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諦めたら終わりは本当?

「諦めたらそこで試合終了ですよ」
スラムダンクの中の有名なセリフなんですね。
漫画を読まない私は全く知りませんでした。

「諦めたらそこで終わりだから」

当事者会などでよく耳にする言葉です。
Twitter上でつぶやかれている方もおられます。
回リハでも療法士さんたちがよく口にしていました。

確かにリハビリって諦めてしまったらそこでストップです。
頑張ったら動けるようになるかもしれないのに。
諦めないで頑張ろう!という当事者と諦めないで頑張れ!という療法士さんの思いがこもった言葉なのかもしれないですね。

どういう意味だったのだろうか

その一方でこれはどういう意味なんだろう?
という言葉にも出会いました。
以前にも書きましたが
「麻痺は治りますか?」という私の問いに
「死ぬような病気だったんですからね」と答えた療法士さんの言葉です。

続きがなかったので真意はわかりませんが、
「治らない麻痺にこだわらず退院に向けて体力をつけることを頑張れ」
という意味だったのでしょうか?

だとしたらそれは麻痺を治すことを諦めることではあるけれど、リハビリを諦めるということにはならないのですよね。

病気をどう受け止めるのか

クリニックの療法士さんから
「もっと麻痺に特化してリハビリをしたらよくなる可能性があるから自費リハを探してみたら」
と言われ今の自費リハ施設に辿り着いた経緯があります。

その時には発症から5ヶ月近く経過しており、この時期から麻痺が良くなる可能性があるのか、自分の麻痺をどう捉えていくのが良いのか悩みました。

病気自体もどう受け止めたらいいのか。出来事としては明らかにマイナスのことです。けれどもできるならプラスの部分にも目を向けていきたいし、マイナスはマイナスとして人生の一部として受け止めないと
前に進めないと思っていました。

麻痺をどう受け止めるかの答えは出なかったけれど、諦めることにも諦めないことにも意味がある気がしていました。

諦めることと諦めないこと

諦めるってネガティブなイメージがあります。
けれどもポジティブな諦めもあるのではないかと思います。

先述のどういう意味だったのかという療法士さんの言葉が
「麻痺は諦めて体力をつけることにシフトしよう」
という意味であったならば、諦めるというより別の道を選ぶということになります。

一方で「諦めない」というとポジティブなイメージですが「執着」と考えてしまうとネガティブになります。

大切なのは諦めさせられるのではなく、自分で諦めることを選ぶということではないかと思いました。

自費リハをどうするかについては何人かの方に意見を求めました。
「最終決定を誰かに託してしまう方が楽かもしれない」そう思いつつ、
後のことを考えたならやはり自分で決めることが大事なのだろう、そう思いました。

そういう意味で
「諦める・諦めない」とは
「選択をする」と考えた方がいいのではないかと思っています。

選択を迫られて

障害を負われた当事者やご家族の方が、例えば大切にしていた車やバイクをどうするかと悩まれているというTweetを見かけます。

大事にとっておくことでリハビリの励みになることもあるでしょう。
またそこに囚われるあまりに先に進めない場合もあると思います。

だからこそ、当人や家族でもない人が安易に「諦めたらそこで終わりだ」なんて口にしてはならない気がしています。

私も現在とても悩んでいます。
左半身の麻痺と高次脳機能障害。
私の人生の大半を占めていたのは手芸でした。

カルチャーセンターや自宅で教室をしていたこともあります。
単なる趣味としてやっていたものもあります。

でも今後再開できる日は来るのだろうか?
そんなことを考えます。
高次脳機能障害のリハビリはこれから始まることと思います。

でも手芸を、教室を再開できる可能性は?
趣味としてならできるかも?と思うものもありますが、趣味してでさえ限りなく0に近いだろうと思うものが大半です。

もうすぐ発症から一年になります。
手芸道具を見ると「頑張ろう」というよりできなくなった悲しみが増すことが多いです。

であれば思い切って手放して別のものを探すこと。
それは「諦める」ではなく
「新たな何か」を探すことなのかもしれないと思うようになりました。
どう選択するかまだ迷ってはいますが、家族に相談しつつ一年をめどに決断したいと思っています。

最後に

麻痺に対してどう考えたらいいか悩んでいた時に急性期の療法士さんがくれた言葉があります。

「自分の意見を言うならば、ジムで体力をつけると同時に足首のトレーニングを自分自身行っていくことが良いのではないでしょうか。みどりさんなら体力次第で走れるようになるはずです」

結局、自分自身でのトレーニングではなく自費リハにお世話になっています。

紆余曲折あったこともありますが、
専門の方に指導を受けながらやっていく方が自分にはあっていると思います。
また、この方に任せたいと思う療法士さんと出会えたことも大きな要因です。

急性期の方のご意見と違う方向に進みましたが、この時いただいた言葉
「みどりさんなら走れるようになるはず」
は常に私の励みとなっています。

今後を決める上での助言。
自費リハがどうであるかと言うことではなく、どれを選択したにせよ自分を支えてくれたこの言葉こそ私にとって最高のアドヴァイスであったと思っています。