見出し画像

【読んだ】世界一やさしい依存症入門

おすすめ度 ★★★★☆

前回書いたように、自分のスマホ依存を疑っているので読んでみた本。
あとは、息子が最近ついにスマホが欲しいといい出したので、そのための予備知識も兼ねて。

構成は、薬物やアルコール、カフェインなどの「物質依存」の話と、スマホやゲーム、自傷や過食など「行為依存」の話にわかれていて、どれも事例が中高生。文章も語りかけるような形なので、わかりやすい。
中高生と、その保護者向けなんだろう。

違法薬物=ダメ、ゼッタイで終わってしまう学校教育(未だにそうなのかな?)はダメだよなぁとは思っていたけど、その理由や、だったらどうすればいいのかを具体的に提案していて説得力がある。


日本では、「依存症になるのは弱いから」「法で厳しく取り締まるべき」「罰を与えるべき」みたいな考えがまだ根強く、治療や支援の仕組みがかなり遅れているという。
欧米諸国では、依存症は脳の病気だという認識がすでに広がっていて、刑罰の対象というより治療の対象と考えられるようになった。
(それは過去に何度も失敗を繰り返した結果なんだけど)

2014年にはWHOが先進国に向けて、「薬物問題は非犯罪化して、健康問題として扱うように」と発信しているそうだ。
日本の感覚からしたらまだ受け入れ難そうだけど、ハームリダクションといって、すぐにやめることが難しいときHarm(危害)を少しでもReduction(低減)するという考えが世界の主流らしい。

ゲーム依存の子からゲームを無理やり奪ったり、時間を制限したりというのが、いかにズレているか考えさせられる。


薬物依存について、高校の頃調べたことがある。
中島らもの「アマニタ・パンセリナ」という本がものすごく面白くて、

「ダメ、ゼッタイ」で隠すよりも、正しい知識を持って対処すべきだ!と思ったからだ。
実際その通りで、どんなクスリがどんなリスクがあるのかは若い頃から知っておいた方がいい。詐欺被害と同じで、手口を知っていればうっかり手を出すリスクも下げられる。

本では、違法薬物よりも、アルコールや市販薬など気軽に手に入れられるモノへの依存に言及している。
エナジードリンクからカフェイン依存になり、市販薬依存に移行した女の子の事例がとてもリアルで、ほんとこういうことも学校でちゃんと学んだほうがいい。


なぜ、同じものを摂取しても依存症になる人とならない人がいるのか。依存症の仕組みからわかりやすく説明している。

薬物やアルコールなどを摂取すると、脳がドーパミン(快楽物質)をだす。
繰り返すことで脳が自然にドーパミンをだす機能が動かなくなってしまい、薬物などを過剰に求めるようになってしまう。これが依存の簡単な仕組み(本ではもっとわかりやすく書いてある)。

同じ刺激をうけても依存症にならないのは、元々自然のドーパミンを十分に受けていて、欠乏感がない人だと著者は言う。

子どもの頃からいっぱい褒められて育ってきた人は、薬物の力で得る会館よりも、然るべき苦労のプロセスを経て人から認められる方がいいな、と思えるのです。ところが、人から褒められたり、認められたりした経験があまりなく、何をやってもダメ出しをされてきた人は、天然のドーパミンの心地よさを十分に体験していません。その場合、どうしても薬物によって得られたドーパミンの衝撃に屈しやすくなります。もっともっとと、その薬物を繰り返し求めるようになるのです。

あくまで傾向の話ではある。
ただ、依存そのものを攻めたり罰したりするよりも、その背景に何があるのか、その人の「心の穴」みたいなものに目を向けないと、根本的な解決にはならないのだと思う。


さて、私のスマホ依存および将来危惧される息子のスマホ依存についてはどうだろう?

私のスマホ依存は、単純に「暇な時間が多い」のが原因だ。仕事中や外出先でスマホを見ることはあまりないし、ゲームは嫌いだから一切しない。心の穴…みたいなものも特に感じない。
強いて言うなら、目や肩こりに良くないという健康リスクと、家族で話す時間が減りやすいという2点が問題だ。

息子はどうだろう。
今はオフラインのゲームしかしてないし、公園で野球をするのが至上の喜び、まったく依存傾向はない。
でもさでもさ、スマホでオンラインゲームするようになると依存しやすいってよく聞くじゃないですか!?←心配性発動

息子の友人にもチラホラとそういう子が増えている。
深夜までゲームしてるとか、公園でも友達と遊ばずゲームしてるとか、制限されると家で荒れるとか…
結局は、ゲームそのものが悪いというより、生活リズムが崩れるなどの健康被害、友人関係や親子関係などに問題が出ることが心配なのだ。

うーん…とはいえ、依存どころかスマホ自体持っていない息子に何ができるのか。我ながら心配性が過ぎている。

まずはこの本読ませてみるか。


この記事が参加している募集

#読書感想文

189,460件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?