コマツ_

「コマツ」のビジネスモデルはなぜ素晴らしいのか?①

就職活動を行っている学生さんにはよく企業のIR資料を読んだ方がいいよとアドバイスしています。しかし、どこに注目して読んだらいいか分からないとよく言われます。

読み方に正解はありませんが、僕が就職活動をしている時にやっていたのは

①企業のビジネスモデル、強みや弱み、事業リスクを知る

②自分が社長ならどうするかを考える

をやっていました。

これを言うと「難しそう」とか「時間がかかる」のではという声が返ってきますが、本当に受かりたい企業があるなら、これくらいの準備はしたほうがいいと思っています。

僕の分析レベルも大したことはありません。しょせん学生レベルだったのですが、それでも上のような準備をしていると大手企業の人事から評価を頂けることも少なくありませんでした。

つまり企業側もコンサルのような意見を求めているわけではないと思います。鋭い意見を言わないければと気を張る必要も無いです。

今回は試しに『コマツ』を例にして、僕がどのようにやっていたかを参考にして頂けたらと思います。


コマツはインフラ整備には欠かせない建設機械を取り扱ってるグローバルメーカーです。ではコマツのIR資料を見ていきます。

ここからざっくりコマツが何を提供しているかが分かります。
①ショベルカーやフォークリフトなどの建設機械を販売
②機械の保守点検やリテールファイナンスの伝統的なサービス
③AHS、スマートコンストラクションのような新規サービス


①はイメージ通りで分かりやすいですね。


②を見た時、リテールファイナンス(金融)?となったかもしれません。
リテールファイナンスは簡単にいうと融資ですね。考えてみると、なるほどなとなります。調べてみたところ建設機械は2000万円以上する高額な製品です。

つまり、買い手に融資をしたお金で高額な建設機械を買ってもらう仕組みになっています。


ここで見て頂きたいのが、コマツの売上先です。

中南米やアジアなどの新興国の建設業者は建設機械を買える資金が十分にはないとイメージできます。販売しているものが高額だからこそ、リテールファイナスとの相乗効果が高くなりますね。
➥ 高額な建設機械とリテールファイナンスの相性は良い 


③のスマートコンストラクションは最近よく聞くIoTによるサービスです。コマツは早くからAHS(無人ダンプ運用システム)を導入しています。



もう一つコマツにはKOMTRAX(コムトラックス)という有名なシステムがあります。これは建設機械ネットワーク・システムで、コマツの機械の位置情報や稼働状況をユーザーやコマツが情報共有できるようになっています。

収集したデータを活用することによって、効率的な稼働方法の提案や機械が壊れる前にメンテナンスサービスを提供する付加価値を提供しています。これが強みの一つになっているんですね。

ここまではコマツを志望している学生さんなら知ってるよという方も多いかもしれません。しかしKOMTRAXは別の面にも好影響を及ぼしています。

貸し倒れリスクの低下です。コマツの経営状況を見てみます。


2017年度のROEは12.1%、ROAは10.9%とどちらも素晴らしい値になっています。資産構成も見てみます。

売上債権(792,714百万+362,367百万)が非常に大きくなっています。コマツの売上が2.5兆円に対してほぼ半分にあたる46%ほどを占めています。ここから貸し倒れのリスクが高くなっていることが分かります。

さらに取引先が新興国というのも重要になってきます。

新興国相手だと、売り上げた債権や融資したお金の貸倒率が非常に高くなります。商社が存在する1つの理由がコレですね。

ROEやROAは素晴らしいけど、財務体質は良くないのでは?という思われるかもしれませんが、コマツはKOMTRAXでこの問題を解決しています。


つづきは次回の投稿をご覧ください。

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