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シリーズ恋愛研究所教祖様

奇妙な出会い

しばいたろか博士は、恋愛研究所の書斎で頭を抱えていた。白い紙の上に何枚も書かれた研究メモが散らばり、その中には恋愛の心理学、行動学、統計学などのデータがぎっしり詰まっていた。だが、博士の心は今、全く別のことで占められていた。

「どうしたものか…」博士はため息をついた。「彼女の心を射止める方法が見つからない。」

彼女とは、宗教法人ホワイトエンジェルズの教祖、セバスチャン・メンドーサ。彼女は22歳で、アイドル顔負けの美貌と抜群のスタイルを持つ。彼女のカリスマ性と美しさは、教団の信者たちにとって神聖な存在であり、特に博士にとってはその存在が何よりも特別だった。

ある日、博士がいつものように研究所の外に出ると、門の前に一人の若い女性が立っていた。彼女は長い黒髪を風になびかせ、目には何か決意を秘めた輝きがあった。

「こんにちは、しばいたろか博士。」彼女は静かに微笑んだ。「私は水野杏奈、あなたの研究に興味があります。」

博士は驚いた。これまでにも多くの女性が彼に接触してきたが、彼女のように真剣な目をした者はいなかった。

「おお、水野さんか。どうして私の研究に興味を?」博士は問いかけた。

「私は心理学を専攻していて、特に恋愛心理学に興味があります。あなたの研究は非常に先進的で、ぜひ協力させていただきたいのです。」杏奈は熱心に答えた。

博士はその情熱に心を動かされた。「なるほど、それならばぜひ一緒に研究しよう。だが、私の研究所には一つだけルールがある。」

「ルールですか?」杏奈は首をかしげた。

「はい、ここでは全ての研究は実地経験に基づいて行うのです。つまり、実際に恋愛をして、その経験を研究に活かすのです。」博士は誇らしげに説明した。

杏奈は一瞬驚いた表情を見せたが、すぐに笑顔に戻った。「それならば、私は全力で取り組みます。」

こうして、杏奈は博士の助手として研究所に加わった。彼女の情熱と知識は、博士に新たな刺激を与えた。毎日の研究が終わると、二人は様々な実験を試みた。

ある夜、博士と杏奈は一緒にカフェに行った。カフェの柔らかな照明の下で、杏奈は自分の過去について話し始めた。

「私は小さい頃から恋愛に興味がありました。でも、いつも失敗ばかりで…」彼女は少し悲しげに言った。

「そうか…」博士は彼女の話に耳を傾けた。「だが、その経験が君を強くしたのだろう。」

杏奈は微笑んだ。「そうかもしれません。でも、しばいたろか博士、あなたはどうして恋愛の研究を始めたのですか?」

博士は少し考えた後、答えた。「私もまた、恋愛において多くの失敗をしてきた。だが、その失敗が私をこの研究に駆り立てたのだ。恋愛は人間の本質を最もよく表すものであり、その真理を解明したいと思ったのだ。」

杏奈は深くうなずいた。「博士の情熱は素晴らしいです。私もその一端を担えることができて光栄です。」

その夜、二人はカフェで遅くまで話し続けた。杏奈の存在が博士にとって新たなインスピレーションとなり、彼の研究は一層深まっていった。

ある日、研究所に一通の手紙が届いた。差出人はセバスチャン・メンドーサだった。手紙には、彼女が博士の研究に興味を持っていることが書かれていた。博士は驚きと喜びで胸が高鳴った。

「メンドーサ様が私の研究に興味を…」博士は興奮を隠せなかった。

その日から、博士はさらに研究に没頭した。彼の目標は、メンドーサ様に自分の研究を認めてもらい、そして彼女の心を射止めることだった。

だが、杏奈との関係も次第に深まっていった。二人の間に芽生えた絆は、単なる研究仲間以上のものになりつつあった。

そんな中、博士はある実験を提案した。それは、恋愛のフェーズを分析するために、実際にデートを重ね、その過程を記録するというものだった。杏奈はその提案に賛成し、二人はデートを重ねることになった。

最初のデートは、公園でのピクニックだった。博士は杏奈のために手作りのサンドイッチを用意し、二人は青空の下で楽しいひとときを過ごした。杏奈の笑顔は、博士の心を温かくした。

次のデートは、美術館での鑑賞だった。二人は絵画や彫刻を見ながら、芸術について語り合った。杏奈の知識と感性に触れるたびに、博士は彼女に対する敬意と愛情が深まっていった。

そして、最後のデートは、夜の街を散歩することだった。博士と杏奈は手をつなぎながら、静かな夜の街を歩いた。その瞬間、博士は自分の心に正直になることを決意した。

「杏奈、君が私の研究に加わってくれて本当に感謝している。」博士は静かに言った。「だが、君への気持ちが研究以上のものになってしまった。」

杏奈は驚いたように博士を見つめた。「博士…」

「君が好きだ、杏奈。君と一緒にいると、私の心が温かくなるんだ。」博士は真剣な表情で続けた。

杏奈はしばらく黙っていたが、やがて微笑んだ。「私も、博士が好きです。」

その言葉に、博士の心は喜びで満たされた。二人はその夜、静かにキスを交わし、新たな一歩を踏み出した。

しかし、その一方で、メンドーサ様への想いも消えることはなかった。博士は自分の心の中で揺れ動く感情と向き合いながら、これからも恋愛研究に全力を注ぐことを誓ったのだった。

次の章では、博士と杏奈の関係がさらに深まり、そしてメンドーサ様との運命的な再会が待ち受けていることになるだろう。博士の恋愛研究は、新たな展開を迎えることになる。

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