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日経が「会議に潜入する」というコンセプトでライブ番組をつくることになった理由

日経新聞でライブコンテンツを企画運営している永吉です。日経電子版ではビジネスパーソン向けのライブ配信コンテンツを用意していますが、9月から新しいライブ番組をスタートさせることになりました。

今年の春先からチームで構想し、温めてきた、この番組は、コロナ禍においても業績を上げ続けている企業の会議に潜入し、組織文化と成果の関係を紐解いて、強さの秘訣に迫るものです。

このnoteでは、いま、私たちがなぜこうした番組をつくることに決めたか、その理由についてお伝えします。

ふだん、私たちはこうしたかたちで企画意図を共有することは少ないのですが、企画者としての思いをきちんと伝え、企画背景に共感いただけた方にはぜひ視聴してほしいと思っています。

面白そうかもな、と感じられた方は、ぜひ興味がありそうな周りの人に伝えていただくか、番組にご参加ください。

あの会社はどんな会議をやっているのだろう?

私が日経に入社したのは2012年。日経電子版をより良くする改善企画・運営のディレクター仕事を経て、新規事業の起案・推進を行うプロジェクト・マネージャーを主に担当してきました。

かつて、私が現場のいち担当者だったころ、会議はやるだけ無駄だと思っていました。ドラッカーの名言

「理想的な組織とは会議のない組織である」(経営者の条件/ダイヤモンド社)

を、浅く理解している若手社会人の一人でした。

しかし、日経で、チームメンバーの意見をまとめる役割を経験するようになって、意思疎通をする機会の重要さを身にしみて感じるようになりました。

新しいプロジェクトにおいては、計画通りに物事は進まず、あるときは位置付けを見直し、あるときはやり方を見直す日々。

まさに会議なしでは進められない仕事が増えました。ときには紛糾し、チームも解散に追い込まれるような事態も経験しました。ドラッカーはこうも言ってます。

「トップマネジメントの仕事は、意思の疎通に精力的に取り組むことを要求する」(マネジメント[エッセンシャル版] - 基本と原則/ダイヤモンド社)

私はトップ・マネジメントではないですが、変化の激しい現在においては、マネジメント層と現場の垣根を超えて意思疎通することが必要になってきているのだと思います。

今回の企画を議論する中で、このような難しい舵取りを、他の会社の人たちはどのようにしているのだろう?と疑問を抱くようになりました。

他社は、どんなふうに話し合いをしながらプロジェクトを進めているのだろう。一人で完結する仕事ではないだけに、人や状況が変わればやり方も変わり、これという正解があるわけではなさそうです。

つまり、チームによって多種多様なドラマや壁の乗り越え方が、その会議に表れるのではないか。

そんな好奇心から、困難にもめげずに業績を伸ばし続けている会社は、いったいどんな会議をしているのか、実際に潜入して確かめてみようではないかと考えるに至りました。

しかし、ここでふと考えました。私たちは潜入して何を得たいのか?

会議の進め方やファシリテーションノウハウというような会議手法も大切ですが、主に探求したいことは、本質的な成果を出す組織運営や組織の作り方、経営に直結するヒントです。

企業によって組織の作り方や運営方法は異なり、正解がない。コロナ禍のような未曾有の事態をも乗り超える組織の本質的な強さはどこにあるのかを解明したい。そこにこの企画の意味があるに違いないと考え、社内でコンセンサスを得ていきました。

会議は組織文化がにじみ出る場。成果にも大きく影響する

さて、会議に潜入することは決定しましたが、どのように強さの秘密を解剖していくのか。アプローチ法の検討を行います。

ふと、過去に私たちの番組にご出演いただいた元早稲田大学ラグビー蹴球部監督の中竹竜二さんの顔が浮かびました。中竹さんはそのライブで、「メンバーの行動や言葉、習慣を醸成するのは、その企業ならではの会議制度や組織文化だ」と言っていたのを思い出しました。

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中竹さんによる、撮影した映像の背後に隠された組織文化の解説がほしい。すぐに連絡をとり、ライブ出演が決まりました。

