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【読んだ】児童書 コアラのなみだ

おすすめ度 ★★★★☆

出版されたばかりの本。
小学生新聞のおすすめ本コーナーにあって、息子(小5)が読みたいと言ったので図書館で借りました。
小学1年生から読める本だそう。

環境問題やSDGsについての本だという事前情報があったので、心の準備はできていたけど、ほんとに悲しくて考えさせられるお話でした。

救いがない

コアラの親子が山火事に会い、お母さんが死んでしまうお話なんだけど、コアラの絵が可愛いすぎて余計につらい。

かわいい…つらい…


しかも、助かった子コアラは強くたくましく育ちました、という美談じゃない。児童書って大抵そうやってきれいにまとめると思うんだけど

パマ(子コアラ)はおかあさんとすごした、あの大きなユーカリの森に帰りたいのです。
(中略)
しかし、どんなにねがっても、パマが帰る森はもうありません。

つらい、つらいよう。大人でも泣いてしまう救いの無さ。
失ったものは戻ってこない、そしてこれが本当にあった話だとおもうとやるせない。

娘号泣

児童書なので、息子はすぐ読んでしまい、「予想以上に悲しい話だった…」と感想を述べていました。情報量としてはちょっと物足りなさそう。

小1の娘はそこまで読書好きじゃないので、読んでくれるかな?と思っていました。
が、ある日何気なく手にとって読み始めました。

最初の方は「可愛い〜ママに甘えてる〜♪きゃわいい〜ん」とニッコニコでよんでました。
ああ、そんなに感情移入して大丈夫かな、どきどきしながら見守る私。

そして、山火事のシーン。
読んでいる娘の後ろに私は座っていたのですが、娘の背中がふるふると震えだして、涙がぽろぽろぽろぽろ‥

「おかあさんの、、、足に火が…」ぶえぇぇ
「コアラさん…コアラさぁあん」

もう、号泣です。顔中、涙と鼻水でいっぱい。
ティッシュを山盛りにして、最後の解説まで読み続ける娘。

そうか、こういうお話がちゃんと理解できるようになったんだな。背中を見つめてジーンとする私。

読み終わったあとはしばらく立ち上がれず、喋れないくらい泣き続けて
思い出し泣きして、悲しくて眠れないといって、布団でも泣いて。

自分ごとにできるかは、まだ先

もちろん物語は、可愛そうなコアラさん、では終わりません。

「自分が一番えらい」とおもった人間が ほしいもののために ちきゅうをよごし、ちきゅうを病気にしてしまったこと。
(中略)
そのせいで、大地や森が カラカラにかわき、今までにないほど 大きな火事が おこってしまったこと。
(中略)
人間は いったい いくつの「ごめんなさい」をこの星につくってしまったのでしょうか。

「人間さんに おねがいです。ほしいものを ひとりじめせず、 どうか ぼくたちと なかよく 分けっこしてください」

こどもに伝わるようにわかりやすく、コアラからのメッセージとして書いてあります。

娘と、コアラさんのために「自分たちにできることは何かな」という話もしてみました。
悲しむだけではなく、ちゃんとメッセージも理解してほしいなとおもったから。

「山火事の80パーセントは、ひとがタバコをポイ捨てするからなんだって。だからポイ捨てする人が悪い」

うん、7歳の娘が一生懸命考えた答えでした。
お母さんもタバコポイ捨てする人は悪いと思うよ。

遠い国の干ばつや山火事にたいして、自分たちに原因を見出すのは難しい。
大人であっても、難しい。

節約節電、ゴミを減らす。できることはするけれど、それがコアラを守ることにつながっているのか?よくわからない。

世界は確かにつながっているんだろうけど、あまりに遠いつながりだから、できることが思いつかない。

小学生に自分ごととして考えるのは難しいよね、と思ったけど、自分だってそうじゃないか。
児童書からも学ぶことは多い。

※トップの写真は、オーストラリアに雨が降ったときのコアラの写真だそう。とても素敵だったのでお借りしました。


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