大学生になったムスメ。最初の1週間。
入寮して最初の1週間は "Discovery Week" と称して、生徒たちが新しい環境に溶け込み落ち着けるようなイベントがたくさんある。各寮での集まりや、各種オリエンテーション、クラブ勧誘等々。
このご時世の若者だよなぁと思うのだが、早速いわゆる Dating Apps にいくつも登録したムスメ。ちなみに、ムスコとKatyaも実は、Covid の Lockdownが明けた頃 Bumble というサイトで知り合ったのである。
Tinder がよく知られているが、Bumble, Hinge, Hily といくつもあるらしい。ターゲットの年齢層も違うのだろう。
で。ムスメが早速その三つに登録した。あれよあれよという勢いで matching。
"Mom, I never had this much male attention in my life!"
と騒いでいる。
さて。50 miles (80km) 圏内と指定したもんだから、ミシガン州の彼とも matching。電車で1時間半だとか。ハイキングが趣味の一つで、山の頂上に立って遠くの景色を眺めている後ろ姿の写真がプロフィールの一つにあった。
電話で話していた最中に。
"I was looking for you." というメッセージが来て、「きゃー、ママ!なんて返事すればいい?」というので、
うーんと考えて。
"How can you see me all the way from Michigan?"
と提案したら、ムスメ大満足。
そしたら、なんと。
"That's why I am standing high up on top."
きゃー、この言葉のセンスの良さ!
ムスメと二人で、キャーキャーと騒ぐ。
同時に、同じキャンパスの Brendan とも話し始める。こっちはすぐそこにいる。加えて、どうもムスメは職業訓練校の男子にとりわけ好かれるらしいことがわかってきた。
が。その翌日のこと。朝起きたら、Mom OMG で始まったテキストが入っていた。
この彼 Receとは別の機会にすでに会っていて、どういうcontextか忘れたが、ムスメに向かって "Are you anemic(貧血症)?" と聞いたとかで、その時の彼女は憤然としていたが、きっと彼は nervous だったから変なことを口走ったのだろうと、彼を知り始めたムスメは言う。
"Spectrumey"というのはムスメの造語。"Spectrum(発達障害)"からきている。つまり ADHD とか Asperger に見られるような high functioning だけれど、ちょっと発達障害なカテゴリに入るような要素が入った「ちょっと変わり者、ズレてる系」という意味。恋人や夫にするのならちょっとスペクトラム入ってる方が一緒にいて楽しいし幸せになれるというのが彼女の信念で、あたたかい愛情を込めた褒め言葉として使っている。
テキサス出身。専攻はNutritional Bio Chemistry。うーん、賢いかも。
Movie Nightの会場で待ち合わせ。お互いが見つからず、テキストし合う。
"Are you there? Where are you?"
"I am on the right side."
"I am on the left. Do you want me to join you?" とRece。
"Yeah, why not?" とムスメ。
きゃー、きゃー、きゃー。
映画の間中、Michaelaを含めた三人でしゃべって、夜11時に終わって遅くなったからと、寮まで送ってくれたというわけ。
ドアを開けて、"Have a good night, Ladies."
もちろん、中に入れてくれ、とは言わない。酔っ払っていたりすると、そうやってキャンパス・レイプになることがある。
こんなに自然に当たり前みたいに親切な人に会ったことない、というムスメ。わかる。わかるよ。でもそれが普通。そうあるべきなんだよ。
24年前。タクシーが来ると、某氏は必ず先に後部座席に乗り込んだ。女性を先に乗せるのが正しいみたいだけれど、そうじゃない。私が先に乗ったら、お尻をずるずると引きずって反対側まで進まなきゃいけない。そういうみっともないことを女性にはさせないのが紳士というもの。車が通る道路側から女性を乗せない、降ろさない、というのもルール。彼のそういうところは、ピカイチだった。
独立心旺盛で、なんでも一人でできる私だからこそ、そういうのにガツンとヤラレてしまう。そんなことしてもらう必要ないっ!とは決してならないことに、彼はあの頃から気づいていた。
さてさて。モテモテのムスメの行く末は。
(続)
ただただ好きで書いています。書いてお金をもらうようになったら、純粋に好きで書くのとは違ってくるのでしょうか。