私が、中竹さんの言葉にふれた中でとても印象に残っているのは

「目に見えないものに支えられて、その企業ならではの製品やサービスが世の中に提供され、成果が生まれる」「組織づくりと売上成果は、切っても切り離せない関係にある」

というものでした。

ライブ当日は、成果を出す組織の「目に見えない勝ち筋」について中竹さんの解説をいただこうと考えています。

成果を出す組織の作り方をいっしょに研究したい

組織文化づくりと両輪をなす、利益を上げ続けるビジネスロジックや経営戦略についても、専門家による解説がほしいと考えました。

そこで、過去にライブでお世話になった一橋大学ビジネススクール教授の楠木建さんにお声がけし、戦略ストーリーについて語っていただくことで出演が決まりました。中竹さんと同様、お忙しい方なので、受けていただけることになり、本当に嬉しくおもいました。

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「ただ他社の真似をしても成果は出ない。その企業固有の文脈・ストーリーに合致してこそ意味がある

という楠木さんの言葉が印象的でした。

今回の潜入企画も、他社の組織文化を真似することがゴールではありません。この番組を視聴いただき、自社の組織文化をより良くするためのヒントを見つけてもらえたら嬉しいです。

業績を上げ続けている会社の会議に潜入

番組コンセプトを固め、それを伝えるふさわしい専門家にオファーを受けてもらえましたが、”どの会議に潜入するか”がこのイベントの要であることは間違い有りません。コロナ禍でも業績を伸ばしていて、かつ、過去に組織づくりで試行錯誤を重ねた経験をもつ企業を取り上げたいと考えました。

そうして決まったのが、9月13日に開催されるライブのゲスト企業、18年連続結果を出し続けているクラフトビールの雄、ヤッホーブルーイング社です。

製品開発会議とマーケティング会議に潜入しました

先日、長野県にあるヤッホーブルーイング本社で行われた新製品開発会議と、マーケティング会議に潜入してきました。

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内容についてはぜひ、当日ご覧いただきたいのですが、ここでは潜入後の収録動画を何度も見直す中で気づいた点をお伝えしたいと思います。写真は鋭意編集中の収録動画です。

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会議の議事録には誰が何を発言したのかと、決定事項が書かれてあることがほとんどだと思います。その場の空気や温度感まではさすがにテキスト化が困難なので、参加した人でなければ、議論の流れまでは把握することは難しい。

議事録には、スポーツでいう「試合の流れ」のようなものは当然書かれていません。私は、何度も撮影した映像を見るうちに、目に見えない「会議の流れ」のようなものが感じ取れました。取材を重ねることで、それは誰かが意図して作られているものなのか、自然発生的なものなのか、という点も明らかになりました。この「流れ」は、企業の意思決定に大きく影響しているように思います。

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チームの力を最大化して結果を出したいすべての働く人たちに

ライブ配信当日は、会議映像を見ながら、中竹さんと楠木さんとともに、映像の裏にある戦略、強さの秘密を解剖していきます。日経からは「日経電子版 朝刊1面を読もう。Morning Briefing」のキャスターを務める渡部加奈子が出演します。

スタッフ陣は、イベントの実施経験豊富なチームに加え、先日までテレビ東京で「カンブリア宮殿」の番組ディレクターを務めていた方や、フリーのコミュニケーションデザイナーなど、いろんなバックグラウンドをもつ方が加わりました。「視聴者目線で考える」「リアリティを追求する」が合言葉です。

会議潜入時は、脚本や台本いっさいなしで、日常のミーティングシーンをそのまま撮影しています。そしてライブ当日もいったいどのような解説が飛び交うのか、楽しみでなりません。

私は、日経で数多くのイベントを手掛けてきましたが、こんなライブ企画は過去にありません。当日まであと1ヶ月をきりましたが、他で見たことのない視聴体験となるよう、設計していきたいです。

成果を出す組織づくりをいっしょに学びたい方は、ぜひ新しいライブ「THE MEETING」にご参加いただければと思います。