シェア
虹乃ノラン
2024年5月14日 02:07
第一章駁論(1) 黒いアスファルトにこびりつく、汚いガムさえ流し落とすような大雨の降るある夜に、俺にこんな言葉をくれた奴がいる。「悪夢を食べると言われる獏って生物を知ってるだろ。俺たちの仕事は、獏みたいなもんだ」 毎日、毎日人間どもの欲望の抜け殻を拾っては集め、そして金を貰い、俺たちは生きている。「キツイ」「キタナイ」「クサイ」 昔、3Kなんて言葉があったが、考えてみれば、地球上で幸せ
2024年7月9日 10:09
第七章曝露 その週の土曜日の朝、一番乗りで車庫へ戻ってきた俺は、メンバーが戻るまでに食料の買い出しだ。 野菜なんていらねぇ。俺たちはウサギじゃないんだしな。 肉とつまみとビールを買い物カゴ一杯に詰め込んで車庫へ戻ると、イケモトとジャスティスが車庫で俺を待ち受けていた。「お疲れ、D.J.買い出しご苦労」 ジャスティスの陽気な声が寒空の中に響く。「ところでイケモト、バーベキューってどこで
2024年7月4日 22:27
爆心(4) 回収を終わらせた俺は、処分場へとやって来た。入場ゲートをくぐり、計量器に車を乗せると、事務所から職員が出てきた。「内容物の検査をするから、投入ステージの指定された場所でゴミをすべて出してくれるか?」 抜き打ちだ。処分場では、月一ぐらいのペースで、こうして回収物の抜き打ち検査を実施している。 可燃ゴミとして不適切なものが積み込まれていないかのチェックだ。もちろん人の目に万全は