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名もなき器もいいものよ

料理好きはたいてい、器にも凝りだす運命にある。私もそのうちの一人だ。せっかくおいしい料理を作ったのなら、テンションのあがる器に盛りたいではないか。

ただ、私は作家さんや窯元には詳しくない。使用頻度の高いスタメン食器たちを眺めてみると、大概が「名もなき器たち」だった。

例えばこの長方形の器は、閉店する小料理屋で買ったもの。散歩中にたまたま通りがかった小料理屋さんが「閉店するのに残してもしょうがないから」と、1枚数百円程度で器を売り出していたのだ。

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万願寺唐辛子や茄子など、長い野菜を盛りつけるのにちょうどいい。

サクで買ったお魚がちょうどすっぽり収まるサイズでもある。魚を並べて、薬味を散らしてポン酢などをかけて食べるときにもよく使う。

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あとは油揚げの料理や玉子焼きにも。意外と「長い」食べものって多いから、長方形の器は1枚あるとかなり便利だ。

正直トクベツときめいて買ったわけじゃない。お値段の手頃さも手伝って気軽に買ったのだけれど、使ううちに「あなたこんな料理にも合うのね?!」などの魅力に気付いてどんどん愛着が湧いてくる。

こちらの器もその小料理やさんで買ったもの。1枚500円だったので、2枚買った。これも使用頻度でいけば1,2を争うのではないか。

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これは新じゃがと空豆をにんにくで炒めて、パルメザンをバサッとかけたもの。洋風料理にも合う、懐の深い器なのだ。おかずや焼きそば、サラダなんかもよく盛りつける。

この写真左上の、青と白のなんとも言えない形の器も重宝している(上の写真でも何度か登場している)。かっぱ橋で購入したような気がする。これは他の器よりちょっと高くて、1,200円。それでもかなりお安いけれど。

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ちょっとした副菜を盛りつけるのにジャストサイズ。切っただけのトマトやほうれん草の胡麻和えに冷奴、深さがあるから汁気のあるお浸しもばっちりだ。

食卓全体のバランスを考えたとき、器の形を統一せず、ちょっと違う形の器を使うとちょっと垢抜けた感じが出て好きだ。ファッションでいう「外し」とか「抜け感」に似ているかもしれない。

特に定食スタイルのときはお椀もお茶椀も丸いので、丸くない器を使いたい。そこでこの「なんともいえない形の器」の出番。あまりに頼りすぎていて、現在週6勤務くらい。ブラック労働環境でごめん。

洋風な料理のときに大活躍するのは、かっぱ橋で買った白のオーバル。かっぱ橋は飲食店向けの食器を売っているところなので、使い勝手のいいスタンダードな器が安く手に入るのだ。

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小さい傷があるとかで(全く気にならない)1枚250円。もちろんパスタにもぴったり。

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同じくかっぱ橋で購入した薄い水色の中華皿もよく使う。「町中華っぽいお皿が欲しいなあ」と思って選んだものだ。1枚500円くらいだったかしら。

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中華を盛りつけるだけで、格段に「それっぽく」なる。色鮮やかな料理が薄水色とのコントラストで一層そそられる見栄えに。

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(後ろの551の豚まんは、スライスチーズで羽根つきにしようとして盛大に失敗したもの。座布団やないかい。)

こんな調子で、私が日常使いしている器はどれも数百円~1000円台のものが大半だ。それでも100円ショップの器を使うのとは、やっぱり「おいしそう感」が全く違う。

もちろん、作家さんの器も素敵だ。うんうん唸って、選び抜いた器をとっておきのときに使うのも好きだ。けれど1つ数千円の器をいくつも買って揃えるのはなかなか難しい。

「器に興味をもってはみたけれど、作家さんのものはちょっと手が出ない。でも今の器を使い続けるのはなあ…。」という方、もし都内にお住まいならかっぱ橋などで気軽な器を探してみるのもおすすめだ。

名もなき器でも、日々の食卓を十分立派に彩ってくれるのだ。

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