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インテリアは◯◯と◯◯を揃えるとお洒落になる〜週末にはじめた小商いカフェの記録③〜

小商いの実験として始めたカフェの試行錯誤をシェアしていきます。今回は店の「空間づくり」について書き綴ります。

①空間へ置くモノにルールを決める

僕はいわゆる「センスのいい部屋」というものがどうやったら出来上がるのか全くわからない人間で、自分の部屋でさえ自信がありませんでした。DIYが進み壁などが出来上がっていきながらも、家具の選び方など空間づくりについてはずっと不安なままでした。
そんな中、あるインテリアコーディネーターの方にもらった一言アドバイスによって希望の光が差し込んできました。それは、

「時代とか素材を揃えるといいよ」

というもの。シンプルですが僕にはそんな基本ですら目からウロコ。揃えるのは色だけじゃなかったんですね!
「じゃあ僕はどんな時代・どんな素材に揃えようか」と思っていたところに、たまたま旅行で訪れた漆工場で、漆の樽を譲ってもらうことが出来ました。

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(↑今は使われていない漆工場)

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このユーズド感のある漆の樽が6つ。
せっかくのご縁なので、これを中心のアイテムとして空間すべてを考えていくことにしました。この樽の持つ要素は、

素材:木、鉄、紐
年代:2〜30年モノの古材
色 :茶
地域:日本(樽は中国製のようですが)

です。大体これで空間の方向性が決まったようなもんです。これに、もともとの長屋としてあった素材などを加えていって、空間に配置するモノのルールを設定します。

①古材、鉄、コンクリート、ガラスなどの「素材」そのままを使う
②色は、茶、黒、白、グレーで揃える
③日本にある2〜30年使い込まれたものを並べていく

こうやって決めてから置くものを揃えていくと、あれよあれよと空間がキマっていくではありませんか。驚きです。
僕の場合は「古いもの」という縛りをつけたので、オークションを使って骨董モノを落札して棚などにするアイテムを揃えていきました。
僕がよく使っていたのは広島にある古物商「Tugboat」さんです。すべて1,000円からスタートと安く、活用例が豊富なのでトタン板を看板に使うなど意外な活用法のアイデアももらえます。

結果、もともと長屋の倉庫↓だった空間が・・・

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改修後にこうなります↓
(360℃カメラを使用しているので全方位見れます)

シンプルですが、自分の部屋すらダサかった素人にしてはけっこう良い空間にできたのではないでしょうか。細かいポイントをいくつか挙げると

・プラスチックは絶対に置かない
・西洋のもの、アジアンテイストなものも置かない
・木材は新しいまま使用せず、ブライワックスでエイジング加工をした
・エアコンは新しすぎて異質だったのでマット黒スプレーで塗った
 (と同時にメーカー保証も多分適応外になった。笑)
・換気扇もテカる黒だったので、マット黒スプレーでつや消しにした
・黒縁のガラス戸は本当は鉄枠で作りたかったけど高かったので、木枠を「アイアン塗料」というもので塗り鉄感を出した
・壁は全部白だと単調になるので、一部「モルタル塗料」を使いコンクリートのような見た目にした
・ハイチェアーは古い木×鉄のものが世に出てなかったので、ガス管と古材を組み合わせて自分で作った
・木琴や黒板など、使い込まれた懐かしい素材を壁に打ち付けた
・直線ばかりだったので、木の弦を壁に掛けるなど曲線も取り入れた
・素材や色を限定しすぎて無機質だったので最後に植物を飾って緑を足した

このような所がこだわったことです。
基本的には最初に決めたルール通りに作っただけですが、細部に至るまでルールを徹底したことで空間が引き締まったのかなと思います。
例えば換気扇はもともと黒だったのですが、プラスチックなのでテカりがありました。そのプラスチックの換気扇が一つあるだけで一気に空間がダサくなったのを感じ、わざわざ取り外してマット黒スプレーでプラスチック感を消すなど、ルールを最後まで守りきりました。


②絶景ビュースポットを決める

もう一つ考えていたのが「うちの店で一番良い席ってどこだろう?」ということです。見晴らしの良い立地ではありませんし、長屋ではありますがそんなに趣があるわけではありません。キッチンで派手なパフォーマンスをするわけでもありませんし、座席が広々としている訳でもない・・・。

でもうちの店の前の道が、素朴なんですがとても良い通りなんです。
車通りの少ない道で近くにある山阪神社の参道なので、家族連れが通り過ぎていったり、買い物帰りのスーパーの袋を持った方が通ったり、自転車で子どもがはしゃぎながら駆け抜けていったりと、何気ない「日常」が通り過ぎていきます。

うちの店の中で一番良い席は、この道を眺めることの出来る席だ。
そう感じて道側の側面は大きなガラス張りにし、窓辺から道を眺めることの出来る席をつくりました。春と秋は窓を開け放つのですが、一歩先の日常にほのぼのしながら過ごせる最高に気持ち良い席ができました。

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(ちなみに、カレー皿はあえてルールを外してターコイズブルーに。空間に異質な色となり存在が際立ちます)

後から教えていただいたのですが、もともと田辺という地域は住吉大社の神事で使われる白馬の飼育を担当する「舎人(とねり)」がおり、昭和初期までこの道を毎日神馬が通っていたそうです。
数十年前はここを神馬が通っていた、なんてことを感じながら前の道を眺める時間はまた格別です。

店で過ごす時間を特別な時間にしてほしいと想い絶景ビュースポットを考えていましたが、今この場所に絶景が無くとも、歴史や文化といった無形の財産によって絶景が生まれることもあるのもしれないですね。

なんて、良さげなことを最後に言って終わりたいと思います。
以上、小商い記録、空間づくり編でした。


<まとめ>
①イケてる空間をつくるためには、素材・年代・色・地域といったものを揃え、そのルールを細部まで徹底すること(レコードやスポーツなど趣味をポイントにして空間づくりしても良い)

②その空間がもともと持つポテンシャルを見つけて、最も良い席「絶景ビュースポット」をつくる


実験店舗:nimo alcamo
webサイト:http://nimoalcamo.com/


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