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たったひとりのオンライン授業

約3週間、息子は一度も登校せずオンラインで授業を受けています。

夏休み明け、各地の小学校で急遽オンライン授業が始まりましたね。
とにかくスピード重視だったので、みんな足並み揃えて同じようにではなく、それぞれの学校でできることをやりましょ!というこれまでの日本の公教育には珍しい動きでした。

息子(小4)の学校もご多分に漏れず、オンラインでの授業配信を決めてくれました。
使うのはGoogleMeet。双方向ではなく授業風景を移しておくだけの一方向スタイル。登校したい人は登校してOK。オンラインで受ける人は親が毎朝アプリで連絡をする。というルールでした。

それから約3週間。
オンラインを続けているのは学年で息子ひとりだそうです。

これは衝撃でした。

最初の一週間もクラスの3−4人で「意外とみんな登校してるんだな」とおもったけど、次の週にはクラスで1人になり、さらに次の週は学年で1人。
意外とみんな学校行くんだね…私だったら絶対行きたくない笑
(もちろん事情は家庭それぞれにあるでしょうが)

せっかくなので、初めてのオンライン授業体験と、それを見守る母体験を記録しておくことにしました。

登校への圧

「オンラインなのはもうあなた一人だけです。みんなもう学校に来てるんですよ」

「あなただけがこの学習で成績が付きません、登校してないと成績がつけられないんです」

先生から実際に言われた言葉です。
息子の学校では週に数回、オンライン児童向けの振り返りタイムを設けてくれていて双方向で会話ができます。
私は隣の部屋で聞いていたんですが、THE・同調圧力って感じで怖かったです。

わかるんですよ、たったひとりの子のために配慮したり、時間取られるの大変だって。
もしかしたら「おたくのクラスの子だけですよ〜?なんでですか〜?」みたいな嫌味言われることもあるのかもしれない。
でも怖かった。私なら「はい…行きます」って言っちゃう。

が、うちの息子は「あ、来週もオンラインで行きます(キリッ)」とまっっっっったく動じずに宣言してました。
メンタル最強かよ。

もし十分に準備をしてポジティブにオンライン授業が始まっていたら状況は違っていたでしょうが、登校が前提という考えがベースにある間はやむを得ないのかな。

オンラインのいいところ

1.毎日授業参観

これは親のメリットですね。
普通の授業参観と違ってみんないつものテンションなので面白かったです。
先生が意外とノリが良かったり、子どもたちも自由に発言してて楽しそうでした。
自分のイメージでは、もっと一方通行で子どもは受け身なのが学校教育だろうと思ってたので、意外とインタラクティブなんだー時代は変わってるんだな、とポジティブな印象を受けました。

2.集中できる

オンラインは完全一方向なので、先生に当てられることはありません。(あくまで息子の学校では)
息子はノートを書くスピードがおそく、「先生に当てられるかも」と「ノート書く」を両立することに苦手意識があったそうです。
最初の一週間はとにかくノートを書きたくないと言ってました。

でも、当てられる心配がないと気づくとノートを書くのに集中できるようになったらしく、理解した内容を自分で工夫して書くという体験が初めてできたそうです。
わざわざノートをみせてきて「どう?いい感じにかけてない?」と自慢してきました笑

当てられなくてラッキーという本音はさておき、必要なことをちゃんと理解すればあとは自分の学習に集中…というスタイルは無駄がなくて良いなと思いました。

3.暇な時間を有効活用できる

教室には40人も児童がいるので、どうしても足並みをそろえて授業する必要があります。必然的にわからない子に合わせることになり、わかっている子にとっては暇な時間です。

とはいえ教室にいたらできることは限られていて、こっそり教科書に落書きしたり、お手紙書いてまわしたり、バレて怒られたりしてましたね。

オンラインで暇になったときはもっと自由です。それこそYoutubeだってみれちゃう。
でも、学習以外のことをしてほしくなかったので我が家では学校の時間はゲームやテレビ・漫画はNG。学習に関係あることはOKにしました。

