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「獏」連載中

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黒いアスファルトにこびりつく、汚いガムさえ流し落とすような大雨の降るある夜に、俺にこんな言葉をくれた奴がいる。 「悪夢を食べると言われる獏って生物を知ってるだろ。俺たちの仕事は、…
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#ゴミ業界

「獏」第一話

「獏」第一話

第一章駁論(1)

 黒いアスファルトにこびりつく、汚いガムさえ流し落とすような大雨の降るある夜に、俺にこんな言葉をくれた奴がいる。
「悪夢を食べると言われる獏って生物を知ってるだろ。俺たちの仕事は、獏みたいなもんだ」
 毎日、毎日人間どもの欲望の抜け殻を拾っては集め、そして金を貰い、俺たちは生きている。
「キツイ」「キタナイ」「クサイ」
 昔、3Kなんて言葉があったが、考えてみれば、地球上で幸せ

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「獏」第九話

「獏」第九話

莫迦
(4)

 すべての回収を終えた俺は、港にある処分場へと車を走らせた。
 パッカーのケツをスイッチで押し上げ、積んだゴミを押し出す。さらに車を降りてパッカーのケツへまわり、捨て残しがないか確認する。
 個体差はあるが、だいたいパッカーを満タンに積めば八立米。重さで言えば四トンくらいだが、パッカーは爪で捲き込みながら圧をかけて詰めるので、唸りこそすれ、ぎゅうぎゅうと詰めていけば相当の量が捲き込

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「獏」第十話

「獏」第十話

第三章爆心
(1)

 天上の星がきれいな夜だ。空気は乾燥し、肌を刺す冷たい空気のせいで温かい缶コーヒーをよりいっそう美味しく感じさせた。
 ワイヤレスのイヤホンを耳につけ、パッカーのエンジンを掛ける頃、いつものメンバーから電話が掛かってくる。
『おはよう! D.J.今日は一段と冷えるな!』
 威勢の良い声が飛び込んでくる。イケモトだ。
「おはよう、イケモト、ジャスティスもいるのか?」
『いりゅよ

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「獏」第十一話

「獏」第十一話

爆心
(2)

 日の出まであと一時間といったところか?
 突然ジャスティスが気合いを入れた。
『よーし、一丁走って来るかっ!』
 俺たちの仕事はゴミの回収だが、実は圧倒的に運転時間の方が長い。作業員というよりは、むしろドライバーだろう。
 回収先に到着する。パッカーを停めて降り、ゴミを積んで運転席に戻るのに五分は掛からない。早ければ数十秒。しかし中には、現場到着から回収までの道のりがとんでもなく

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