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突然決めた。休学する! オーストラリアに行こう!(1)

普通の公立大学に通う ありきたりな人間が
2年生が終わった 春休みに
突然思いたつ。 
そうだ!オーストラリアに行こう!

公立大学は休学中は学費を払わなくていい!と
どこからか聞いてきた私は 急に 
このまま普通に大学生活を送っていたら なんかもったいなんじゃない?
私!ハタチになったし!
旅に出たい!

思ったとたんに 大学に休学届を出しに行っていた。
(四年大学だから あと2年残っている)

そもそも 旅に出る!って あんた
飛行機に乗るにも 宿に泊まるにも 必要なのは金!
金、持ってるの?

決めたその日から 旅の資金を貯めるために バイトを始める。
朝から深夜まで働いた。
身体に鞭を打って
とにかく もう 必死で働いた

半年かけて目標金額に到達した。
旅することだけを夢見て 延々と働いた私は
オーストリアに行けると決まった瞬間に
ゴールを決めたマラソン選手のような気分だった。
まだ旅の 何も始まってやしないのに。

旅はケアンズから始まる。

現地で買った絵ハガキより

反時計回りに一周する計画だ。

オーストラリアは比較的安全で 
女の子の一人旅もさして珍しいことではない。
世界各地から集まった旅人が
バックパックを背負って オーストラリアを旅しているのだから
その潮流に乗ってさえすれば 
あとはフローティングしていくだけの旅なのだ。
生まれて初めての バックパッカーとして旅をする地としては
かなり適切な国だった。

オーストラリアを旅するのは
時計回り、あるいは 反時計回りの 二択しかない。
なぜなら 海岸沿いにしか 街がないからだ。
(内陸へ足を踏み入れるのは ウルルを目指す時だけ)
旅人は 電車長距離バス あるいは自家用車
をチョイスして ラウンドすることになる。

私は長距離バスを選ぶ。
マイルパスというシステムがあり
最初に大まかな 必要分の距離をまとめて購入すると
その都度 チケットを購入するよりも割安になる。
私は 迷わず 一周分の距離を 購入する。
金ならある! (バン!)の心境だ。
(最終的にはそのマイルを余らせることになる・・・)

バスの旅は快適だった。
日本人の女の子が一人座るシートは
自分よりはるか大きな平均体形のオージー用にできてるのだから
ゆったりと座ることができたし
たまたま隣がいない時には ふたつのシートで
横になってぐっすると寝ることができた。
バスセンターに予約を入れる時に
窓際プリーズ!とか 言っておくと だいたい希望を聞いてくれたし
席の割り当ても、 隣に座るのは女の子
という具合に バスセンターが気配りしてくれたおかげかもしれない。

流れとして やっぱり ウルル(エアーズロック)にはいかなくちゃ!
内陸の地 アリススプリングスを目指して バスの旅は続く。

アリススプリングスは ウルルへの旅の拠点となる街
その街の中にたくさんのツアー会社があり
ツアー会社をはしごしながら 気に入ったウルルのツアーを予約するのだ。
滞在する期間や ホテルかテントか などを選ぶことができる。

日本人がいないのね・・・・心細い。

始まった1週間のツアー
蓋を開けてみると 日本人が自分ひとり
ガイドさんの解説も 全部英語
まぁね、旅を始めたばかりだから 
当たり前だけれど ちんぷんかんぷん(笑)
解らないなりに 溶け込む努力をしていたせいか
それとも小さな迷子ちゃんがひとりで 心細そうにしていたからか
周りのメンバーは みんな 優しく接してくれた。
私が独りぼっちにならないように
一緒に歩いてくれたり オヤツをくれたり。
(完全に周りの人たちが保護者役)

マウント・オルガ 風の谷。 熱射病になるかというほどの危険な暑さ!
内陸は蠅がすごい!蠅ネットがないと目や鼻に蠅が容赦なく入ってくる。
せっかくのウルルに登る日は朝から雨。
登るのは滑るので中止、雨の中 ウルルの周りを散策する。
しかし今から思えば あの聖なるウルルに足を乗せ登ることをしなかったのは
大正解だった。先住民族に対する冒とくにあたるからだ。
美しいウルルにかかる虹も見れた。咲き乱れるワイルドフラワー
雨上がりのキャンプエリア。
常設テントがあり、観光客たちは何も必要なく泊まるだけ。
快適!

内陸の中継地点 アリススプリングスを出たあとは
西海岸に向かって進むことに。
ブルームという西海岸の一番上の方にある街に着く途中には
あの有名な 「星の王子様」に出てくる
バオバブの木が 乱立している場所を通る。
バオバブは オーストラリアの一部とアフリカの一部にしか生息しない
極めて珍しい木。 神様が(あるいは悪魔が)巨木を引っこ抜いて 
上下逆にして 地面にそのまま ぶっ刺したようなシルエットをしている。

出典wikipedia

ブルームまでの道のりは ただ広い草原だけ。
都市部がないため 次の街まで ほとんど丸一日 バスに乗ってるような
かなり長い 行程。

真夜中に ふと バスが止まった 違和感で目が覚めた
しばらく留まるような場所がないような道程なのに。

おかしいなと思って カーテンをそっと持ち上げて 窓の外を覗いてみた。
少しばかり白んできた 紫色の空の下 奇抜な巨木
ボンボン!と こちらにも あちらにも 彼方にも 見えた。

あ、これが バオバブの木
(突然現れた巨木の存在感に圧倒された)
私がずっと 憧れていた あの木だ!!!それが ボン ボン! と。

巨木の下に アボリジ二の家族 とおぼしき人たちが バスの方を見て 立っていた。
私の後ろの方から ごそごそと 物音がする。
その家族と思えるアボリジニ(オーストラリアの先住民族)が
荷物を降ろして 前方に歩いて 降車していった。

あぁ。この ただっぴろい 遥か彼方まで 見渡せる
人工物などまるでない この地が
彼らのテリトリーなんだと 気が付いた。
そしてその大きなバオバブの木に空いた空洞が 彼らの家だということも。

それだけで 私が今まで見てきた 
街の道端で 朝から飲んだくれているアボリジニの姿は
実は本当のアボリジ二じゃなかったのかと 衝撃を受けた。

(オーストラリア政府が彼らに補助金を出しているため、そのお金を
アルコールに換えてしまうアボリジニも多いのだ。)

5万年とも 10万年ともいわれる太古から 変わらぬ暮らしを 今もなお続けているアボリジ二が
本当に 砂漠の真ん中にはいたんだ!!!!

私には 見えないものを見て 感じえないものを 感じて
違う思考回路で 違う世界を 
同じ地球で 生きている

その後も いろいろな景気を見て 沢山の場所を旅してきたけれど
あの 夜と朝の間の 紫色に包まれた バオバブが シルエットのように浮かび上がった 草原の景色は
今もなお 忘れることができない 大切な瞬間だ。

見渡す限り遮るものがない ノーザンテリトリー
アボリジニの場所。

ブルームに着いた私は バスを降りることにする。
(つづく)
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