今習っている単元も、自宅学習だと把握しやすいのでそれに関連しそうな学習本・学習まんがをいくつか購入して本棚へ。
学習アプリも都道府県パズルやThink!Think!(論理パズル)、英語アプリは時間制限付きでOKにしました。
息子は退屈なときにやってます。社会の時間は都道府県、算数ではThink!Think!など教科に沿ってやってるそうです。

まあこれは先生には堂々と言えませんが…学習効率という意味では登校するよりよいのではと思っています。

4.親が学習に関わりやすい

息子の授業内容に関する会話が増えました。
例えば先生の説明の意味がわからないとき、解き方がわからないとき
他の子の面白い意見、発表の内容などなど…

教科書や宿題からは読み取れない息子の学習内容について、よりリアルに理解できるし教えられます。
仕事中だとちょっと困ることもありますが、これもレアな機会なので楽しんでいます。

オンラインの悪いところ

1.運動不足

登下校や体育がなくなり、一日中家の中にいます。
それでストレスたまらないのかな?と思うレベルですが、本人特に気にしてないです。別に引きこもり気質でもなく、友達が誘いに来れば一緒に公園で遊ぶこともあります。
とはいえ運動不足は確実なので、夏休み終わりにリングフィットアドベンチャーを購入して、毎日一緒にやっています。楽しい〜

2.成績がつかない単元が出る

先生がしきりに言ってました。

例えば、マット運動の授業が終わったら次は校庭でやる運動だから、あとから登校してもマット運動のテストはできない。だからあなたはマット運動の成績がついてないんですよ!と。。。

多分何かしら問題があるんだと思いますが…私には何が問題なのか正直わからない。

中学受験もしないし、皆勤賞的なものにも一切こだわってない。
マット運動で何とか前転の成績がなかったら、将来なんの問題があるんだろう?ヨガのインストラクターになれないとか?ならないけど。

わかる方いたら教えて下さい。

でもまあ、本当はできるのに成績につけられないというのは残念ではあるのかなー?でもできればそれでいいじゃん。わからん。

ずっとオンラインでいいのに

そんなわけで色々考えてみたけど、息子の場合はオンラインが向いているらしくあまりデメリットを思いつきませんでした。

元々、登校したからといってすごく授業に集中するとか、積極的に発言するタイプではないからかもしれません。

むしろずっとオンラインでいい。

感染する心配もないし、登下校の事故も心配ないし、親も安心です。
オンラインを恒常的にできるようにすれば、不登校の子や長期入院で登校できない子もすごくメリットあるし、すべてをオンラインにじゃなくても選択肢として残して欲しいと切実に思います。

でも、まぁ先生方にとっては負担が大きいのもわかる。
小4でも動物園みたいな騒がしさになるときあるし、目の前の40人を指導するだけでへとへとに大変でしょう。
さらにオンラインもやってちゃんとケアして、なんてブラックすぎてとても言えない。

これはもう、仕組みの方を改善していかなきゃいけない話ですね。
オンラインとオフライン両立しても成立するよう学級人数を減らしたり、専科担任制をもっと進めたり、ICTアドバイザーのような人を学校に配置してサポートさせたり…どれもいま進めていることだけど、時間がかかるだろうなぁ。

貴重な体験をありがとう

息子は来週から登校スタートするそうです。
特に圧に負けたわけでも、寂しいからでもなく「まぁボチボチいってやるかな」くらいのテンションです。
感染者数も減ってきてるし、私も特に反対も賛成もせず彼の意思を尊重しています。

でも、学習の自由度を少し広げる体験としては貴重な機会でした。

オンライン授業でもなんとかなるし、最悪オンライン授業がなくてもなんとかなる。
学校は絶対に行かなきゃいけない場所じゃないし、勉強はいつでもどこでもどういう形でもできる。
改めて自信を持って思えるようになりましたね。わたしも息子も。

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