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会津にゃん太郎交流会②

近所のスーパーで山菜のコゴミが1パック650円で販売されている事を知り、我が古民家のまわりにも生えていたら良いなぁと思い、目を皿のようにして夫が見つけだしたコゴミはコゴミではなく鬼ゼンマイだった。
それを知ったのは、お浸しにしてちょっと硬いなと思いながら食べた次の日のことである。
鬼ゼンマイでもコゴミでも会津には春の恵みが溢れている。

私はいつものように古民家の庭先で、せっせと空豆だのスナップエンドウの苗を植える作業をしていた。
カシャン!!
という小さな音に手が止まる。

音の出た先を見ると古民家の軒先を例の黒白のネコが尻尾をツンと立てて歩いていた。横から見るネコの胴体はふっくらして、毛並みはツルツルで健やかなキューティクルを保っていた。
食べ物には困っていないことがわかる。
一体、どこで何を食べたらその体型になるのか。

カシャン!と言う音は健康優良児のネコが庭先に置いていたガラクタに足を引っかけたか、ぶつかった音だ。
ネコがいつからそこにいたのか、私は全く気づくこともなく野良仕事に夢中になっていた。
それにしてもネコは抜き足、差し足の達人ではないのか。さほど散らかっていない縁側沿いの庭先でモノにつまずくものだろうか。
もしかしてわざと音を立てたのかしら。

「ねぇ、気づいてよ。」と。

今朝、ネコを見かけた時に開口一番「おはよう」と声をかけたのに、相変わらず5秒ガン見されて背中を向けて去って行った。
一方で、人間に気づいてもらえないとなると「ねぇ。」とちょっかいを出すネコ。
寂しかったのか。
想像が膨らみ続け、慣れない畑仕事中にケラケラと笑いがうまれた。

「来てたの気づかないでゴメンね。」と言うと、表情1つ変えず小さな水瓶の水をペロペロなめた。
水瓶の水はいつから溜まっているか分からない水で、ボウフラがわいているかもしれないし、腐っているかもしれない水ですけど。

お腹こわすよ。

私は捨てるために外に出しておいた小さな茶色いグラタン皿に持っていた水筒の水を「おいしい水、どうぞ。」と言いながらドボドボと注ぐ。ネコはヒョイと飛びはね私と距離を置く。
ネコと私の距離は一定で縮まることはない。

その後、ネコがグラタン皿の水にペロッと舌を付けたのは私が帰る間際、軽トラを発進させた時だった。
つづく。




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