私のような料理好きがダイエットする時。
私は54歳である。小さい頃若い頃からずーっと太ったことなどなかった。みんなが驚くほど食べても太らなくて、感謝祭で誰よりも長く食べ続ける私を驚異の目で見守るデブっちょの義理母妹たちは、太ももに二つ目の胃袋があるに違いないと信じていた。だらだらぐーたらした性格ではないので、くるくる動く。34歳の時にムスコ、38歳の時にムスメを出産。出産後は20代の体重から5-6キロ増のあたりをウロウロ。
お酒はあまり飲めない。外でワインを2グラス分飲んだらちょっと大変なことになるので、家で飲む。太った〜太った〜という私の年代の友達は、口を揃えてアルコールが主因だと言い、会うたびに、酒の量を減らさねばと呟いている。コロナで、皆、お酒の消費量が断然増えた。リサイクル集荷の日に散歩に出ると、各家の前に出ているゴミ箱はビール缶やワインボトルがわんさとはみでんばかり。私はというと、あ〜んまり変わらない。
2019年春に家族でイタリアに旅行した。その時の写真を見た父が、裏返った声で、言ったらしい。
「一体、どうしたんだ、アイツは。」
この容赦ないコメント.......。太ったんです。そう、太ったんですっ!20代の体重から12キロ増になっていた。5キロくらいならば年相応というか、40代が20代の体重のままいられるわけないしね、ということでケリがつくが、いくら52歳(当時)といっても12キロ増は、だめだめ、ですってば。
というわけで、散々バカにしていたカロリー計算をしてダイエットした。もう写真であんな自分の姿は見たくない。せっせと運動して、My Fitness Palというアプリを使って生まれて初めてのカロリー計算。6ヶ月かけて15 lb(=7キロ弱)減を見事に達成。
一度でもカロリー計算をやってみると、パン、ご飯、パスタなどの単純炭水化物がいかに高カロリーかがわかる。痩せるためには一日1500 calしか摂れないのに、えっ、ご飯一膳で200 cal?! パスタは60gで200 cal.....。えっ、食パン8枚切り1枚が123 cal、6枚切りは158 cal。キューピーマヨネーズ。大さじ2で、189 cal!!! ふわふわで美味しい日本の食パンにマヨネーズぬったくって食べてた私。太って当然である。。
私はMFPで夕食食べた後に残ったカロリーが200 calを超えていれば、ビールとかワインとかカクテル缶を飲むけれど、せいぜいで週に一度。水泳の練習が夜9時に終わってまだ一人では運転できないムスメを迎えに行くから、飲酒運転するわけにはいかないのである。
このMFPの食品データベースが素晴らしい。食品のバーコードをスキャンすればすぐにカロリーはじめ栄養価がズバッと出てくる。自分で作った場合、全ての材料をタイプし、「レシピ」としてカロリー計算もできる。日本語でも検索できる。なすの煮浸しとか炊き込みご飯とか。
そして、朝食、昼食、夕食とスナックと水の記録を終えて"Complete"ボタンを押すと、「毎日、今日みたいに食べたら、5週間後には体重xoxになるよ」と出てくるのが、またいい。
減量に成功した後の2年間は1キロ前後で推移。そして、今年2月に夫が出て行った。彼は腹割れまくりの運動狂人だったから、食後にちょっとお菓子食べたいなーとか思っても、狂人の視線が気になって食べなかった。嫌味を言う人じゃないのだけれど、やっぱり体重には良くないことをしていることを必要以上に自覚させられるから、その「抑制効果」があったことは確か。
出て行ってからの半年間、私もムスメも食べたいものを食べた。あぁ、なんと幸せな楽しい半年間だったことよ。運動狂人に合わせた肉攻めの夕食と別れを告げ、日本の食パンや菓子パンを大量に買い込んで悪くなる前にと数日で食べ切ったり、お昼にラーメンや焼きそばを作り、食後はアイスクリーム。極細ポッキーやポテトチップス。そして、ある日ふと気づいた。
あれ?ちょっとウェストがきつい....?
