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【読んだ】もしも一年後、この世にいないとしたら。

おすすめ度 ★★★☆☆

がん専門の精神科医・心療内科医の清水研さんの著書。
患者さんとの診察を通して、変わった「死」や「生」に対する考え方、後悔しない生き方について書いている。
物腰の柔らかさ、優しい人柄が伝わる文章なので、読んでいて温かい気持ちになる。

若くして難治性の癌になった方や、子どもがまだ小さいのに余命宣告された方など、実際の患者さんの話は読んでいて辛い。
著者自身も、最初はどう接すればいいのか、何ができるのか悩み、仕事をやめることも考えたという。

がんは肉体だけでなく精神的な苦痛も与えてくる。
「なぜ自分が」という怒りや悲しみ、現実逃避、絶望、自暴自棄。どういった経緯でそういう心理状態になるのか。
そしてその後、現実と向き合い、大切なものはなにか考え、残りの時間をどう生きるかに徐々にマインドを変えていく。それらのエピソードはどれも心に染みる。

著者はそれをレジリエンス(自ら回復する力)と言い、レジリエンス外来を設けて患者さんと向き合っている。
肉体的には回復できなくても、精神的に前を向いて生きることはできる。
著者はレジリエンス外来で患者さんと向き合うことで、それを教えてもらったという。


現代人は、死に向き合う機会がとても少ないと著者は言う。
長寿大国でもあり、病院で死ぬ人がほとんど。アンチエイジングは老いから目を背け、死を否定しようとする心の表れではないか。

明日もあさっても、10年後も20年後も人生は続く、と思うと毎日を丁寧に生きることは難しい。だから、タイトルのように「もし1年後この世にいないとしたら」と考えて生きてみては、という。

なるほど、と思いながらも、私は結構死について考えてるな。と思った。
メメント・モリしている。

昔から身体が弱いから、長生きできる気がしない。
心配性だから、地震や災害が起きるたびに、超ネガティブなことばかり考える。どこか痛いとすぐ病院にもいくし、定期的な検診のたびに悪い想像をしすぎて胃が痛くなる。

ここ10年くらいで「人生は何が起きるかわからないから、今を楽しく生きよう!」と思うようになり、アリとキリギリスでいうなら、断然キリギリス生活をしている。
美味しいものには貪欲でいたいし、行きたいところには積極的に行くし、好きな人としか付き合わない。
フリーランスになっては特に、わがままに欲張りに生きて何が悪い?とおもっている。一度きりの人生を嫌な人や悩み事に心を割くにはもったいない。

と思いつつ、やっぱり一年後にこの世にいないとしたら、こういう生活はしてないなと思う。
こういう生活とは、「スマホでぼけーっと漫画読む」「スマホでボケーっとYoutubeみる」「スマホでボケーっとインスタ見る」みたいなことだ。
スマホだ、スマホが悪い。

今の生活の中で、反省すべき点・改善すべき点があるとしたら、それくらいだ。

うん、何が言いたいかというと…
スマホだ。スマホが悪い。(なんちゅうオチ)

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