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[ 届け!忍者の想い ]

↑↑コチラの表のお題【忍者ラブレター】に参加してみました。
が、文字数大幅オーバーすぎて、ノーエントリーでお送りします😅

因みに、今回の表と裏のお話は、一応、独立したお話ですが、コチラから読むことをオススメします。


画像:とびうお/illustAC


[ 届け!忍者の想い ]

 文化祭。
 男子生徒は、舞台袖で自分の出番を待っていた。

(やるぞ〜、やってやるぞ〜)

 演劇部3年生の彼は、一世一代の大勝負を秘めていた。
 与えられた役は、忍者。

(恋文を渡す、その時だ)

 隣の国の姫から託された恋文を殿に渡す、それが忍者の役割だ。
 忍者はそこで、長台詞を与えられていた。

(そこで、告白する)

 台詞に乗せ、意中の同級生に告白するつもりだ。

「おい、恋文をもて」

 舞台で殿役が言う。
 因みに、意中の人は殿ではない。
 意中の人は他にいる。
 そして、必ずこの舞台を見ている。
 男子生徒はそう信じて、スタタタタ、と舞台に歩み出た。

「殿、恋文でござる」
「うむ、読んでみろ」
「ハッ」

 心臓がドッキンドッキン跳ね上がった。
 忍者は、ひとつ大きく息を吐いてから、通る声で話し始めた。

「あなたのフルートが、大スキです」

 少し、ざわざわする観客の生徒たち。

「あなたの奏でる、フルートを、一年の頃からずっと聴いていました」

 ザワザワザワ
 男子生徒をよく知る観客たちは、ことの意味に気づいた様子。

「おいおい、この時代にフルートなんぞ無いぞ」

 と、アドリブで返す殿も、事態に気づいたそのひとり。
 それも知っている観客は、大いに沸いた。
 忍者は続ける。

「これからも、ずっと、そばで聴いていたい」

 ナニナニ、キャー、ヒュー、ヒュー、いいぞ〜、ヤレヤレー!!
 女子も男子も声を上げて盛り上がる。

「よかったら、俺と、付き合ってください!!!」

 ウォー、オー、オー、フゥー、ヤンヤヤンヤ、パチパチ。
 忍者は盛り上がっている観客の方へ向きを変え、

「もし、OKなら、明日、このステージから、返事をください!」

 因みに、明日のこの時間は、吹奏楽部の演奏が予定されている。
 忍者は大声で、最後の決めの台詞を言った。

「君のことが、大好きだーーー!!!!!」

 そう残して、忍者はスタタタと舞台袖に去っていった。
 ワー、ワー、ワー、
 大声援に包まれる会場。

「こりゃこりゃ、秋なのにお暑いのぉー」

 と、殿役はおどけて見せ、会場は笑いに包まれた。

 舞台袖で、男子生徒は部員から、声をかけられたり、叩かれたり、肩を組まれたり、蹴られたり、もみくちゃにされた。

 まだドッキンドッキンしていた。
 でも、胸の高鳴りは、高揚感に覆われていた。


おしまい

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