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ひよこ&デンジャラーズ ~旅の始まり編~

三日連続で東京都の新型コロナ感染者は100名を越え、油断してはいけないというか、既に油断した結果がこれというか、でも出社しなければいけな状況が、まあ社会が悪いと言えばそうなような、まあ経営陣の怠慢と言ってしまえばそれまでなような。

まあ前職大嫌いマンとしてはあそこはさっさと潰れてしまえと思っているとかいないとか。

そんな情勢下、緊急事態宣言が解除されたとは言え、友人と会う機会はまだまだ少なく、世間ではいまだにオンライン飲み会が至る所で行われている。


僕も、流行りにのって前職の後輩たちや友人たちとやってみたが、アレはアレで面白さがあるものだと感心している(最後の方男が集まってキャッキャしてしまっただけなので今思うと気持ち悪いな)

ただ、僕とオンライン飲み会を頑なにやってくれない友人もいる。

理由としては『後ろに奥さんがいる状況でお前は俺の過去について言ってはならないことを確信犯的に言いそう』ということらしい。

それはその通りだ、もちろん言う。あますことなく言う。
むしろ人に言えないような生き方をしてきたお前が悪いと胸を張って言う。
そしてお前も僕の過去を赤裸々に語ればいいのだ、一向にかまわない。ドンと来いだ。
なぜなら僕には嫁も子供もいないのだから。言われたところで僕の背後で猫がニャーと鳴くくらいだ。かかってこい。

そんな、ずっと家にいて気も滅入るコロナ禍の在宅の中、四月だったか五月だったかと、ラーメン屋を営んでいた後輩が、その店の幕を降ろすことになった。
言っておくと、これは新型コロナの影響なんかでは決してなく、様々な事情と、そして彼の新たな成長のため、の閉店だ(そういうことらしい)

店の名前は『Only One Noodle 壱富士』と言い、テレビの企画であの彦摩呂も食べにきていた。
僕は録画してその番組を見たが彦摩呂はどの角度から見ても彦摩呂だったし、なんなら思ってた彦摩呂よりデカくないです!?くらいデカかったし、初めてのテレビに緊張したのか澄ました顔で喋っている後輩はかなりスベッていたと思う(お前はそんな奴じゃないだろいい加減にしろ)

そんな後輩の名前は『ひよこ』

もちろんあだ名だ。彼は大学の後輩で出会った時にはすでに『ひよこ』だったし、一応本名も知ってはいるが、もう十年以上本名なんか呼んだことがない(最初のサークルでの自己紹介も『ひよこです』だった)

コロナ禍の折、ひよこから電話があった。

『お店の片付け中で、在庫ももったいないのでラーメン買いませんか?』とのことだった。

『こいつ…』と思いつつもラーメンとつけ麺を2食ずつ頼み。ひよこの商魂逞しさに感心するとともに、なんとなく昔を思い出したので今回、ひよことの思い出を少し書いてみようと思った。

今でこそ、ちゃんと働き、真っ当な社会人みたいな顔をしているが、ひよこを知る人は皆、いかにひよこがダメ人間であったか知っている。

そもそも、じゃあ大人になってからのひよこがダメじゃないのかというと甚だ疑問ではあるし、フェス会場で泥酔して出禁寸前までいった人間がまともなはずはない。

それでも大学時代のひよこは輪をかけてダメ人間で、まず何がダメかというと、とにかく物を失くす。

財布、携帯電話、家の鍵、バイクの鍵、理性、自制心、羞恥心、ありとあらゆる物を失くす。

『いいからお前はお祓いに行くかウォレットチェーンを買うか財布の管理をしてくれる彼女を作れ』というリスナーからのお便りがたくさん寄せられた。
『現実的に考えて彼女を作るのは無理』という問題はさて置いてだ。

一度は僕の家に遊びに来ていた帰り、『お疲れっした!』と言って家を出ていった5秒後に『バイクの鍵がないっす!』と言って戻ってきた。

何で帰るつもりだったんだ。

僕の家にもあらゆるモノを忘れた。

財布、携帯電話、家の鍵、バイクの鍵、理性、自制心。
羞恥心だけはなんとか持って帰らせた。

大学時代の事、そんな後輩ひよこと、もう一人の後輩アンベ(通称フランスパン)と共に、サークルのOB兼アンベのお兄さんの結婚式に参加するために大分県に旅行?のようなものに行った時のことだ。

その旅は、出だしからもう油断の連続だった。

旅とはいえ、結婚式で行くのだから必要な荷物は多い。

スーツだって必要だしご祝儀袋などもろもろ必要だ。
僕はスーツを手荷物にし、私服で空港から後輩二人と旅立った。
ワークキャップにストライプの半袖シャツ、サルエルパンツに年中靴下を履きたくないためビーチサンダルといういで立ちだ。

中学時代から『写真を撮られると魂が抜ける』『飛行機なんて鉄の塊が空を飛ぶなんてありえない』と言い張っていた痛い人間だったので飛行機に乗るのにとても緊張していた僕は色々抜けていたのだと思う。

合流し、飛行機に乗り、そして離陸した僕にアンベが言うのだ。

『まさしさん、革靴は?』

なぜお前はそういうことを早く言わないんだ。

なぜ前日に親切にお荷物チェックの電話してこないんだ。

後輩とはなんのためにいると思っているのだ。

寝坊して夕方のような外の暗さに『寝坊した、バイト遅刻だと思って焦ってバイト先まで行ったら夕方じゃなくて朝でした』とかいう訳のわからない電話はしてくるのにこういう大事な時はしてこないのか。

殴るよ?

見て?ビーチサンダルだよ?

色々と言いたいことはあるが、あれこれ言っても仕方がない。

だってここは空の上。もうどうしようもない。

僕が大分に到着してまず買わなきゃいけないものが決まった。

とり天でもフグでも豊後牛でもなく、革靴だ。

そう、僕は大分に革靴を買いに行くのだ。

バカナノカナ

色々と諦めたまま大分に到着した。

これはあまり信じてもらえないのだが、大分の空港では荷物引取りターンテーブルに荷物と一緒にデカい寿司が回っている。

これは本当の話だ。
是非一度行ってみてもらいたい。

控えめに言って大分の人たちは頭がおかしいんだと思う。
病院に行くことをおススメしたい(個人の見解です)

そうこうしながら、空港まで迎えに来てくれていたOB先輩たちと合流した。OBとは言えとても仲良くしていただき、かつ僕が生意気な後輩だったため先輩たちも大変だったと思う。

しかもその当時、僕は気が狂ったようにオードリーの春日にハマっていたため、先輩たちの言葉に全てデカめの声で『トゥース!』と返事をしていた。

これではただのキ〇ガイだ。

本当に申し訳ございませんでした。

車でホテルに移動中に、サークルのOBの中でも重鎮である初代会長に革靴の件をおもしろ可笑しく話し、まあ一笑いとれたしいいかと思っている矢先、初代会長が笑いながら言ったのだ。

『遠方での結婚式あるあるだな!よくあるんだよなあ!革靴とかベルトとかさ!』

・・・。

・・・。

なぜ言ってくれなかったのか。

こうして、大分に到着し、革靴を、そしてベルトを買うことが決定した僕の二泊三日がようやく始まったのだ。

(ひよこの話ほとんどしてないけどあいつがやらかすのは後半なんですよね)

続きはいつかまた気が向いたときに。

トゥース!!!


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