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2019年11月、浪江取材/フレコン仮置場〜毘沙門天〜スクリーニング場

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<続き>

加倉大橋の前を抜け、県道257号を目指す。

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この家は帰還している。

犬に吠えられた。地べたに這って過ごす犬は、どれだけ被曝するだろう。たとえ除染してあったとしても、今もまだ放射性物質は原発から漏れ続けているのだから。犬の寿命は15年前後で、被曝の影響が出るまでに死んでしまうから関係ないというが…

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鉄塔。実は鉄塔好きだったりする。

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除染土壌等運搬車。放射性廃棄物運搬車だ。汚染土壌をたくさん積んだトラックが土埃を上げて走り抜けるときは、なるべくマスクをするようにしている。

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県道257号、加倉橋近くで1マイクロを超える。この辺りは高い。震災前の25倍だが、慣れてしまって驚かない自分がいる。

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綺麗な花壇を作ろうとも、高いものは高い。何気に向こうにフレコン置き場が見える。

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請戸川。澄んでいた水は濁り、川沿いの草木は枯れてしまった。18年10月に訪れた時と比較して、その変わりようにとても切なくなった。しかし浪江は福島県内では被害は少なかった方だ。南相馬では土石流が発生し、1人亡くなっている(しかし全国ニュースではほとんど流れない)。

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台風の傷跡が生々しいが、その先にはもっとおぞましい黒と緑の塊がある。

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なんともやりきれない。

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加倉橋を渡り、土手を歩いてフレコン置き場の前へ。

2つの分かれ道。どちらへ行っても先は帰還困難区域。フレコンバッグの先はどちらも地獄。このフレコン置き場の周辺もいつかよく探索してみたい。

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この場所も線量高め。

よく勘違いされるが、これはフレコンバッグから放射線が出ているからではない。むしろフレコン置き場の中は、働く作業員のために徹底的に除染がなされ、フレコンそのものも汚染されてない土によってしっかりと遮蔽がなされ、線量は低めに抑えられている。しかし置き場の周辺は別だ。

よく「原発構内の線量が下がって安全!」と芸能人や政治家が発信するが、しっかりと管理がされた原発構内よりその周辺の方がヤバいのと理屈は同じだ。働く者は守られても、住む人は守られない。それが双葉郡だ。

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フレコン置き場を抜け、加倉スクリーニング場に向かう道すがら、毘沙門天を見つけた。

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寺社仏閣マニアとしては当然のように進む。

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虚空蔵菩薩。その隣には二十三夜尊がある。二十三夜とは、「十三夜・十五夜・十七夜・十九夜など特定の月齢の夜に、人々が集まって月が出るのを待ち、供物を供えて飲食を共にする民間行事」とのこと。ここに定期的に人が集まっていたのだろうか。

https://www.city.ishioka.lg.jp/page/page001455.html

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社自体は補修がされた様子がうかがえる。

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…奥にも何かあることに気付いた。

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八幡神社だった。ここも改修工事が行われたようだ。ちなみに上の毘沙門天も八幡神社も地図には載ってない。

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手を合わせて祈りながら、かつてここに住んでいた人のことを考えた。

寺社仏閣は、放置されているところもあるが、避難指示解除前から地元有志で改修、改築されている場所も多い。それだけ、その土地に根付いているのだと思う。

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雑木林。ここでハッと手元を見た。

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一時は毎時1.63μSvまで上がった。探せばもっと高いところもあるだろう。

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雑木林の向こうには、おぞましいフレコン置き場が見えた。

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まさに黒光りしている。

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引き返すことにした。人の住まない家屋の脇を歩く。かつてここに住んでいた人たちは、今どこでどうしているだろうか。原発推進にしろ、原発事故の影響を過小評価したがる人にしろ、彼らに共通しているのは、人を数字としか見てないことだ。

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このアパートには除染作業員などが住むのだろうか。モニタリングポストを毎日見ながら。

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モニポが0.262でも、少し離れたこの場所は0.6だ。

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加倉スクリーニング場。この辺りだけは空間線量が低い。

帰還困難区域への入域では、事前に申請書を出して、スクリーニング場を経由する必要がある。公益目的での入域の場合、自ら防護装備を用意するが、そうでない場合はスクリーニング場で支給される。大掛かりなタイベックではなく、半透明の雨合羽のようなものだ。使い捨てのマスクをし、頭にはシャンプーハットを被り、ゴム手袋をはめ、靴もビニールで覆って保護する。その目的は、放射性物質を外へ持ち出さないこと。なので、出る際はスクリーニング場で防護服を捨て、靴裏や車のタイヤのスクリーニングが行われる。17年11月に双葉町に入域した際に実際にそういった行程を経ているので、どういった防護服が提供され、どのような形でスクリーニングが行われるかといった実情を僕は知っている。

テレビ等では今や防護服や線量計はタブーとなり、そのせいもあって帰還困難区域の入域に防護服がいらないとか、線量は下がって防犯目的のために帰還困難区域があるとか、無知な人間がデマを垂れ流しそれが拡散され、防護服姿で入域する避難者がメディアに出るだけで酷い誹謗中傷を受けたりしている。こんな理不尽なことは絶対に許してはならない。

この後、高台を上り北上ノ原方面へ向かった。

<続く>


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