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【読んだ】心理学・入門 心理学はこんなに面白い

おすすめ度 ★★★★☆

最近、心理学の勉強をしてみたい、と思うようになった。

これまで教育や社会問題、子育てに関する本を十数冊読んできたけど、心理学に関する情報が度々でてくる。
それぞれに「なるほどねー」と思い、ふむふむわかったつもりになるのだけど、どうも物足りない。

例えば、ママ友同士の会話で、子育ての悩みを聞くと「あぁ、あの本で読んだアレにあてはまりそうやなぁ」と思う。
でも、実際カウンセリングできるほどの知識はないし、体系的に理解しているわけではない。つまみ食いのような点の知識では、何も語れない。うさんくさいアドバイスになってしまう。それがもどかしい。


よーし、いっちょ心理学をちゃんと学んでみるか、と図書館で本気っぽい本を手にとってパラパラめくると、いきなり数式やらグラフやらがばばんと出てきて、打ちのめされた。

心理学って様々なデータを定量的に測って、統計を取ることで科学として扱う側面があるので、思ってたよりずっと数学っぽいらしい。無理…。

数学アレルギーと心理学への好奇心のジレンマでモヤモヤすること数ヶ月。
やっと良い入門書に出会えました。おめでとう私。


まず「はじめに」がとても良い。

「心理学は、学ぶ前の学生には最も大きな期待を、学んだ学生には最も大きな失望を与える学問だ」

あーよかった。私だけじゃないのね、と安心する。

単純な心理学の知識だけでなく、「一般の人にとっての心理学(面白い)」と「科学としての心理学(難しい)」のギャップを埋めてくれるような構成になっているのがとても良かった。
心理テストや血液型診断は心理学的にどういう存在なのか、という身近なテーマがとっつきやすい。
なぜこれが研究されるようになったか、科学として認められるまでの歴史の話も面白い。

カウンセリング、特別支援といった専門用語の定義も書かれているし、性格とは何か?社会的行動とは?コミュニケーションとは?みたいな、「知ってるつもりで深く考えたことがない言葉」も言及されている。

フロイトとかユング、アドラーみたいな有名な心理学者の名前もでてくるし、パブロフの犬やゲシュタルト崩壊、ロールシャッハ・テストみたいな有名な実験もでてくる。
あーみたことある、何かで読んだ、のつまみ食いだった知識が、線としてつながるような見事な構成だ。

入門書なので、内容は浅い。
でも、つながりが見えると、もっと深く知りたいと思える。

臨床心理学・性格心理学・社会心理学・発達心理学・心理アセスメント・知覚/認知/記憶心理学・行動心理学、さらに心理学の歴史と未来…
一冊に詰め込むには、広すぎるくらいカバー範囲が広いが、どれもわかりやすく読みやすく書いてあるので、理想的な入門書だった。

☆ここからは備忘録的なメモ☆
・説得的コミュニケーションは、「誰が」「どのように」説得するかがポイントになる。よく使われる「恐怖喚起コミュニケーション」は態度を変える力はあるが行動を変える力は小さい。(〇〇しないと〇〇がおきるぞ!的な)

・3才児神話の元になった実験は、特に実母による1対1の養育が望ましいとされる結論ではなかった。言説が独り歩きして都合がいいように書き換えられるドミナントストーリーに気をつけるべき。

・以前は職業カウンセリングと言われていたものがキャリアカウンセリングに名前を変えている。かつてのように人が職に合わせていくのではなく、職を通じて人がキャリアを積んでいくという考え方に変わってきている。

・心理テストは心理学的アセスメントとしては「占い型、投影法の性格審査」になるが、信頼性と妥当性に欠ける。心理学者が関わっている場合も、アセスメントの知識を「都合よく」散りばめているだけ。

・トリックアートのような脳の錯覚は、バグではなく、知覚が「より正しく物をとらえよう」とする働きであり、環境に適応するために進化した結果。

・文化心理学が面白い。たとえば、日本の顔文字と英語圏の顔文字は異なっており、日本は目が重要で、英語圏では口が重要であることがわかる。
^_^をみても英語圏の人は笑顔とは思わないらしい。そういえばスマイルマークも目は笑ってないもんな。


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