【読んだ】ゆっくり、いそげ
おすすめ度 ★★★★☆
クルミドコーヒーというカフェ経営者が書いた本。
自己啓発書のようなビジネス書のような、どちらでもあるような無いような本。
著者はもともとベンチャーキャピタルに勤めていて、お金・経済・ビジネスが中心の世界にいたそう。THE資本主義の世界。
一方で、資本主義に疑問を持つ人が提唱するスローライフ、丁寧な暮らしといったムーブメントもある。
「その中間がいい」と模索する筆者の経済観が興味深かった。
ポイントカードをやらない理由
著者が経営するクルミドコーヒーにはポイントカードがない。
その理由はがっつり書かれているのだけど、なるほど確かにと目からウロコでした。
「消費者的な性格」とは、なるべくお得に利益を得たいという心理。
15%オフで一回買い物してしまうと、10%オフでは不満感を持ってしまう、とか
次のセールまでは買い控えをするとか、
ご自由にお取りください、とかいてあるサービスを一つ多くもらっていくとか。
わかるわかる。
一方で、著者は人には「受贈者的な性格」もあるという。
プレゼントを貰ったときに「いいものをもらったな、なにかお返ししたいな」という心理。
手間がかかってそうな美味しいケーキを食べたとき。
コンサートで推しの姿を間近でみたとき。
娘がなけなしのお小遣いでクリスマスプレゼントを買ってくれたとき。
あぁ、尊い。何かお返ししたい。この幸せをおすそ分けしたい。
ケーキのお店を宣伝したいし、推しのグッズは多めに買っちゃうし、娘にはプレゼントを増し増しにしたい。
これもわかる。
私にも受贈者的性格があるのか、人って多面的よね。
今の経済はなんなのだろう
これからはお金が中心でない経済にシフトするはず!という話はよく聞く。
人とのつながりや信頼関係が価値をもつようになると。
SNSのもつ影響力を考えると、そうなんだろうな〜と漠然と感じます。
でも、結局SNSでお金を払ってフォロワーを買う人がいたり、インフルエンサーに多額の報酬を払って広告してもらうなど、現実を見るとあらゆることにお金が絡んでいます。
スローライフ、お金に縛られない生き方を提唱するインフルエンサーがSNSでお金を稼いでいる不思議。
資本主義が完璧でないことはわかっているけれど、取って代わる別のあり方はまだ出てきていない。
「より少ないコストでより多くの利益を得ることが至上」という考えに疑問を持つ人は多いけど、全国旅行支援でお得に旅行したい気持ちはやっぱりあるし。
お金が全てではない。
未来のこと、環境のこと、社会のこと、色々考えたい。
でもお金は当分切り離せない。
経済のあり方はぱっと切り替わるものではなくて、じわじわとグラデーションして変わっていくものなんだと思います。
お買い物をするときは常に、私の中の消費者的な性格と、受贈者的な性格、他にも色んな考えが交錯しているんだなぁ。
きっと少しずつ使い方がシフトして、それが社会全体に影響していってかわっていくんだろうな。
お金の使い方。子どもたちにも伝えていきたいことだし、自分自身も見直したいことだから、読んでよかったなぁ。
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