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冷戦その後。消えゆくタマなしRyanとChristianとの可能性。

タマなし冷戦シリーズ(5回)はこちらから。

高校水泳遠征が3月初め。クラブ水泳遠征が3月末。その2週間後に春休み。その間、Ryanとは一切連絡を取っていない。

Ryan - ルックス9.5/総合8.0
Christian - ルックス8.5/総合9.5
Erik - ルックス7.0/総合9.0

ムスメによる格付けだが、3人の違いをこれ以上に明確には表現できないだろう。

春休みの週、四泊でムスメと大学訪問Road Tripに出た。各一日6時間、5時間、2時間、6時間運転して、三つの街へ行き四大学を訪問した。免許取り立てのムスメと交代して、彼女が1/3ほど運転してくれたし、その度にトイレにも行けたので楽だった。三食以外は、大学の説明会とキャンパスツアーに参加し、ホテルで彼女は宿題に追われ、私は一人で外出したり隣で読書したり次にどこで何を食べるかのリサーチをしたりして過ごした。

さて、車の中での20時間近い会話から、私が知ったこと。

タマなしRyanは、見た目がスーパーいいだけの中身のない男。目的に向かって突き走る原動力や情熱にも薄い。努力しなくても、学業も水泳も飛び抜けた成績を収めることができる。

私が、ムスコにもムスメにも、時折言っていることがある。

アンタ達は絶対に知的な会話ができない相手とは続かないよ。そして小説を読む人を見つけなさい。

Ryanとは知的に刺激される会話がまるでないという。Erikとも、ない。が、ErikとはBFGFにならないとわかっているし、脳ミソを使わない会話を楽しむ友達がいることは何も悪いことではないから、それでいい。

さて。ムスメとAlexとChristianは同じ世界史のクラスだが、授業である映画を見たという。

Alex: "Yo Akash! We watched a movie about your people."(Akash! 授業で、君の類の人々の映画を見たぞ)
Akash: "What is it?" 
Christian: "…Gandhi~~" (ガンジー)
Akash: "……..Fuck you guys."

両親がインド人で菜食主義者のAkashの反応は、もちろん冗談を冗談で返したものである。

冗談の質がいい。私はこういうチラリと教養が見えるタイプの冗談が大好きだ。知性ある連中は当たり前の常識知識の部分は口にせず、そこはわかってることを前提にして、その次のステップを冗談にする。チェスで二つ三つ先の手を予想して次の手を打つのと似ている。ただバカ騒ぎをして、駄洒落と下品なジョークを連発しているだけのRyan仲間の間でこういう笑いは成り立たない、とムスメは言う。

付き合う相手の幅が広がると、いろんな人の違いが見えてくる。だからこんな小さな街の近くの大学に行って、しょっちゅう家に帰ってくるのではなく、遠くの大学に行き、世界中の国々やアメリカ全国から集まってきた仲間と出会って、私見と知識を広げなきゃいけない。

1学年300人ちょっとの全国でもトップレベルのこの高校で、大した努力もせずに優秀な成績を維持できるRyanとは一体どういう男なのか。そして同じように優秀でそこそこイケるルックスのChristianやAlexとはどう違うのか。

Erikが仲間たちに"She likes Ryan."と言ったら、Christianはケッと嘲笑したらしいし、そもそもムスメがRyanとキスする仲だということをひっそり知っているErikは苦々しく思っている。

女子にワーワー騒がれるRyanは、それに自惚れてウホウホやるわけではないが、話しかけられた時に緊張して対応できない、というようなことにならず、自然に会話ができる。かわいそうに、悪魔な女子に弄ばれたChristianもそしてAlexも、当初はムスメが「なんか意味不明にぎこちないんだよ」とため息をつくほどだった。

Ryan is just pretty but empty shell… (Ryanなんて、ただの見た目がいいだけの空っぽの殻じゃないの。)
I know, but the shell is damn good pretty….(わかってるよぅ。でもその殻があまりにも美しくて….)

ムスメよ、早く目を覚ませ。

でも。もうRyanとのキス仲には終止符を打ったといえるだろう。怒られている理由がわからないまま、Ryanは春休みに突入したわけだが、もうすぐJr Promがあって、6月半ばまでは学校が続く。ムスメの助けなしにはRyanが及第できないスペイン語の授業も当然ある。

彼がよーくよーく考えたら、Jr Promに誘わなかったから彼女が怒ってるのかも?というところになんとかたどりつくかもしれないが、本当の理由はRyanにはまず分かるまい。春休みのあと1週間、スペイン語のクラスで話しかけられても冷ややかな目で見て一切口をきかないらしい。全然わけがわからないだろう。なんだか哀れになってきたぞ。これからムスメがどんどんChristianと近しくなっていったら、やっぱり俺はタマなしだったんだ、相変わらずまたそれで嫌われたんだ〜とでも思うのだろうか。

母がたてた卒業までの目標。ChristianとSr Promに行く。

「あ、それだけ先のことなら十分可能。9月に新学期あけてすぐHomecomingもあるし」

それまでに、一体Christianの問題点欠点は何か、を探る必要がある。

「絶対、何かあるはず」

欠点があるのは構わない。人間なら当然のこと。ただムスメが耐えられるような見逃せるような欠点なのか、ということだ。









ただただ好きで書いています。書いてお金をもらうようになったら、純粋に好きで書くのとは違ってくるのでしょうか。