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2017年J2第34節 名古屋グランパス対東京ヴェルディ レビュー「ガブリエル・シャビエルの活かし方」

2017年J2第34節、名古屋グランパス対東京ヴェルディ1969は4-1で名古屋グランパスが勝ちました。

名古屋グランパスは、4-4-2というフォーメーションで戦いました。試合中には、4-3-3というフォーメーションに見える時間帯もありましたが、守備時のフォーメーションが4-4-2だったので、4-4-2で話を進めたいと思います。

DFは右から、宮原、櫛引、ワシントン、和泉。MFは右から、青木、小林、田口、ガブリエル・シャビエル。FWは玉田と佐藤でした。

最近の試合を観ていて気になっていたのは、ガブリエル・シャビエルのプレーでした。

ガブリエル・シャビエルのプレーで気になっていた点

ボールを持っている時のプレーは素晴らしく、守備時のボールを奪う能力にも長けており、足も速い。素晴らしい選手なのですが、プレーを観ていて、気になる点が全く無いわけではありませんでした。

ガブリエル・シャビエルのプレーで気になっていたのが、攻撃の時にボールを受けようとするときに、自分のポジションを離れて、ボールを受けようとする事です。加入当初は、右サイドで起用されていたのですが、本人もコンディションが整ってないこともあり、右サイドから離れる事はあまりありませんでした。

しかし、コンディションが整ってくると、ガブリエル・シャビエルは、ボールを受けようとして、中央や左サイドに動く事が増えました。ボールを受けようとするがあまり、味方DFの近くでボールを受ける回数も増えました。相手チームにとっては、ガブリエル・シャビエルが相手ゴール付近でボールを持たれるのが一番怖いのですが、結果的にコンディションが整ってくると、徐々に相手にとって「怖くない」事をしていたのです。

また、ガブリエル・シャビエルが自分のポジションを空けてプレーするということは、守備の時にガブリエル・シャビエルが空けた場所が空いているという事を意味します。ガブリエル・シャビエル自身は奪われたボールをすぐに奪い返すプレーや、1対1の守備は上手いのですが、戻るべきポジションに戻るのは速い選手ではありません。たまに歩いている事もあります。したがって、ガブリエル・シャビエルは名古屋グランパスの武器でもありますが、少しずつ「弱点」となる場面も出始めていました。

ガブリエル・シャビエルを活かすために選手の役割を調整

この問題を解決するために、名古屋グランパスが採用したのは、玉田を起用することでした。

玉田がガブリエル・シャビエルの代わりに味方DFの近くでボールを受け、相手に奪われずに運んでくれるので、ガブリエル・シャビエルが味方DFの近くまで下がって、ボールを受ける回数が減りました。また、ガブリエル・シャビエルが自分のポジションを空けた後にボールを奪われた時は、佐藤や玉田が動いて、カバーしていました。ガブリエル・シャビエルという選手の能力を活かすために、他の選手の役割を少し調整したのです。

玉田は中3日で試合に臨んだので、後半に入ってからは動きが止まってしまいましたが、与えられた役割をきちんとこなしていたのは、さすがでした。

玉田が疲れて動けなくなり、2-1とされた後に、名古屋グランパスは玉田に代わって、秋山を入れます。秋山を左MFに入れて、ガブリエル・シャビエルをFWにします。この交代によって、ガブリエル・シャビエルが攻撃に専念出来るようになっただけでなく、空けたスペースから攻撃される事がなくなりました。この交代によって、東京ヴェルディの攻撃を止め、再び名古屋グランパスの攻撃の時間を増やす事に成功しました。

秋山の起用から感じられる昇格にかけr想い

試合前日に、早稲田大の試合に出た秋山の2日連続の起用については、怪我のリスクもありますし、秋山をベンチに入れるという事は、試合に向けて練習してきた他の選手を1人ベンチから外すという事を意味します。結果が出なかったら、他の選手から不満が出ても不思議ではありません。

秋山の起用からは、名古屋グランパスの昇格にかける執念を感じます。やれる事は、すべてやる。シーズン途中の選手の入れ替え、そして、この秋山の起用は、フロントスタッフの強いバックアップが感じられますし、批判覚悟で起用する監督、そして、結果を残してみせる秋山のプレーが、チームの不協和音を封じ込めています。

フェリペ・ガルシアの献身的な姿勢は強いチームに必要不可欠

そして、チームの雰囲気が悪くないと感じたのは、DaznのTwitterに映っていた試合後のベンチの映像です。印象に残っていたのは、フェリペ・ガルシアや押谷の振る舞いです。この試合に出場機会がなかった選手が、勝ったことを素直に喜び、笑顔を浮かべてハイタッチするシーンからは、チームの雰囲気が悪くないという事が感じられました。


特にフェリペ・ガルシアの振る舞いは素晴らしかったです。外国籍選手で試合に出られずにふてくされ、チームの雰囲気を乱すような振る舞いをするのを、何度も見聞きしていました。

しかし、フェリペ・ガルシアは違います。試合に出れば、全力でチームのために与えられた役割を全力で取り組み、チームの勝利を素直に喜べる。フェリペ・ガルシアのおかけで勝ったという試合は多くありませんが、彼のような選手が、強いチームには必要不可欠です。

この試合でワシントンが素晴らしいプレーを披露したので、シモビッチが出場停止から戻ってきたら、フェリペ・ガルシアの出場機会は減るかもしれません。しかし、フェリペ・ガルシアのような選手には、監督もチャンスを与えたいと思うはずですし、チャンスをものにして、チームを救うのは、フェリペ・ガルシアのような選手です。

名古屋グランパスには、幸いにも、フェリペ・ガルシア、押谷のように、チームのために献身的にプレー出来る選手がいます。ガブリエル・シャビエルのような選手が活きるのは、代わりにチームのために献身的にプレー出来る選手がいるからです。

なりふり構わず勝ち点を奪えるか

この試合では、玉田と佐藤がチームのために、献身的なプレーを披露してくれました。出番がなかなかなく、苦しい時期を過ごした武田、櫛引、ワシントンといった選手が素晴らしいプレーを披露しました。

ただ、まだ自動昇格圏内の2位との勝ち点差は6。プレーオフ圏外との勝ち点差は、3しかありません。

残り8試合。しびれるような状況は変わりませんし、この試合は東京ヴェルディが名古屋グランパスの強みを消すというよりは、自分たちの強みを活かす戦い方を仕掛けてきてくれたからよい結果が得られたという点は、無視出来ないと思います。次節のFC岐阜は名古屋グランパスの強みを消すような戦いを仕掛けてくるとは思えませんが、FC岐阜の後に待ち受けているレノファ山口FCは、残留争いをしているため、なりふり構わず勝ち点を奪おうとしてくるはずです。

なりふり構わずに、勝ち点を積み重ねるために必要なことを、チームは学んだのか。それは、次の試合で試されます。

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