......結局こういうことになる。あんなに食べ放題に食べて太らないわけがないのだ。というわけで、また一念発起。今度は3キロ減が目標である。
体重が増える時というのは、急に増えるのではない。体内の水分や測った時間帯により1キロ前後の差は当然ある。その「上限」にぶつかった後に、「下限」に戻ってくるか、それともその「上限」を脅かし挑戦し続け、さらに押し上げていくか。その上限が押し上げられていく過程で、ちょっと体が重くなった感じが出てきて、ウェストがキツくなる。これに目をつむって自分に嘘をついて何もしないと、あぁぁっという間に5キロ10キロと増えて、洋服のサイズが一つ上になる。日本はXS, S, M, Lだけど、アメリカはXXSからXXXLまで、00から始まって、 0 ,2, 4, 6, 8, 10, 12.....それ以上の数字は私には未知の世界。20代の時は0だったのが、2になり、今は4。正確には2と4の間。XSとSの間。私の体重で5キロ落とすのは結構難儀だから、そうなる前にさっさと「下限」のちょっと下まで落としてしまおうというわけである。
アメリカでは、重さにはkgではなくlbs(pounds、ポンド)を使う。なぜか、とは聞かないでくれ。アメリカの単位はバカバカしくてやってられない。これにまつわる苦悩と怒りは、またの機会に書く。
1 lb = 450g = 0.45kg なので、暗算の時は半分にしたり2倍にしたりするが、計算機があれば0.45を掛けたり0.45で割ったりする。アメリカに住んで25年以上になると、円ドル換算とか摂氏華氏と同じように、5キロというとそんなでもない気がするが、10 lbsとなるとギョッとする。正確には5kg = 11 lbs 4.5g = 10 lbs。私が減らそうとしているのは5 lbs = 2.25 kg。
さて、ここから本題。
料理好きな私がダイエットをする、となると、食べたいものが食べられない、今まで作ってたものが作れない、という苦痛が始まると普通は思う。ところが、チャレンジ精神旺盛で工夫好きな私は今この「制約」を結構楽しんでいる。出来合いを買ってくると、一体何が入ってるのか凄まじいカロリーなので、普段から自分で作っているのにさらに拍車がかかる。カロリー考えるから自然と外食も減る。でも美味しいものが食べたいのは変わらないし、自分で美味しいものが作れるから自分で作る。自分の頭と料理の腕で「コントロール」している感がある。
ナスの揚げ浸しの代わりに煮浸し。白米を減らしてquinoaやfarroを導入する。油を使って焼くのではなくオーブンでroastする。目玉焼きではなくゆで卵。マヨネーズは極力避けて、タバスコのようなチリソース系とハーブ塩や白だしを駆使する。ブロッコリはマヨネーズつけずに、メインディッシュの味付けに小判鮫して食べる。野菜は繊維質だからお腹いっぱいになるが、すぐにお腹が減る。満腹感を得るには肉や魚のタンパク質と、ヘルシーな脂肪分を取ることが必須。それをヨーグルトやアボガド、ナッツ類で達成する。でもナッツは高カロリーだから、気をつけて。
食後に甘いものが食べたくなる私は、ノンシュガーの飴を用意しておく。グミのビタミン剤も便利。そして、一日中水を飲む。とにかく水とお茶を飲む。
おかずの数が多くなると、食事の満足感が増す。少し多めに作って残るようにし、翌日その残りと新しく作ったものを合わせて皿数を増やす。野菜の塩揉みを作りおきに、カリフラワをピクルスにして、箸休めの品を常備しておくのもいい。果物も必ず。りんご、ぶどう、パイナップル、なんでもいい。
冷蔵庫にどの残り物が入ってるかを書き出しておき、たまに冷凍庫の中の在庫も調べる。冷凍してあったチキンカツの残りに、トマトソースを塗り、Mozzarella cheeseをのせてトースターで焼き、ペストソースで和えたクルクル螺旋状のパスタを添えて娘に出したら、大好評だった。これでチキンカツを多めに作って冷凍しておけば、私はカツ丼、ムスメにはコレを食べさせればいい。
月曜はタイのPenangカレーを作ったが、ココナッツミルクを使った凄まじい高カロリー食なので、肉の代わりにエビを使い、ジャスミンライスを半分にして、白魚を小麦粉もパン粉もつけずに最小限のアボカド油で素焼き。カレーをかけて食べたらバッチリ。ちょっと辛いので、カリフラワーのピクルスとパイナップルで口の中を中和。
水曜は、前日に作った炊き込みご飯(鮭缶、油あげ、干し椎茸、人参、蓮根)の残りに、先週作って残りを冷凍しておいた豚ひき肉入りエビ団子のスープにほうれん草と白菜と中国野菜(yu choy)をたっぷり入れ、週末に作ったナスの煮浸しの残りを冷やしたのを食べた。あ、オクラも。
キャベツ、大根、人参、きゅうり、ラディッシュをスライスして塩揉みを作りながら、タイカレーに入れたCilantroが余っていたのをふと思い出して追加。風味がキリッと変わる。今度はレモンかライムのスライスを入れてみようかしらん。
今日は娘のリクエストで、私の絶品ミートソース。牛肉1に対して、豚肉とイタリアンソーセージ(粗挽き風のソーセージの中身を引っかきだす)を0.5ずつの比率で、私独特の「合い挽き肉」を使うのがコツ。2時間泳いで1500cal平気で燃焼するムスメはパスタ食べたい放題。私は、パスタを半分にして、また白身魚にミートソースをかけよう。
MFPを使ってカロリー計算を頭に入れたダイエットは、cooking challengeであり、料理好きにはモッテコイ。
ただただ好きで書いています。書いてお金をもらうようになったら、純粋に好きで書くのとは違ってくるのでしょうか。