX。

怒れば怒るほど声をあげればあげるほど犯人っぽさが増していく。

行列の人達は息を飲んでこちらを見守っている。

いよいよクライマックス。

あの太ったおじさんは財布に何を隠しているのか。

とうとうそれが暴かれる。

いや、何も隠してないねんけど。


念入りに警官2人は財布の中を見ていく。

めっちゃ遅い。

映画の時間やばい。

あかん、ブチギレそう。

その時、警官2人の目が光った。

何か見つけたようだ。

右側の警官がそれを取りだす。

何かを包んでいるような白い紙である。

警官は勝ち誇った顔でこう言った。

「あの〜これは何ですか?」

僕は見た瞬間分かった。

それは

今年の正月に引いたおみくじだ。


勝ち誇った警官は続けてこう言う。

「ちょっと開けさせてもらいますね」

ゆっくり警官は紙を開ける。

息を飲むもう1人の警官。

様子を見守る行列の人達。

そして現れる

大吉の二文字。


僕は吠えた。

「大吉や!!大吉やこれ!!何をしてんねんさっきから!!大吉が何か問題あんのか!!大吉が法に触れんのか!!」


ブチギレ大吉おじさん降臨。

イライラがピークに達してめちゃくちゃ吠えてしまった。

周りは異様な空気に包まれている。

犯人らしき男が突如大吉大吉と叫んでいる。

どっからどう見ても本人大凶っぽいのに。

警官2人はブチギレ大吉おじさんをなだめる。

「ごめんなさいね。もう大丈夫ですので」

ブチギレ大吉おじさんは止まらない。

「疑う根拠は何や!!」

「こっちが改札出るなり寄ってきて!!改札から出てくる犯人なんかおらんやろ!!」


たぶんいる。

改札から出てくる犯人はたぶんいる。

僕は最後に謎理論をぶちまけた。

周り一帯が不思議な空気に包まれた。


そして僕はその場を後にし、映画館に向かった。

何とか映画館にはギリギリ間に合った。

以上が人生初の職質の一部始終である。

今書いてみて思う。

どう考えてもキレすぎ。

行列に見られてる等シチュエーション的なものも相まってどんどん加速してしまった。

キレるセリフ、大吉て。

意味わからん。

とにかく今後また職質されないようにしたいものである。

どうしたらいいか分からないが。

とりあえずオシャレして雰囲気変えたらいいんかなあ。。






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