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4D-DASH |BIMを用いたクラウドセンサーダッシュボード

渕上 敏生
日建設計 デジタルソリューションラボ
コンサルタント

IoTセンサーデータ可視化の課題

近年スマートビル市場は拡大を続けています。スマートビルでは様々なIoT技術が利用されます。例えばIoTセンサーを活用した温度分布や照度分布など、様々な状態量の可視化です。さらに、人感センサーと照明設備、温度センサーと空調設備など、竣工後に設置されるIoTセンサーと設備の連動制御に用いられることも増えました。
IoTセンサーの値を可視化するダッシュボードを作成するには、目的に合わせてデザインするため検討開始から実現までに期間を要していました。各センサーメーカーから専用のプラットフォームが提供されている場合がありますが、複数メーカーのセンサーまとめて可視化するにはハードルがあります。

短期間で可視化を実現する

完成品として個別の完成度の高い可視化が求められる一方で、検討段階や調査などで一時的に可視化が必要となる場合があり、その場合はスピーディーに可視化を行うことが求められます。
4D-DASHではそのようなニーズに応えるために短期間での複数種類のセンサーの可視化実現を目標として構築を行いました。下記のような特徴が挙げられます。

クラウド型
スモールスタートおよび利用状況に合わせたシステム構成やスペックの変更が容易であることから、パブリッククラウドサービスを利用したWebサービスとして構築しました。また、当初から複数の建物およびユーザーの管理を想定しています。

3D表示
従来は2D、環境を上から見た平面上にセンサーの結果を表示するものが多く、個別に図面等からデータ表示用の背景画像を作成する必要がありました。4D-DASHではAutodesk Platform Services(旧名称Forge)を利用し、BIMファイル(Revit形式)を読み込むことで、建物やフロアの3Dモデル上にセンサーの結果を表示できます。Autodesk Platform Servicesの標準機能である3Dモデルの任意の回転や拡大縮小、ウォークスルーなども利用可能です。視点を上からにすることで従来のような平面のような見た目での表示にも対応可能です。

図1 3Dモデル表示例

センサー位置情報の管理
BIMを利用することで3次元の正確なセンサーの位置情報の設定および管理が可能です。

図2 3Dモデルへのセンサー配置画面

様々なセンサーやデータ取得方法に対応
データ取得のAPI接続方式や取得結果の書式はメーカーやセンサーにより異なるため、センサーの種類を増やす際にはデータを取得するための追加の開発が必要となる場合があります。4D-DASHではデータ取得までの過程をWebブラウザの画面上から設定できるよう工夫しています。
API接続は一般的な認証方式からの選択とし、データ取得結果は必要な部分のみを指定し取得できるようにしています。
日建設計東京オフィスでは、サーモパイルアレイセンサーやBluetooth方式の環境センサーなどのデータを実際に取得しています。

図3 センサー情報登録画面

個別開発不要およびWebブラウザで完結する操作
4D-DASHでは誰でも簡単に利用できるように、建物BIMファイルの登録、API接続情報の登録、センサー情報の登録、3Dモデルへのセンサー配置など、可視化までに必要な手順をWebブラウザ上で行えるようになっています。特に3Dモデルへのセンサーの配置については座標での指定だけではなく3Dモデルへのドラッグアンドドロップによる直観的な配置にも対応しています。また、多くのセンサーを登録する場合を想定し、エクセル形式によるインポート/エクスポート機能を備えています。

可視化結果の共有

可視化画面の共有用のURLを発行し、必要なデータのみを必要な期間のみ共有することが可能となっています。4D-DASHでは可視化画面は固定されているわけではなく3次元で自由に3Dモデルの移動、拡大縮小、回転が可能なため、それらも共有するデータとして含み、同じ表示状態を再現できるようにしています。

図4 可視化結果の共有設定画面

おわりに

センサーの値の可視化は目的ではなく手段である場合が大半を占めますが、これまでは労力や期間を要していました。4D-DASHではその課題を解決し誰でも簡単にスピーディーに可視化を行う仕組みを目指しました。
4D-DASHを利用することにより、さらに高度な可視化や分析やその先のサービス連携など新規性の高い分野に注力し、付加価値の高いスマートビルディング提供に繋げたいと考えています。ご興味がある方は是非弊社までお問い合わせください。


渕上 敏生
日建設計 デジタルソリューションラボ
コンサルタント
日建設計が提供する建物のさまざまな情報の一元管理を行うクラウドサービス「NSi2(エヌエスアイツー)」、中長期保全計画、省エネルギー、ロボット関連を担当。

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